1分でわかるジェームス・バルガー事件
1分でわかるニュースの要点
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10歳の少年2人が起こした2歳児誘拐殺人事件
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イギリス史上で最も残酷な少年犯罪と言われている
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犯人2人が8年で社会復帰したことが批判されている
ジェームス・バルガー事件の概要
幼児のジェームス・パトリック・バルガーが、2人の少年に誘拐されて暴行を受け、無惨に殺害された事件です。被害者が2歳だったこと、さらに加害者の少年が10歳だったことが、残虐な犯行と合わせて当時のイギリス社会に大きな衝撃を与えました。
1993年にイギリス・リバプールで起きた誘拐殺人事件
事件が発生したのは1993年2月12日、場所はイギリスのリバプールです。母親と一緒に買い物に来ていた被害者のジェームス・パトリック・バルガーが、母親の会計の隙に誘拐されてしまいました。15時39分に誘拐された様子が防犯カメラに映っており、他に38名の目撃者がいたそうです。 ジェームス・パトリック・バルガーが発見されたのは、事件から2日後のことです。約4km離れた線路沿いで轢死体となっていました。
被害者は当時2歳のジェームス・パトリック・バルガー
事件が大きく注目された要因の1つが、無惨に殺された被害者が幼かったことです。ジェームス・パトリック・バルガーは1990年3月生まれの男の子で、事件発生当時たった2歳11ヶ月でした。 被害者の母親デニス・ファーガスは著書「I Let Him Go」やインタビューなどで、小さな2歳の息子のために特注の棺が必要だったこと、外傷が酷すぎて最後に対面できなかったことを語っています。
犯人は当時10歳の2人の少年
事件が注目された2つめの要因は、2人の犯人が年端も行かない少年だったことです。犯人のジョン・ヴェナブレスとロバート・トンプソンはどちらも1982年生まれで、1993年当時たった10歳でした。 2人は事件当時、学校を無断で休んで現場に訪れ、発作的に誘拐を思いつきました。誘拐を目撃した人々は、10歳の少年2人が凶悪事件を犯すとは思いもよらず、犯行を見逃してしまったとのことです。
非常な残酷な殺人を行い、電車の事故死と見せかける
ジョン・ヴェナブレスとロバート・トンプソンは、暴行を加えながら被害者を約4km連れ回しました。 殴る蹴る以外にも青色のペンキを投げつけ、無数の乾電池を口などに押し込んだそうです。被害者が死亡した直接の死因は、重さ10kgの鉄棒による頭蓋骨骨折でした。 犯人の2人は証拠隠滅のため、被害者の遺体を線路上に放置し、事故死に見せかけました。その後、列車が遺体の上を通過したことから、轢死体のような形で発見されたのです。
ジェームス・バルガー事件犯人の懲役10年という短い刑期
事件の裁判は社会に与えた重大性などを考え合わせて、未成年の犯罪としては異例ながら、犯人2人の実名と写真経歴まで公開されました。民意で終身刑を求めたものの、結局は懲役15年となりました。さらに2人は釈放後、新しい身分が与えられたことで不満の声が上がっています。
刑期の少なさに世論が反対
ジョン・ヴェナブレスとロバート・トンプソンの裁判は、プレストン刑事法院で行われました。2人は裁判で未成年ではなく大人の犯罪者と同様に扱われましたが、判決自体は更正の余地がある年齢と判断され、当初懲役8年とされました。 しかし終身刑を求める28万名以上の署名が集まったことから、懲役15年に変更されました。ところが2000年になってなぜか刑期が見直され、結局ジョン・ヴェナブレスとロバート・トンプソンの懲役は8年に戻されています。