市橋達也によるリンゼイアンホーカー殺人事件。犯行動機や生い立ち、現在に迫る。

1分でわかる市橋達也によるリンゼイアンホーカー殺害事件

1分でわかるリンゼイアンホーカー殺害事件

英会話講師であるイギリス人女性の遺体が見つかる
同日捜査員が市橋達也宅に向かうが、隙をついて逃走される
市橋達也は2年7カ月にわたって逃亡するが2009年11月に逮捕

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市橋達也によるリンゼイアンホーカー殺害事件の概要

「リンゼイアンホーカー殺害事件」は、2007年3月20日に犯人である市橋達也と被害者女性が電車で乗り合わせたことがきっかけで起こりました。ここでは市橋達也と被害者であるリンゼイアンホーカーさんの出会いから、殺害に至るまでの経緯について詳述します。

市橋達也がリンゼイアンホーカーをナンパし英会話のレッスンを頼んだ

2007年3月20日の深夜、リンゼイアンホーカーさんは行徳駅から西船橋駅に向かう電車に乗っていました。その社内に市橋達也がおり、リンゼイアンホーカーさんに話しかけます。面識のない市橋達也に不信感を抱いたリンゼイアンホーカーさんは、西船橋駅で下車しましたが市橋達也が後をついてきます。そしてリンゼイアンホーカーさんに英会話の個人レッスンを頼み、自宅で水を飲ませてくれるよう頼みました。自宅にはルームメイトも同居していたので、リンゼイさんは市橋達也を招き入れます。その際市橋達也は自分の名前・電話番号・メールアドレスを書いたメモと、リンゼイアンホーカーさんの似顔絵を残して帰宅しました。

市橋達也はレッスン代を取りに行く口実でリンゼイアンホーカーを家に連れ込んだ

リンゼイアンホーカーさんは市橋達也と何度かメールをやりとりし、1時間3500円で英会話の個人レッスンを引き受けることにしました。そして2007年3月25日に、初めて個人レッスンが行われました。英会話のレッスンは喫茶店で行われました。その終了後市橋達也は「レッスン料を忘れたので一緒に自宅に行ってほしい」と、リンゼイアンホーカーさんに告げます。それを信じて市橋達也の自宅に同行したリンゼイアンホーカーさんは、そのまま監禁されてしまったのです。

市橋達也はリンゼイアンホーカーを監禁した

市橋達也はリンゼイアンホーカーさんが自宅に入り、ドアを閉めると豹変しました。市橋達也は玄関脇に輪にした結束バンドをあらかじめ用意しておき、リンゼイアンホーカーさんの手足を拘束し強姦に及びました。市橋はその後、自宅の和室に浴室から取り外した浴槽を運びます。そして浴槽の中にリンゼイさんを入れ、監禁したのです。

市橋達也は抵抗したリンゼイアンホーカーを殺害した

リンゼイアンホーカーさんは市橋達也の暴行を受けている間、必死に抵抗していました。また浴槽に監禁された後も、拘束を解くために抵抗を続けたのです。その度に市橋達也に暴力を加えられましたが、リンゼイアンホーカーさんは抵抗を続けました。そして監禁から16時間後、3月26日に絞殺されたのです。後に裁判で市橋達也は「殺意はなかった」と証言しています。騒いだリンゼイアンホーカーさんを黙らせるために口をふさぎ、首に腕を巻き付けたゆえの過失だったと言いたかったようです。

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リンゼイアンホーカーのルームメイトが捜索願を出した

2007年3月26日、リンゼイアンホーカーさんのルームメイトのところに勤務先から電話が入りました。そして「リンゼイアンホーカーさんが無断欠勤している」と告げられたのです。ルームメイトはリンゼイアンホーカーさんから、前日に市橋達也に個人レッスンを行うことを聞いていました。そのためすぐに警察に通報し、捜索願を出しました。

市橋達也について

2年7カ月にわたって逃亡を続けた市橋達也に対し、凶悪犯であるというイメージを持つ人が多いようです。ここでは日本各地を転々としながら、警察を翻弄した市橋とはどんな人物なのでしょうか。その生い立ちから現在に至るまでについて、詳述します。

