1分でわかる自衛隊機乗り逃げ事件
- 飛行機操縦士の男が航空機とともに行方不明
- 乗り逃げた男は無免許であり酔っていた
- 未だ発見には至らない自衛隊史に残る不可解な事件
自衛隊機乗り逃げ事件の概要
事件発生後40年以上経ても未解決なのが「自衛隊機乗り逃げ事件」です。飛行機整備士の男が機体ともに行方不明になり、さまざまな憶測だけが独り歩きしました。果たして自衛隊史に残るミステリーの概要とは如何なものだったのでしょうか。
自衛隊の飛行機整備士の男がLM-1で乗り逃げ
「自衛隊機乗り逃げ事件」(1973)は何の前触れもなく発生しました。6月23日の21時頃突如1機の自衛隊機が宇都宮飛行場から飛び立ちます。 当時ここは自衛隊のパイロット予備軍が使用していた飛行場です。飛び立ったのはアメリカが開発したLM機を改良したLM-1(愛称「はるかぜ」)でした。 隣接する駐屯地ではすぐさま点呼が行われ20歳の飛行機整備士の男がいなくなっていることが判明します。その後1か月にわたり自衛隊に加え海上保安庁や警察の必死の捜索が続けられました。
LM-1の行方はレーダーにもうつらず
当時の宇都宮飛行場は夜間のフライトは稀でした。事件直後の管制塔は閉鎖されていため、離陸直後のLM-1の飛び立った方向は不明です。 加えて事件発生後、管制塔はすぐさま再開されますが不思議なことにレーダーに機体がうつりませんでした。レーダーは各地に設置された拠点から発射される電波に反応することで対象物の位置を確認します。 ただし、陸地や建造物とすれすれの位置での低空飛行を行えばレーダーから逃れることは可能です。しかし高い操縦スキルが必要なのは言うまでもありません。
行方不明のまま懲戒免職となった
1か月にわたる捜索もむなしく飛行機整備士の男はもちろん、機体も発見されることはありませんでした。見方を変えれば飛行機整備士の男がLM-1を持ち出したのかも不明です。 しかし自衛隊は状況証拠から行方不明のまま懲戒免職とすることを決めます。また、航空機の管理を担当していた自衛官ら7名にも問責が行われました。 こうして「自衛隊機乗り逃げ事件」は幕引きの時を迎えましたが、多くの謎や疑問点を残したまま40年以上経過した現代でも解明されていません。
飛行機整備士の男の犯行の動機
飛行操整備士の男が機体とともに消えてしまうなど考えられないことです。あり得ない事件の顛末には多くの人々が関心をよせました。中でもさまざまな憶測を呼んだのが犯行の動機です。本人不在のままでは真相は闇の中ですが、考えられる動機を検証してみましょう。
事件当時酒に酔っていた
事件当時飛行機整備士の男は酒に酔っていたことが確認されています。そのため当初は酔った勢いで犯行に及んだと推察されました。 アルコールが入ると妙に気分が大きくなり、突拍子もないことを仕出かす人はおおくいます。しかし、航空機を格納庫から滑走路に導き実際に操縦できる人はいるでしょうか。 アルコールの量や体質にもよりますが、航空機に乗り込むまでに大概は酔いが醒めるものです。つまり正気に戻ったにも関わらず犯行に及んだことになり不自然さが残ります。
操縦方法を知らなかったと思われる
飛行機整備士の男はパイロットを目指していました。しかし、免許を取得するための試験には不合格となっています。 つまり操縦方法は知らなかった又は操縦するだけのスキルがなかったハズです。しかし前項で紹介したとおり機体はレーダーに接触しないよう終始低空飛行を続けていたことになります。 果たして航空機免許試験に不合格となるような男が、高い操縦スキルを持っていたと考えられるでしょうか。酔っていたとしたらなおさらです。
自衛隊機乗り逃げ事件の様々な説
前代未聞の「自衛隊機乗り逃げ事件」には動機1つにとっても不可解な点が多く「偶然」と片付けるには釈然としません。そのため諸説が独り歩きしているのが現状です。果たして事件の真相とは如何なものだったのか、いくつかの説を検証してみましょう。
海上で墜落した説
最もスタンダードなのが海上で墜落した説です。宇都宮飛行場から飛び立ったLM-1は太平洋側もしくは日本海側に大きく旋回したと想定されています。 レーダーに写っていないことから、海に出るまでは低空飛行が続いたと考えることができるでしょう。ところが何らかのトラブルで海上で墜落し男と機体は深い海の底に沈んだとする説です。 可能性は高いと感じられますが、海に出るまで低空飛行を続けることが可能であったかは甚だ疑問といえるでしょう。
北朝鮮に渡った説
1970年代の幕開けは北朝鮮による誘拐が横行していた時代です。日本国内にも多くの北朝鮮工作員が侵入しており、諜報活動や誘拐が日常茶飯事でした。 北朝鮮がアメリカの開発した飛行機の構造を知りたがっていたとするとどうでしょうか。最新式のアメリカ製航空機の強奪だけでなく日本人男性の捕獲にも成功したことになります。 また、北朝鮮諜報員であれば航空機を格納庫から運び出すことも低空飛行も可能だったといえるでしょう。
真相は未だに謎のまま
「自衛隊機乗り逃げ事件」が発生してから40年以上が経過し人々の記憶からも消え去りました。自衛隊機が自衛官とともに消えるなど、後にも先にもこの事件だけであり犯行動機に大きな関心が寄せられました。 犯行に及んだ男は無免許であり、事件当日は飲酒をしていたことが確認されています。酒の勢いだけで犯行に及んだとは到底考えられません。 そこで噂されているのが北朝鮮の諜報員による陰謀説です。陰謀説であれば犯行に及んだ男に操縦スキルがなく、酔っていたとしても合点がいきます。