1分でわかる尼崎事件
1分でわかる「尼崎事件」
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尼崎市内の住宅を舞台に発生した連続変死事件
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複数の家族が角田(すみだ)美代子に支配され、奇妙な集団生活を送っていた中で起きた
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角田美代子は逮捕されたが留置所で自殺、事件の真相は明らかになっていない
尼崎事件の概要
2011年11月に兵庫県尼崎市の貸し倉庫でコンクリート詰めのドラム缶が発見されます。中から1人の女性の遺体が出てきました。 しかし、これは氷山の一角でした。容疑者を取り調べていくうちに異様な人間関係と陰惨な事件の存在が明らかになったのです。「尼崎事件」の経緯について見ていきます。
兵庫県尼崎市で起きた複数家族の乗っ取り
この事件は、兵庫県尼崎市内で少なくとも25年以上にわたり複数の家族が本物の家族のように営まれていた共同生活の中で起きました。 関わった家族は、主犯の幼なじみ(のちに義理の妹となる)の結婚男性の実家、主犯の遠縁、主犯の内縁の夫の中学時代の同級生の実家、家族Cの長女が嫁いだ家、父が大手私鉄会社に勤める家、その父の実家です。
尼崎事件の主犯は角田美代子
これらの家族を巻き込み、擬似家族の中心にいた主犯の女性が角田美代子です。逮捕時63歳。 「なぜこんな老人女性が」と世間は関心を持ちましたが、とりわけ乗っ取られた家族の被害者が加害者側に回った点に興味を持ったのです。 最終的に逮捕されたのは角田美代子のほか、その内縁の夫である鄭頼太郎、義理の妹である角田三枝子、次男である角田優太郎とその妻である角田瑠衣、義理の長男である角田健太郎、義理のいとこである李正則となっています。
黒幕は角田の交際相手の暴力団幹部という説も
乗っ取られた家族はそれぞれ経緯は異なりますが、脅迫や暴行を受け家族を死に追いやられた挙げ句、角田美代子に資産が奪われたのです。 この手口は実に巧妙で、単に相手を精神的・肉体的に追い込むのではなく、時には寄り添って共感するといった手法であったといわれています。被害者は洗脳されていたと考えられています。 あまりにも巧妙な手口ゆえ、黒幕は角田美代子の背後にいる暴力団幹部だとする説もあります。
マンションの倉庫で遺体が見つかったことで事件が判明
それまでも家族が行方不明になったという相談が警察に寄せられていました。相談の件数は50件にものぼったようです。しかし、民事不介入を理由に兵庫警察も積極的に捜査してこなかったといわれています。 ところが2011年9月、マンションの倉庫で死体が発見されたことで状況は一変しました。遺体はドラム缶にコンクリート詰めにされ、角田美代子の内縁の夫が借りていた貸倉庫に放置されていました。 この事件がきっかけで、角田美代子の奇妙な共同生活と数々の事件が明るみとなったのです。
少なくとも8人が死に追いやられた
警察の捜査で少なくとも死に追いやられたのは8人とされました。 「少なくとも」というのは、警察が起訴できた事件ということを意味しています。 公訴時効が成立していたり、証拠不十分などで起訴されなかった事件も含めると、もっと多くの人が角田美代子によって死に追いやられたのは間違いありません。
角田美代子によるマインドコントロールが行われていた
この事件は角田美代子が直接手を下すのではなく、取り込んだ家族を意のままに操り家族同士で暴力を振るわせ壊滅させたことが特徴です。 家族会議と称される話し合いが夜な夜な行われ、血がつながっている身内に対して暴力を振るわせたのです。 暴力や虐待が身内に及ぶことがわかっているにも関わらず、角田美代子への忠誠を誓ってしまう、それはまさにマインドコントロールであるといえるでしょう。