1分でわかるソーカル事件
(画像:Unsplash)
ソーカル事件とは、1996年にニューヨーク大学の物理教授のアラン・ソーカルが現代思想系の学術誌に論文を掲載したことに端を発する事件です。 論文が掲載された雑誌が刊行された後、アラン・ソーカルは誰もが驚く発表をし、世間を騒がせました。それは自らの論文が全く内容の無く作為的に作った出来損ないの論文でした。
ソーカル事件とは
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物理教授アラン・ソーカルによって起こされた事件
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デタラメな論文を意図的に作成し世間に発表
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雑誌はソーカルの論文掲載してしまった
ソーカル事件の概要
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ソーカル事件はアラン・ソーカルによる、ポストモダン研究家達への批判行為のことをさします。この行動は浅い知識と理解にあぐらをかき、専門用語で一般人を遠ざけ、権威を笠に着た研究家達のあり方に一石を投じました。 そして狙い通り世の中はソーカル事件をセンセーショナルに取り上げ、大きな論争を巻き起こすことに成功しました。
嘘で作られたソーカル論文
タイトルは「境界を侵犯することー量子重力の変換解釈学に向けて」です。 このソーカル論文は、当時盛り上がっていたポストモダンの研究者たちの言葉を並べ賞賛するとともに、本来は全く関係の無い数学や物理学を関連付けて作成されました。 アラン・カーソル曰く、その論文は「専門家でなくても自然化学と高等教育を受けたものならば、いいかげんな内容であるとわかる」という程お粗末なものでした。実際に論文の中では人名をわざと間違えるなど、調べればすぐにわかる内容も含まれていました。
ソーカルの意図は研究者たちが嘘を見抜けるかだった
ソーカル論文が作られた意図は、デタラメな内容であるということを研究者達が見抜けるかどうかにありました。アラン・ソーカルは調べればすぐにわかる程お粗末な論文に対して、当時のポストモダン研究者たちが内容をきちんと吟味するかを見ていました。 しかし結果は誰にも見抜かれることなく、権威ある学術誌「ソーシャル・テキスト」の1996年5月版に掲載されることになりました。
アラン・ソーカル
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アラン・ソーカルはユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの数学教授とニューヨーク大学の物理学教授を兼任する学者です。 アラン・ソーカルの専門は統計力学と組み合わせ数学の分野ですが、ソーカル事件を発端として、ポストモダン主義に対する批判的人物であると、広く知られています。 ソーカル事件の他にも2013年にはポジティブ心理学を批判する論文を発表するなど、批評家としての顔も持っています。
ソーカル事件の経緯
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ソーカル事件は論文掲載を期に動き出します。ソーカル論文が学術誌に掲載されてすぐにアラン・ソーカルは「論文の内容がデタラメである」「ポストモダン研究者達はわかったふりをしているエセ研究者である」と発表しました。 この事件は瞬く間に世界中に広まり、一大センセーションを巻き起こしました。この影響はアメリカやとヨーロッパだけでなく、日本にも波及しました。
ソーカルの論文を『ソーシャル・テキスト』に掲載
1996年アラン・ソーカルは、デタラメをあたかも本当のように美しく並べたソーカル論文「境界を侵犯することー量子重力の変換解釈学に向けて」作り上げ、学術的権威ある雑誌ソーシャル・テキストに投稿しました。 その目的は内容がデタラメであるということを研究者達が見抜けるかどうかのテストでした。しかし研究者達がその意図を読み取ることはなく掲載が決定。ソーカル論文は高い評価を受け、ポストモダンの新境地を開くのであると絶賛されました。
掲載後ソーカルが自身の論文について内容がないことを暴露
アラン・ソーカルはソーカル論文がソーシャル・テキストに掲載された3週間後、別の学術誌リンガ・フランカでソーカル論文はデタラメであると発表しました。そしてそれは大きなセンセーションを巻き起こしました。 この一件はニューヨークタイムズなどの有力誌で取り上げられ、研究者では無い一般人までも目にすることになりました。 アラン・ソーカルは発表してすぐに「境界を侵犯することーあとがき」という論文をソーシャル・テキストに持ち込みましたが、当たり前のように却下されました。