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東大ポポロ事件は大学の自治を争点とした事件。わかりやすい概要や判決の詳細とは?

もくじ

1分でわかる東大ポポロ事件

  • 東京大学の学生団体「ポポロ劇団」が「松川事件」をテーマにした演劇を上演
  • 会場内にいた私服警官3名を東大生が身柄拘束し、暴行を加える
  • 大学の自治が争点となり、最高裁まで争われた

東大ポポロ事件の概要

1952年2月20日、東京大学本郷キャンパスにおいて「東大ポポロ事件」が発生しました。東京大学が公認していた「ポポロ劇団」という学生団体が、演劇発表会を行う中で発生した事件です。劇団に所属する東大生が、私服警官3名に暴行を加えました。 ここでは「東大ポポロ事件」の事件概要について、詳述します。

東大のポポロ劇団の発表会で事件は起きた

東京都本郷キャンパスにある法文経25番教室で、1952年2月20日にポポロ劇団による演劇発表会が行われました。演劇発表会を行うにあたり、ポポロ劇団は大学から正式な許可を受けています。 しかし演劇の上演中、劇団員である東大生が観客の中に本富士警察署の私服警官が3名いることに気づきます。そして、演劇の最中であったものの、私服警官たちは東大生に取り押さえられます。

ポポロ劇団は松川事件を題材にした演劇を発表していた

その日ポポロ劇団は、松川事件を題材にした「何時の日にか」という演劇を行っていました。松川事件とは1949年8月17日に発生した列車往来妨害事件のことで、国鉄三大ミステリーに名を連ねています。 線路が細工されたことで列車が脱線し、乗務員数名が死亡しました。その後に容疑者は逮捕されたにもかかわらず裁判では全員無罪判決が出て、未解決事件となっていたのです。 この演劇内容は政治色が強かったため、私服警察官たちが学生の思想を調査していたと考えられます。

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ポポロ劇団の観客の中に警官が3名いた

演劇の上演中、ポポロ劇団所属の東大生が観客の中に3名の私服警官がいることに気づきました。後に明らかになることですが、実際にこの3名は本富士警察署の私服警官だったのです。 東大生たちは演劇が進んでいるにも関わらず、その場で私服警官3名の身柄を拘束しました。

東大生らが取り押さえ、暴行を加えた

ポポロ劇団に所属する東大生たちは、拘束した3名の私服警官から警察手帳を取り上げます。そして3名の私服警官に対し、謝罪文を書くように強要したのです。 さらに東大生のうち2名は、拘束した警察官に暴行を加えました。当時は日本政府と学生が衝突しており、警察権力を恐れないという風潮があったことも関係していると考えられます。

東大ポポロ事件の裁判と争点

この事件では、私服警官を暴した2名の東大生が暴力行為法違反で起訴されました。しかし起訴された東大生は「大学の自治を守るための行為だった」として、無罪を主張したのです。 続いては最高裁まで争われた、「東大ポポロ事件」の裁判の経緯と争点について詳述します。

憲法の学問の自由、大学の自治に反しているか否か

「東大ポポロ事件」の裁判で争点となったのは、「学問の自由」「大学の自治」でした。 「東大ポポロ事件」の際に学生が奪った警察手帳は、後に東大の決議によって返還されています。しかしその手帳の中には1950年7月ころより東大内に侵入し、学生の思想動向などを調査していたことが明記されていたのです。 こうした行為を含めた警官の介入が正当であるかどうかが、裁判で争点となりました。

制度的保障

学問の自由は日本国憲法第23条で保障されています。学問的な活動において外部干渉は受けないというものです。また憲法では、大学の自治も学問の自由に含まれます。 ポポロ劇団による演劇発表会は東大の許可を得ており、警察が学内に侵入して調査したことは大学の自治の侵害だ主張したのです。つまり、東大ポポロ事件の裁判は大学の自治に関する制度的保障について問われた裁判でもあったということです。

一審では学生が無罪

1954年5月東京地方裁判所において、第一審判決が下されました。その判決は、学生が無罪であるというものでした。 被告人の行為は学問の自由と大学の自治に基づいた防衛手段であり、正当だったと判断されたのです。学生当局の許可があれば学生も自治組織を持つことが認められていたことも、この判決の後押しとなりました。 しかし検察側は判決を不服として控訴し、第二審で争われることになります。

二審でも学生が無罪

東京高等裁判所で第二審判決が下されたのは、1956年5月8日のことです。東京高裁も第一審判決を支持し、東大生に無罪判決を言い渡しました。 ここでも学問の自由と大学の自治という制度的保障を重視しており、東大生が一定の規則に則って自治運動を行うことは許されるという判断でした。 しかし検察側はこの判決も不服とし、最高裁に上告したのです。

