1分でわかる旭日旗
- 太陽と朝日の光をモチーフとしたデザイン
- 縁起の良いものとして親しまれている
- 韓国・中国からは批判の的
旭日旗と落日旗、日章旗の違い

「旭日旗」は白地に真っ赤な太陽と朝日の光をモチーフとしたデザインがとても印象的です。「旭日昇天の勢い」などの意味があり、とても縁起の良いものとして古くから日本人に親しまれてきました。 ところが、戦時中は旧日本軍の「軍旗」として、現在は「自衛隊旗」として使用されていることから、韓国・中国からは批判の的となっています。 これに似たデザインの旗に「落日旗」があります。しかし「落日旗」は戦時中にアメリカ軍が日本の戦闘機を追撃した証として米軍機にペイントされたものですから「旭日旗」とは全く反対の意味となるのです。 なお「日章旗」とは「日本国旗」のことです。白地の真ん中に太陽を表す赤丸がデザインされていますが、「旭日旗」と混同しがちなので注意しましょう。
旭日旗の歴史

「旭日旗」の起源について正確な記録は残っていませんが、江戸時代頃から「縁起の良いもの」としてさまざまな場面で使われていたのは間違いありません。 さらに歴史をさかのぼっていくと、平安時代に九州の武家や豪族が太陽と光を表す「日足紋」を使用していたという記録もあります。
軍旗として使われていた
もともと「旭日旗」は軍旗としてデザインされたものではありませんが、戦前に軍旗として採用されたことから特に韓国からは批判の的となっています。 また、軍旗といえば海軍のイメージが非常に強くありますが、先に採用したのは1870年から使っている陸軍になるのです。 海軍で採用されたのは1989年10月ですから陸軍よりも20年後でした。その後、帝国海軍の船艇には「旭日旗」が必ず使われていましたから、海軍のイメージが強くなりました。
のちに自衛隊旗として使われた
第二次世界大戦後、旧日本陸海空軍は解体されたことに伴い、「旭日旗」の歴史も一旦幕を閉じることになります。 しかし、1954年に陸上自衛隊が設立されるといち早く「旭日旗」を「自衛隊旗」に復活させし、同年に設立された海上自衛隊も「旭日旗」を採用しました。 「旭日旗」を復活させるにあたって、保安庁の両幕僚監部はさまざまな意見を参考にします。特に専門家からは、色彩・デザインともに「これ以上のものはない」といった意見が大半を占めるのです。
そのデザイン性や縁起の良さから漁船や様々な商品に使用された
「旭日旗」に使われている旭日の色彩・デザインは「偶然に得る幸運」「幸運を願い待つこと」を意味し、とても縁起の良いものとして日本人に親しまれてきました。 そのため、旧日本軍の軍旗であったことに関わらず、祝賀イベントで掲げられたり、日本企業のブランドロゴに採用されるなどさまざまな場面で使用されています。 特に有名なのが「大漁旗」として漁船に掲げられている場面ですが、大漁を願うだけでなく漁師たちの安全を祈願する意味もあるのです。
朝日新聞は新聞社のロゴが旭日旗由来である説を否定
朝日新聞のロゴも太陽と光をデザインしたものであり、「旭日旗」と酷似しています。しかし、朝日新聞の記者がツイッターで軍旗が由来ではないと否定したことが話題となりました。 朝日新聞社がこのロゴを使用するようになったのは1879年です。これは事件現場で新聞社の取材であることを明確にすることが目的でした。 その後、何度かマイナーチェンジを行いながらブランドロゴとして定着していますが、朝日新聞の記者が主張したとおり軍旗を由来するものではありません。
旭日旗を巡るトラブル

日本の長い歴史の中で、「旭日旗」が軍旗として使用されたのはごく僅かな期間であり、決して軍国主義を象徴するものではありません。 その一方で、現在は自衛隊旗にも採用されていることから、韓国などに不快感を与えてしまうのも事実です。そこで、「旭日旗」を巡る韓国をはじめとする諸外国からの非難やトラブルについて解説します。
サッカーの試合でサポーターの振る旭日旗の禁止
サッカーは他のスポーツよりも国際色が強く海外で試合をする機会が多くありますが、無用なトラブルを避けるため「旭日旗」を自粛しているのが実態です。 国内の試合で「旭日旗」は禁止されていませんが、JFAの「試合運営管理規定」では、軍事的な主義・主張などを連想させる旗などの持ち込みを禁止しています。 また、アジアのクラブチームによるAFCチャンピオンズシリーズでは、2017年に清水エスパルスのサポーターが「旭日旗」を掲げたことが大きな問題となり、それ以降「旭日旗」は禁止されたのです。
北京オリンピックでの旭日旗の持ち込み自粛
2008年北京オリンピックにおいて、日本大使館は「政治・民族・宗教的」といった理由で、「旭日旗」の持ち込み自粛を求めました。 中国や韓国には反日感情が根強く残るだけに、懸命な判断であったといえるでしょう。しかし、一方的に「旭日旗」を「政治的、差別的」と決めつける中国や韓国に不満を抱く人も少なくありません。 2020年に開催される東京オリンピックにおいて「旭日旗」の持ち込みは「問題なし」とされています。しかし、日本共産党などは政府の対応に矛盾があると指摘しているのです。
韓国による旭日旗の批判

「旭日旗」に対して過敏な反応を示している韓国ですが、少なくとも2008年頃までは問題視されていませんでした。 きっかけとなったのは、2011年サッカーアジアカップ準決勝における日本・韓国戦です。韓国代表の奇誠庸が日本人に対する侮辱的な態度を取った上、その理由を「観客席にあった旭日旗への報復」だと主張したのです。 その後、ことあるごとに韓国側は「旭日旗」に批判を浴びせており、2013年には韓国国内で「旭日旗」を掲げると罰金を科せるといった刑法改正案まで国会に提出されています。
ラグビーワールドカップでの旭日旗に対する韓国からの批判

日本で開催され、大変盛り上がったラグビーワールドカップですが、日本人のみならず海外からの観客の中にも「旭日旗」を掲げる人は少なくありませんでした。 韓国はラグビーワールドカップには出場していません。しかし、旭日旗撲滅キャンペーンを展開している大学教授のソ・ギョンドク氏はSNSを通じてこの光景を批判しています。 さらに、ソ・ギョンドク氏は、ラグビー・ワールドカップを主管するワールドラグビーに抗議する構えも見せているのです。
海外の旭日旗への反応

韓国や中国を除く諸外国において、「旭日旗」に対して批判的な意見を主張する人はほとんど見かけません。それどころか、そのデザイン性の素晴らしさを称賛する外国人が多いのが現状です。 韓国が「旭日旗」を批判する理由は、戦時中に日本が韓国に対して行った悪行の数々によるところが大きいのは間違いありませんが、「旭日旗」は旧日本軍を象徴するものではありません。 このことは海外の反応からも明らかですから、日本には韓国の過剰な批判に対してしっかりとした対応が望まれています。