大分一家6人殺傷事件は15歳の少年による殺人事件。判決やワタナベマホトとの関係に迫る。

「大分一家6人殺傷事件」が起こった当時は少年犯罪の悪質化を受けて、日本では厳罰化の動きが始まっていました。そして刑事処分の可能年齢を16歳から14歳に引き下げる法案が、国会で議論されていたのです。 しかし「大分一家6人殺傷事件」は改正少年法が成立する前に起こったため、通常の裁判では裁かれませんでした。

2000年11月に改正少年法が成立し、14歳以上であれば刑事責任を問われるようになりました。しかし「大分一家6人殺傷事件」は改正以前に発生したため、15歳の少年の刑事責任を問うことができなかったのです。 そのため被害者遺族は2001年11月、2億4000万円の損害賠償金を求めて民事訴訟を起こします。しかし被害者遺族側が約83万円の印紙代を工面することができず、大分地裁に一度却下されます。 その後簡易裁判所に再度申し立て、2003年に被害者遺族と犯人の両親の間で和解が成立します。それは「半年に一度犯人の反省状況を遺族に伝える」「総額2億4000万円になるまで毎月6万円の賠償金を払う」という内容でした。

「大分一家6人殺傷事件」の審判は、家庭裁判所で行われました。そこで争点となったのは、15歳の少年の責任能力の有無です。 前述したように、犯人である15歳の少年は安定したとは言い難い環境で育ってきました。家庭裁判所は精神鑑定を行い「そうした育成環境が、重症の小児期発症型行為障害の発症につながった」と考えたようです。 この精神鑑定で精神病ではなく重度の行為障害であると診断されたことで、責任能力があると見なされました。

2000年9月の時点で大分地方検察庁は大分家庭裁判所に対し、「少年院への送致が相当である」という意見書を提出していました。家庭裁判所もすぐに観護措置を決定し、少年は大分少年鑑別所に収容されます。 同年12月に家庭裁判所は、最終審判で保護処分を決定します。そして小児期発症型行為障害の治療と教育のため、少年を医療少年院へ送致します。 医療的処置が終了した2002年10月、少年は特別少年院に移送されたそうです。