つくば母子殺人事件は医師の野本岩男が妻子を殺害した事件。夫婦間トラブルの真相とは？

1分でわかるつくば母子殺人事件

つくば母子殺人事件とは

エリート医者が妻子3人を殺害し遺棄した事件
原因は夫の経済観念欠如と浮気
無期懲役の判決には同情の声も

群馬一家3人殺害事件は小暮洋史のストーカー問題が原因の殺人事件。犯人の行方は不明のまま。群馬県で起きた「群馬一家３人殺害事件」は未解決のストーカー事件です。ドラッグストアに勤務する女性に一方的に行為を寄せていたトラック運転手はストーカー行為を繰り返していました。女性には婚約者がおり逃げ続けていましたが遂に自宅に押し寄せてきます。犯人は女性の祖母、母、父を立て続けに殺害し、20年以上にわたって行方をくらましています。

つくば母子殺人事件の概要

つくば母子殺人事件は夫である医師の野本岩男によって妻子3人が殺害され、死体が遺棄された事件です。母親は当時31歳、子供はそれぞれ2歳と1歳でした。何者かによって妻子を殺害された悲劇の被害者であるはずの夫が、実は犯人だったというドラマのような事件でした。

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野本岩男が妻と子供3人を殺害

1994年10月29日早朝、夫である野本岩男と妻が夫の浮気を巡って口論になり、妻の言葉にカッとなった夫は妻をロープで絞め、口と鼻を手で塞いで殺してしまいました。父親が殺人犯になったのでは残される二人の子供は不憫だとの理由で野本岩男は二人の子供も首を絞めて殺しています。夫は当日そのまま病院に出勤し、夕刻家に帰ってから三人の遺体を車に積んで横浜の大黒ふ頭まで運び、海に遺棄しました。

母子三名の遺体が発見された

母子3人の遺体は11月3日になって京浜運河で浮いているところを発見されました。遺体が入れられていたビニール袋にはおもりがつけられていましたが、遺体から発生するガスがビニール袋に充満したため浮き上がってきたものとみられています。捜査の結果3人の身元は茨城県つくば市に住む母子であることが判明しました。3人には夫の野本岩男から捜索願が出されていました。

野本岩男は自首

野本岩男は三人を殺害後、遺体を車に積み込み横浜の大黒ふ頭に向かいましたが、何と途中で新宿の歌舞伎町に寄りストリップを見てソープランドに行っていました。当初野本岩男は家に帰ったら三人がいなくなっていたので捜索願を出したと悲劇の主人公を演じていましたが、捜査にあたった警察は最初から夫の野本岩男を犯人として目星をつけていました。周囲への聞き取り調査から家庭内がうまくいっていなかったことが判明し、遺体の状態から三人は自宅で殺害された可能性が高かったからです。 11月25日警察は野本岩男逮捕に踏み切りました。犯人は取り調べに対してシラを切り通していましたが、横浜の大黒ふ頭に向かう車がNシステム（自動車ナンバー自動読み取り装置）に映っている決定的な証拠を突きつけられ、ついに自白しました。

野本岩男と家庭での問題

医者という社会的に恵まれた立場の野本岩男がなぜこのような犯行に及んだのでしょうか。そこには想像以上に経済的に追い詰められていた野本家の家計事情と、いい加減な野本岩男の女性関係を原因とする限界に達していた夫婦間のトラブルがありました。

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野本岩男は高収入の医師で愛人がいた

犯人・野本岩男は絵に描いたようなエリートでした。茨城の農家の次男と生まれた彼は子供の時から秀才でとおっており、中学生の時には学年トップの成績だったようです。有名な進学校の高等学校を卒業後一浪はしましたが筑波大学の医学部に進学しました。卒業後は筑波大学附属病院での研修医勤務を経て他の病院で本格的にに医師として務めます。高学歴で高収入の医者という肩書きは女性にもてます。野本岩男は殺害した妻と研修医時代に出会っていますが、彼には別に交際していた女性がおり、やがて結婚する妻とは浮気だったようです。結婚後も野本岩男の浮気はやむことはなく、交際していた女性は8人にものぼるとされています。