最高裁にて差し戻され学生が有罪判決

「東大ポポロ事件」の最高裁は、1963年5月22日に行われました。そして最高裁では第一審・第二審の判決を破棄し、東京地方裁判所に審理を差し戻したのです。 判決理由としてあげられたのは演劇のテーマが事件当時社会問題になっていた松川事件であり、学問の自由や大学の自治の範囲外であるということでした。 東京地方裁判所での差し戻し審は1966年9月14日に結審し、被告人2名に対し懲役6カ月と4カ月(執行猶予2年)の判決が下ります。被告人は控訴・上告したものの1973年3月22日に最高裁が棄却し、刑が確定しました。

東大ポポロ劇団の現在

2019年10月現在、東京大学でポポロ劇団が活動している様子はありません。いつ解散したかなどの資料も、公開されていないようです。 しかし東京大学の百年史や大学院の授業の中で、今でも「東大ポポロ事件」が取り上げられています。

国立の学校での国歌斉唱や日の丸国旗を掲げることと大学の自治

近年、国立大学の卒業式における国歌斉唱や国旗の掲揚の対応が二分しています。日本政府は国歌斉唱や国旗の掲揚を行うよう国立大学に要請しているものの、岐阜大学を筆頭に行わない方針を示す大学も少なくありません。 この背景には一部のメディアが、日本政府が国歌斉唱や国旗の掲揚を行うよう国立大学に要請したことが不当な介入であると批判したことがあげられます。 しかし国立大学86校のうち、国歌斉唱や国旗の掲揚を行ったのはわずか14校であるのが現実です。

関連の事件

「東大ポポロ事件」が起こった背景には、当時の政府が集団思想を脅威に感じ弾圧していたことや、警察による権力行使の暴走などがありました。そのため、東大生たちも私服警察官の存在を脅威に感じ、暴行に走ったのでしょう。 当時は東大ポポロ事件に関連した様々な事件が起こっています。ここでは関連する事件の一部を取り上げ、紹介します。

京大ポポロ事件

「京大ポポロ事件」は2014年11月4日に、京都大学の敷地内で発生しました。学内に無断で立ち入っていた公安警察官が、過激派に所属する京大生に拘束された事件のことです。 拘束された警察官が京大生の活動を撮影し、声をかけたところ逃げ出したので身柄を取り押さえたといいます。京大の副学長らからも問い詰められましたが警察官は公務ではないと主張し、数時間後に京都府警に身柄を返されています。 その後京大が京都府警に対し、「事前通告がないまま構内に警察官が立ち入ることは誠に遺憾」とコメントし巷を賑わしました。

東大安田講堂事件

1969年1月18日から19日にかけて東大で起こった事件といえば、「東大安田講堂事件」です。この前年である1968年に、東大医学部がインターン制度から登録医制度に変更することに抗議した東大生が無期限ストを行いました。 そして東大が学生並びに研修医を17名処分したのですが、その中にストに参加していない学生がいることがわかり、処分撤回を求めたものの大学が拒否したので安田講堂に立てこもったのです。 その後大学の養成で機動隊が出動し封鎖は解除され、東大生38名を含む633名の学生が検挙されました。

山岳ベース事件

1971年から1972年に発生した「山岳ベース事件」も、学生運動と関わりが深い事件です。共産主義を掲げる過激派だったのが連合赤軍です。 暴力も辞さないという過激な思想のもと活動をしていたので、警察にマークされていました。警察から逃れるため、連合赤軍は山岳地帯に隠れ家を築き、拠点としたのです。 そこに母体が異なる連合赤軍が一堂に会したことで、意見の相違による対立が激化します。その結果「総括」と称するメンバー批判が拡大し、リーダー格が気に入らない同志に対して暴力行為を働くようになります。そして仲間であったはずの7名が犠牲となりました。

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浅間山荘事件

1972年2月19日に発生した10日にわたる立てこもり事件が「浅間山荘事件」です。この事件も連合赤軍によるものです。警察から逃れた連合赤軍が長野県の浅間山荘に、人質と共に立てこもりました。 警察は浅間山荘内のバリケードを少しずつ崩したり、放水したりと犯人たちに近づこうとしたもののうまくいきませんでした。結果連合赤軍からの銃撃によりけが人が出たほかにも、警察官と民間人が狙撃されて亡くなっています。 最終的には連合赤軍が占領していた部屋に鉄球で穴を開け、機動隊28名が突入し犯人を逮捕しました。鉄球によって浅間山荘が破壊される光景が非常に印象的で、今でもなお語り継がれている事件です。

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東大ポポロ事件の判決は正しかったのか?

「東大ポポロ事件」をはじめとする学生運動は過去のものと考える人も多いですが、公安警察が大学当局に許可をとらずに構内に侵入するという事件は現代でも起こっています。 「東大ポポロ事件」の判決は違憲と考える専門家も多く、学問の自由や大学の自治について考える上で避けて通れない事件です。自分に身近な大学内で同様の事件が起こらないように、しっかり目を光らせる必要があるかもしれません。

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