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西山事件の全貌。西山太吉と蓮見喜久子による機密情報漏洩事件の真相に迫る。

もくじ

西山事件とは?

  • 外務省から機密情報が漏洩
  • 西山太吉と事務官は国家公務員法違反
  • 事件の影響で毎日新聞は倒産

外務省から機密情報が漏洩した事件

西山事件とは1971年の沖縄返還協定について、毎日新聞社の西山太吉と外務省事務官の蓮見喜久子の2人が、国家公務員法違反で有罪判決を受けた事件です。外務省から機密情報が漏洩した、あってはならない事件だったと言えます。 1971年の沖縄返還協定の際に、アメリカ合衆国政府が沖縄に住む地権者に対して土地の原状回復費用として400万ドルを支払うはずでした。しかし実はこの回復費用はアメリカ政府ではなく、日本国政府が支払っていたのでした。 この情報を毎日新聞の西山太吉が蓮見喜久子から入手したことから事件が拡大します。

別名「外務省機密漏洩事件」

西山事件はその事件のいきさつから、別名「外務省機密漏洩事件」とも言われています。 西山太吉は、情報を入手するために外務省事務官であった蓮見に酒を飲ませて肉体関係を結び、話をせざるをえなくなる状況を作り出していました。沖縄返還に関わる資金の流れに関する情報を非道徳的な方法で入手していました。 裁判では西山太吉の情報収集方法について、その取材活動が違法であり、また報道の自由が無限ではないことを認める判決が下されます。

西山事件に関与した人物

西山事件に関わった主な人物は既に説明している2人の、毎日新聞社の西山太吉と外務省事務官の蓮見喜久子です。それぞれの人物についてその来歴などを紹介していきます。

西山太吉

山口県出身の西山太吉は慶應義塾大学の大学院をを卒業後毎日新聞社に入社し、同社で政治部の新聞記者として働き始めます。 西山事件の中では、日本国政府の外交に関わる外務省機密文書を不倫関係にあった蓮見喜久子に何度も持ち出させていたことについて、その取材や情報収集方法の妥当性について裁判に問われます。 結果的に、国家公務員法違反の罪に問われて有罪判決を受けることになります。

女性事務官の蓮見喜久子

もうひとりの人物は外務省の女性事務官であった蓮見喜久子です。 蓮見喜久子は外務省職員であった蓮見武雄の妻でしたが、蓮見武雄が病床に伏した後武雄の家賃収入で生活をしようと思っていました。しかし武雄の医療費がかかるため、知人の紹介で外務省の臨時職員として働き始めます。 その後蓮見喜久子は外務省で勤務を続け、外務省の事務官として働くこととになります。

西山事件の経緯

西山事件の主な登場人物は前の見出しで紹介した、西山太吉と蓮見喜久子の2人です。 西山事件は「西山太吉が沖縄返還に関する情報収集をする」「西山太吉と蓮見喜久子が肉体関係を持つ」「西山太吉が蓮見喜久子から沖縄返還に関する機密情報を受け取る」という流れで進んでいきます。

毎日新聞記者の西山 太吉が沖縄返還に関する密約情報を得ようとしていた

毎日新聞社の記者であった西山太吉は、1972年5月に米国によって支払われることとなっていた沖縄の原状回復費用の負担を、実際は米国政府ではなく日本国政府が肩代わりしていたことについて情報を収集していました。 その情報を手に入れようと取材を重ねる中で、外務省事務官である女性がその情報を持っていることを聞きつけてその女性に接触し、まったく交友関係などはないところから強引に肉体関係を迫ります。

西山 太吉が女性事務官と肉体関係をもつ

西山太吉と肉体関係を持ったその外務省事務官が蓮見喜久子であり、西山太吉と不倫関係になります。 最初に2人が会ったのは1971年の5月18日とされていますが、同年同月22日に再びホテルに誘い肉体関係を持ち、ここから2人の不倫が始まったと言われています。 それから何度も2人は肉体関係を持ち、仲を深めて行きます。 2人の仲はかなり深まり不倫関係にあるということもあり、頼みごとなどは断りにくい状況にありました。