野本岩男は借金があり生活は楽ではなかった

野本岩男の経済感覚は通常とは少しかけ離れたものがあったようです。確かに野本岩男は雇われとはいえ医者ですから、一般のサラリーマンに比べるとかなり高額な年収を稼いでいました。彼は相当な額をマンション投資につぎ込んでいました。しかしながらマンション投資は裏目に出て巨額の損失を出していたようです。浮気相手の女性にも湯水のごとくお金をつぎ込んでいました。このため高収入にもかかわらず野本家の家計は火の車で、妻は昼間だけでなく夜も働かざるを得ない状況でした。

野本岩男と妻の離婚騒動が事件の引き金

殺害された妻は野本岩男とは二度目の結婚でした。最初の夫との間には二人の子供もいましたが、夫の商売がうまくいかず離婚することになりました。子供は夫が引き取ったようです。野本岩男と出会い二度目の結婚を果たした彼女でしたが、結婚後の生活は夢見た豊かな医者の妻とはかけ離れたものでした。野本岩男は多額の借金を抱えており、家計は火の車で、妻は昼間は事務の仕事をして夜はランジェリーパブで働くという状態でした。このような生活に夫の浮気が重なっていたのですから、夫婦仲がこじれるのは当然です。事件があった日は妻が夫の浮気を勤務先の病院に話すと夫に詰め寄り、「自分が嫌いならいっそ殺せばいい」と包丁やロープを持ち出したことから、夫がカットなって妻を絞め殺してしまいました。

つくば母子殺人事件の裁判

犯行を認めた野本岩男はどのように裁かれたのでしょうか。裁判の第一審は横浜地裁で行われました。夫婦喧嘩が原因とはいえ、いたいけな二人の子供も手にかけた被告をどのように裁くか、またランジェリーパブで働く医者の妻という話題性もあって、マスコミも注目する裁判になりました。

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野本岩男に無期懲役

第一審で検察側は3人を絞め殺し海に遺棄するという残忍性や無垢な子供を手にかける行為は極刑をもってするしかないと死刑を求刑しました。一方弁護側は犯行は突発的なもので計画性は一切なく、ロープは妻が持ち出したものであることや子供を手にかけたのは不憫と思う親心だったと刑の軽減を主張しました。一審の結果は犯行の非道さは認めたものの計画性のなさや反省の態度を勘案し無期懲役の判決でした。検察・弁護両者が控訴しましたが、控訴審でも一審の判決が支持され野本岩男の無期懲役が確定しました。

夫婦喧嘩が原因の事件で罪が重すぎるとの意見も

この事件には異例の減刑嘆願書が寄せられました。その数は3,000にも及ぶとされています。嘆願書には犯人・野本岩男は実は好青年だったことや、医者としての彼を評価する内容が数多く綴られていました。一方でマスコミにはランジェリーパブで働いていた妻を悪女のように印象操作する側面が一部にありました。浮気が原因の夫婦喧嘩は世間にはありがちです。だからといって相手を殺害しても仕方がないとはとてもいえませんが、世間の中には夫婦喧嘩が原因の事件としては罪が重すぎるとの意見も一部あったことは事実です。

夫婦間のトラブルが最悪の事態を招いた悲惨な事件

つくば母子殺人事件は夫婦間のトラブルが最悪の事態を招いた悲惨な事件です。もちろん犯人である夫の経済観念欠如や浮気が夫婦喧嘩の要因ですから、非は犯人である夫・野本岩男にあります。人の人生に「もしも」はありませんが、もし野本岩男がもう少し経済観念があり、あれほど女性関係にだらしなくなければ、一家四人医者の家族として幸せな家庭を築けたかも知れません。このような事件では、「エリートにもかかわらず」という言葉がよくきかれますが、頭がよいことや高学歴・高収入であること、仕事ができることが必ずしも幸せな家庭を築く条件ではないことを教えてくれる事件でした。

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