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栃木実父殺し事件は尊属殺人が争点となり違憲判決の実父殺人事件。絶えぬ性的虐待の深刻さ。

もくじ

1分でわかる栃木実父殺し事件

  • 栃木県で発生した実父殺人事件
  • 原因は長年に及ぶ近親相姦の強制
  • 事件をきっかけとした尊属殺人が見直された

栃木実父殺し事件の概要

栃木実父殺し事件は当初、家庭内の行き違いが殺人に発展しただけと思われていた事件です。しかしのちに、娘が10年以上にわたる近親相姦の強制を苦にし、思い余って行われた犯行だったことが判明しました。当時は親殺しが不当に重く扱われていましたが、この事件を機に法律が見直されました。

1973年に起きた実父殺人事件

事件が起きたのは1968年10月5日です。犯人の女性が、実の父親の首を絞めて殺害しました。捜査の結果、事件は仲違いで起きた単純な親殺しではなく、長年に渡る実父の性的虐待に原因があったと判明します。 父親は犯人の女性が中学生の14歳の時から、15年間も性的虐待を繰り返していました。この女性は近親相姦の末に、無理矢理出産までさせられていたのです。

法律を違憲と判断された最初の事件

犯人の女性は父親から長期間性的虐待を受けており、さらに事件当時には父親の手で監禁状態に置かれていました。それを受けて裁判で問題となったのが、刑法200条の尊属殺人です。 尊属殺人の刑罰は法律で、死刑あるいは無期懲役のどちらかと定められていました。事件の背景に、父親の性的虐待があったことを考慮すれば、死刑や無期懲役が重すぎるのは明かです。 このことから栃木実父殺し事件は、法律で定められた尊属殺人と実情のギャップに初めて注目が集まり、意見の判断がされた最初の事件となりました。

違憲判決が世間の注目を集めた裁判

事件当時は刑法200条の尊属殺人の規定によって、赤の他人を殺すことよりも、両親や祖父母などを殺す方が重罪でした。ところが事件の裁判で、最高裁は刑法200条を違憲としたことから、世間の注目を集めました。

裁判所が悩んだ違憲と合憲

裁判では犯人の女性が近親相姦を長年強いられた事情から、有罪は免れないとしても、基本的に刑罰を軽減する方向で調整されました。しかし刑法200条が死刑か無期懲役しかないため、軽減は法律に反します。地裁と高裁で以下のように判断が分かれました。 ・宇都宮地方裁判所は刑法200条を違憲と判断。情状酌量の上で懲役の免除 ・東京高等裁判所は合憲と判断。情状酌量の上で懲役3年6月の実刑

最高裁は違憲と判断し執行猶予付きの判決

裁判は最高裁にまでもつれ込みましたが、最終的に大法廷(最高裁で法律の違憲を審理する組織)は刑法200条を違憲と判断しました。判決は刑法199条の殺人罪に則り、犯人の女性には懲役2年6月、執行猶予3年が言い渡されました。 ただし大法廷が違憲としたのは、刑法200条の刑罰が2択だった点です。尊属殺人の規定は否定されなかったため、1995年の刑法改正まで刑法200条は存在しました。 しかし違憲判定後、法務省は原則として尊属殺人も刑法199条で扱うよう指示しているので、栃木実父殺し事件裁判によって実質的に刑法200条はなくなったと言えます。

父親による性的虐待の深刻さ

実の親による子供への性的虐待は、深刻な社会問題になりつつあります。もっとも安全であるべき家族、家庭が加害者や事件現場となるため、子供には逃げ場がありません。そのため被害者の子供が誰にも相談できず、深刻化長期化するケースが多いです。

被害を告白しづらい環境

家は子供にとって一番安全で、もっとも頼りになる場所です。ところが実の両親が性的虐待の加害者となった場合、子供に逃げ場はありません。逃げ場のない子供は肉体的精神的に追い詰められて、抵抗できなくなってしまいます。 こうなった子供は、例え登校のために家から出られたとしても、逃げることはできません。誰かに相談しようにも、小さい子はそもそも性的虐待の意味がわからないので打ち明けられず、中高生の被害者になると羞恥心が芽生えるのでやはり被害の告白は困難です。

精神的なダメージは計り知れず

家庭内の性的虐待は発見が難しく、長期化するケースが少なくありません。そうなると被害者の子供に与える影響は、多大なものになります。 もっとも厄介なのは精神的ダメージです。性的虐待を受けた子供に心的外傷(トラウマ)がいつまでも残って、記憶障害や解離性同一性障害を引き起こす可能性があります。こうした症状が出ると、治療には長い年月がかかるでしょう。

現在も続く性的虐待の問題

近年は行政も性的虐待に対して、性犯罪の法改正や児童虐待の防止策などいくつも取り組んでいます。しかし法整備が進む一方で、虐待の受け皿となる相談窓口は慢性的に人員不足だそうです。 子供の性的虐待被害を防ぐには、何よりも虐待の早期発見が重要です。そのためには相談窓口の人員拡充はもちろん、社会全体が意識を変えなくてはいけません。地域や社会単位で子供を見守り、虐待を防止していきましょう。

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