西山太吉は女性事務官から機密情報を聞き出し、国会議員に漏洩した

1971年5月22日に西山太吉と蓮見喜久子が肉体関係を持った直後、西山は蓮見喜久子に対して沖縄返還に関する機密文書の持ち出しを懇願します。 既に不倫関係にあったことから蓮見は断ることが難しい状態にあり、そのことが原因で十数回に渡り西山太吉から懇願された外務省の機密文書を持ち出すことになります。 その中では、西山太吉が蓮見喜久子に外務省に電話をするように指示し、その場で蓮見喜久子に機密文章を持ち出すように伝えたこともありました。知りたい情報を全て得た後、用済みとなると西山太吉は蓮見喜久子との関係を持つのを一切やめました。

西山事件の裁判と判決

次は、この一連の事件に関わる裁判でどのような点が争点となり、どんな判決が下されたのでしょうか? 結論としては、報道の自由と倫理的な部分が争点となり、西山太吉と蓮見喜久子はふたりとも国家公務員法違反で有罪判決を受けています。

報道の自由・倫理の問題が問われた

この西山事件に関わる裁判で争点となったのは、新聞社における報道の自由と西山太吉の取材や情報収集に関する倫理的な問題でした。 西山事件によって発覚した日本政府の沖縄返還に関する米国政府との密約に関しては一切争われることはありませんでした。 報道に関わる情報の収集方法と、西山太吉の情報収集方法について報道の自由に対して国家公務員法の適応範囲とされるかどうかが争点として扱われるようになりました。

西山太吉は国家公務員法違反で有罪

まず、毎日新聞社の職員であった西山太吉が国家公務員法違反で有罪判決を受けることになります。 第一審の東京地方裁判所による判決では、取材の手段(蓮見喜久子への接触)の正当性は欠けるものの、その取材の目的の正当性が認められて無罪判決となります。 しかし、第二審では蓮見喜久子が西山太吉からの要求を拒めない状況だった事でその取材の正当性が問題視され、有罪判決となり、最高裁でも上告が棄却されて有罪となりました。

女性事務官も国家公務員法違反で有罪

西山太吉に外務省の機密情報を手渡した蓮見喜久子も有罪判決を受けています。 これは蓮見喜久子が外務省の機密情報を西山太吉に漏洩したことについて、外務省が国家公務員法台100条(秘密を守る義務)違反で蓮見を告発したことに対する判決です。 この裁判によって蓮見喜久子は懲役6ヶ月・執行猶予1年の有罪判決を受けることになりました。

マスコミや世論は西山太吉を批判し女性事務官に同情

西山事件の結果、マスコミや世論は西山太吉には批判の目を向け、蓮見喜久子に対しては同情的でした。 第一審で蓮見喜久子の有罪判決が下された後、蓮見喜久子側が無罪上告をせずに有罪が確定したからです。 その一方で、強引に肉体関係を持ち蓮見喜久子から情報を得ていた西山太吉に対しては無罪判決が下されていたため、西山太吉への批判が広がることになります。

毎日新聞は西山事件により倒産

西山事件によって、毎日新聞社は倒産することになります。 当事件の後、毎日新聞社はその取材の正当性などについて、1972年4月に紙面上で謝罪文を掲載するなどの対応をとっていましたが、国民による非難感情の高ぶりと発行部数の減少が進み、1977年に倒産します。 しかしその後、保有していた株の放出や印刷事業における受注数の回復によって経営を再建し、事業を復活させています。

西山事件はドラマにもなった

この西山事件はその後、2度ドラマ化されています。 1度目は1977年にテレビ朝日開局20周年記念ドラマとしての題材となりました。2度目は2012年3月期にTBSドラマの『日曜劇場』で、同事件を取り上げた小説と同じタイトル「運命の人」として連続ドラマとして放送されています。

報道の自由を盾にとるマスコミ

西山事件は新聞社による取材の手法と、国家公務員法の適用範囲が裁判で問われることとなった事件です。事件の結果、毎日新聞社の倒産にまでつながりました。 マスコミ側の人間は、時として「報道の自由」を盾に横暴な取材を進めがちです。もちろん機密情報を持ち出した罪も許されることはありませんが、だからと言って報道の自由は決して無制限ではないことを、この事件から学ぶ必要があります。

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