熊谷連続殺人事件のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタンは精神疾患か？判決に注目が集まる。

1分でわかる熊谷連続殺人事件

熊谷連続殺人事件とは

ペルー国籍の男が警察から逃亡
6人を殺害する
死刑判決が覆された

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熊谷連続殺人事件の概要

熊谷に住む6人もの一般市民を殺害した犯人はペルー国籍の男でした。彼は警察から逃亡した末、次々に住居に侵入し住人を殺害しました。日本犯罪史上に残るこの事件は外国人労働者が増えつつある現代において、かなりの影響を及ぼしました。それと同時に警察のずさんな管理体制にも批判が集中しています。

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民家に侵入し支離滅裂な発言を繰り返した

事件が起きる前日に犯人の男は見ず知らずの市民の家に侵入していました。不審に思った住人は庭先で「警察を呼べ」とジェスチャーを交えて話す犯人を目撃しています。住人はすぐに警察に通報し、犯人は交番から駆けつけた警察官に身柄を確保されます。男はペルーから出稼ぎにやってきた労働者であり、近くの工場で働いていました。しかし警察との尋問では「故郷に帰りたい」と述べており、日本での生活は満足できるものではなかったようです。

警察が取り調べをしていた際の休憩時に逃走

警察署へと連行された男は取り調べ中に泣きだすなど、奇怪な行動をとっていました。親族に電話をかけさせても満足に話しはせず、常に挙動不審だったといわれています。その後タバコを吸いたがった男のために警察官一人を監視につけ喫煙休憩を与えました。しかし男は見張りの警官を振り切り逃走してしまうのです。警官もすぐに後を追いかけましたが、見失ってしまいます。警察官20人を動員し捜索しましたが、事件発生まで男が見つかることはありませんでした。

児童を含む男女6名が相次いで殺害された

逃走から一夜明け、ついに事件が起こります。自宅に侵入した男によって夫婦2人が殺害されてしまったのです。殺害現場には血文字のメッセージが残されており、事件の悲惨さを物語っています。警察は事件発覚後、逮捕状を取りましたが依然として足取りは掴めていませんでした。そして次の日にも一人暮らしをする女性を殺害し、すぐに別の自宅で3人立て続けに殺害しています。今度の被害者の中には小学生の子供もいました。

警察の捜査が及ぶと自殺を図り、重症を負った

事件当日、3つ目の殺人が起きた家に聴き込みに来た警官によって男は逮捕されました。殺人を犯した後も一人家の中に潜んでいたのです。男は警察に見つかるとすぐに投身自殺を図りましたが、数か所の骨折をしただけで命に別状はありませんでした。その後はしばらくの間意識が戻らない状態が続いています。入院から10日後、男の意識が回復しそのまま逮捕へと繋がったのです。事件後初の取り調べで男はすべての罪を否認しています。

犯人ナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン

合計6人を殺害した犯人はペルー出身のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタンでした。彼は精神疾患の疑いがあると考えられており、逃亡を許した警察にも非難の声が上がりました。外国人による犯罪行為が問題視されている中で起きた事件だったため、犯人の生い立ちに関する噂が絶えません。家族の中にはナカダと同じく殺人を犯している者もいます。

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兄がペドロ・パブロ・ナカダ・ルデニャ

犯人の兄は「死の使徒」の異名を持つペルーの犯罪史上最大の殺人鬼でした。彼は10代の頃から殺人に手を染め、逮捕される頃には合計で25人もの人を殺めたと言われています。現在は懲役35年を受けて服役していますが、当時ペルー中を騒がせた殺人犯です。そんな彼の血を受け継いでいるのか、弟が殺人を犯した際にも兄との関連性が疑われました。彼の性である「ナカダ」は養子縁組によって非合法的に取得した名字です。

精神異常があると考えられていた

犯人の姉の証言によると、彼は兄であるペドロの犯行を目撃していました。目の前で兄による殺人現場を見てしまった彼は精神に大きな傷を負ったと言われています。事件の前日に意味不明な言葉を放っていたり、警察署で突然泣き出すなど、彼の奇行は実際に目撃されています。事件についても全否定を繰り返しており、記憶能力も曖昧なようです。また事件前から強迫観念に駆られており、誰かに殺されることを恐れていたとの証言もあります。

