1分でわかる旧石器捏造事件
旧石器捏造事件とは
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在野の考古学者藤村新一氏による遺跡捏造事件
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彼の捏造によって日本の旧石器時代研究は混乱し教育分野にも多大な影響
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捏造事件のあおりを受けて賀川光夫氏自殺の悲劇を生んだ
旧石器捏造事件の概要
旧石器捏造事件はアマチュア出身の考古学者藤村新一氏が自ら埋めた旧石器を自ら発掘するという自作自演による遺跡捏造事件です。日本の考古学全体に大きな影響を与え、教育分野にも影響が出ました。
考古学者の藤村新一が旧石器を捏造していた事件
事件を起こしたのはアマチュア出身の考古学者である藤村新一氏です。 彼は自ら古い地層に旧石器をあらかじめ埋めておいて、それを自ら掘り出すことにより、あたかも新たな旧石器遺跡を発掘したように見せかけていました。 彼の捏造を根拠に構築された旧石器時代に関する全ての学術体系や教育関係の教材などが全面的に見直され、再構築を余儀なくされました。
藤村新一は200以上もの遺跡を捏造した
捏造が発覚した際に藤村新一氏が捏造を認めた遺跡は二つでしたが、その後の調査で実に200以上もの遺跡の捏造が明らかになりました。 当時彼が発掘に出向く先々で次々と旧石器が発掘され、彼は「神の手(ゴッドハンド)」を持つ男として注目を集めました。彼の発掘によって70万年前には日本列島に人類が生活していたことが証明されました。 しかしながらこれらは全て彼の自作自演による捏造でした。彼があらかじめ仕込んでおいた旧石器を発掘して見せていただけでした。
毎日新聞により捏造が明らかとなった
事件は毎日新聞のスクープによって暴かれました。 毎日新聞は2000年11月5日の朝刊で藤村新一氏が旧石器をあらかじめ土壌に埋め込んでいる決定的写真とともに彼の遺跡捏造を報じました。 毎日新聞で取り上げられたのは宮城県と北海道にある二つの遺跡の捏造でしたが、その後彼が関係した全ての遺跡に対する再調査が行われ、その結果多くの旧石器遺跡の認定が取り消されました。再調査では掘り残されていた彼の捏造石器が発見されています。
藤村新一という人物
かつて旧石器遺跡発見の名人としてゴッドハンドという異名をとった藤村新一氏はどのような人物だったのでしょうか。また捏造が発覚した以後の彼はどのような生き方をしたのでしょうか。ここでは人間藤村新一の実像に迫ります。
藤村新一の経歴
藤村新一氏は1950年宮城県生まれです。少年の時たまたま土器を拾うことによって古代に憧れを抱いたとされています。 高等学校卒業後民間企業に就職しますが、考古学への興味を失うことなく休日などを利用して石器の収集を続けました。 石器探しの名人として日本の旧石器時代に関する歴史を数十万年単位で遡る数々の遺跡を発掘しますが、これらは全て捏造だったことが後に発覚します。
捏造発覚後の藤村新一
藤村新一氏は捏造発覚後宮城県松島町にある瑞巌寺に一時逗留しますが、その後福島県の精神病院に入院します。 家族は捏造事件発覚後激しい嫌がらせを受けるようになった模様で、最初の妻とは2001年に離婚しています。 彼は病状悪化を理由として面会謝絶状態を続け事件について多くを語っていません。精神病の障害者認定を受け、2003年には入院中の病院で知り合った女性と再婚しています。