熊谷連続殺人事件の裁判

当時の日本社会では6人も殺害したのだから死刑が妥当だと考えられていました。どんな理由であれ小学生まで殺めた犯人に対する怒りは大きかったのです。しかし、犯人に精神疾患の話が持ち上がりました。統合失調症患者による責任能力の有無は兼ねてより議論の対象になっていたため、事件への注目も多く集まりました。

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精神鑑定

前述したように、犯人は事件前から精神疾患が疑われていました。しかし事件直後に弁護士が申請した精神鑑定は却下されています。殺人現場には遺体を隠そうとした痕跡があり、統合失調症ではなく善悪の区別がついていたとの意見もありました。その後に行われた精神鑑定によると、犯人は何らかの被害妄想に襲われていたと証言されています。これは精神鑑定を担当した医師による証言です。弁護側はこれを基に無罪を主張しています。

第一審では死刑

2018年に行われた第一審では弁護側の意見を取り入れず、死刑を求刑しました。統合失調症であるという点も考慮されましたが、善悪の区別はついていたと判断されたようです。これを受けて被害者の遺族もコメントを発表し、インターネット上でも判決を肯定する動きがありました。責任能力についても十分に持っていたと認識されています。判決を聞いた犯人は日本語が曖昧ながら、裁判長の言葉を察したのか呆然と立ち尽くしたと語られています。

第二審では無期懲役

死刑判決により妻子を失った遺族に安心を与えたのも束の間、続く第二審では無期懲役に判決が変わりました。第一審の死刑判決は棄却されてしまったのです。理由は統合失調症の疑いが再び持ち上がり、裁判官による責任能力についての認識が変わったためです。本来死刑を受けるべき罪が、精神疾患によって減刑されたのでした。この判決はインターネット上でも話題になり、多くのユーザーが判決に対して非難の声を上げています。

警察の不手際が非難された

犯人への怒りと同時に、警察の対応にも非難の声が上がりました。最初に犯人を確保した際に逃がさなければ、殺人事件そのものが発生しなかったからです。また犯人が逃亡した際にも不手際が生じ、近隣住民に上手く危険性の伝達が出来ていなかったようです。地元警察の能力が高ければ事件は未然に防げたのかもしれません。

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不審者の逃走を許した点

犯人はタバコ休憩をした際に逃走しています。彼への監視員はたった一人だけであり、監視がよそ見をしたすきに逃走したため、危機感のなさも指摘されていました。しかし事件発生前は犯人についての危険性が明確に判断できておらず、殺人鬼の弟だという確証も得られていませんでした。単に「不審な男」という情報だけで男を確保したからです。また犯人が逃走した際に20人を動員しても発見が遅れてしまったことも非難の対象になっています。

逃走後の対処の問題

逃走を許した警察は総員で犯人を捜すのですが、この際に付近の住民らに逃走犯の情報を広く周知していませんでした。本当ならば放送や教育委員会を通じて安全を確保するよう指示を出すべき事態です。学校で犯人について少しでも注意喚起があれば第三の事件は起きなかったかもしれません。原因は現場を担当した警察官による情報の遅れや、伝達ミスなどが挙げられます。しかし犯人を取り逃がした警察の保身だという見方もありました。

遺族による損害賠償請求

このような警察の不手際を受けて、遺族である男性が警察相手に民事裁判を起こしました。妻子を失った原因の一部は警察にあり、謝罪と賠償を要求したのです。しかし結果は事件と警察との関連性は付けられず、遺族の訴えは棄却されてしまいます。事件当初は殺人犯ではなく、一般の外国人を相手にしていたためです。後から見ればアナウンスが必要な事件ではありましたが、殺人事件に発展するとは誰も考えていなかったのです。

今後の展開に注目

死刑が覆されたことが話題となり、多くの意見が飛び交っています。外国人労働者による犯罪は後を絶たず、最近ではベトナム人留学生による犯罪も増えました。労働者の受け入れはグローバル化が進む以上、促進すべきことなのですがデメリットもあります。厳しい労働環境も問題になっていますし、治安の悪化も懸念されています。今回の事件も数々の議論が巻き起こりました。精神疾患者や外国人による犯罪への対処も求められています。