市橋達也の親は医者で裕福な家庭だった

市橋達也は1979年に、医師の父と歯科医の母のもとに生まれました。エリート一家で何不自由なく育った市橋達也は成績優秀で、運動神経も良かったようです。中学時代にはバスケットボール部の副キャプテンを務め、県内でも有数の進学校である高校に進みます。高校時代の市橋達也の目標は医師になることで、理系クラスを選び勉強に励んでいたようです。

大学受験に失敗する落ちこぼれだった

高校時代までは成績優秀と言われていた市橋達也ですが、大学受験に失敗し初めての挫折を味わいます。第一志望としていた大学の医学部に、落ちてしまったのです。その後も浪人生活を続け受験に挑戦しましたが、医学部合格はかないませんでした。そして四浪の末、千葉大学園芸学部に進学します。それは市橋達也にとって、納得のいく選択とはいえなかったのでしょう。

市橋達也はイケメンであると話題で、ファンクラブも存在した

中学時代の市橋達也はリーダー的存在で、明るい性格だったことから男女問わず人気があったといわれています。しかし高校時代になると一部の友人からは、「お山の大将」と揶揄されるようになります。逮捕後に市橋達也の顔写真がニュースや新聞で公開されたところ、イケメンだと話題になりました。そして2009年11月にSNSの「mixi」に市橋達也のファンクラブができたのです。そのコミュニティでの記述を見て、激怒した人も少なくありませんでした。

市橋達也をモデルにした映画

2013年11月、市橋達也をモデルにした映画「I am ICHIHASHI 逮捕されるまで」が公開されました。人気俳優であるディーン・フジオカさんが、監督・主演・主題歌を務めています。「逮捕されるまで　空白の2年7カ月の記録」という市橋達也が出版した手記をベースに製作された作品は、逃げ続ける犯人の心の移り変わりに主軸をおいてストーリーが展開しているそうです。

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市橋達也の現在

2012年4月25日に無期懲役が確定した市橋達也は、長野刑務所に収監されました。そして2019年9月現在も、そこで服役しています。長野刑務所での市橋達也の暮らしぶりは伝わってきませんが、おそらく他の受刑者同様に軽作業に明け暮れる日々を送っていることでしょう。無期懲役でも仮釈放はありえますが、最短でも30年が必要といわれています。市橋達也が仮出所できたとしても、60歳を超えることが予想されます。

市橋達也の逃亡と整形

2007年3月26日に捜査を開始した警察は、喫茶店の防犯カメラに映ったリンゼイアンホーカーさんと市橋達也の姿を確認し自宅に向かいました。しかし市橋は捜査員の隙をついて逃走し、その後2年7カ月にわたって整形しながら逃亡生活を送るのです。ここでは市橋達也の逃亡生活について、整形も含めて詳述します。

自分でカッターナイフを用いて整形をした

市橋達也が逃亡した時、所持金はわずか5万円でした。そのため逃げる途中の住宅地でゴミをあさり、サンダルと上着を拾って着替えます。そして放置自転車を盗みコンビニで裁縫道具を購入し、東京大学付属病院の障碍者トイレに入ると自分の鼻先を糸で縫い、縛り上げたのです。さらに顔の特徴であるほくろと下唇を、自らカッターで切り落としました。これが市橋の整形の始まりだったのです。

様々な場所を転々とし沖縄のオーハ島に潜伏

自ら整形した市橋達也はまず、人口が少ないと予想した北関東を転々とします。しかし事件の報道が過熱したことで、一度は青森まで北上します。しかし青森で逃走資金を稼ぐのは難しいと判断し、大阪に向かいます。しかし仕事には付かず四国のお遍路を巡る中で、捕まることへの不安が高まったようです。そのため無人島での生活を考え、沖縄にあるオーハ島に潜伏すると決めました。

懸賞金が1000万かけられた

市橋達也の逃亡期間が長くなるにつれて、千葉県警行徳署捜査本部の焦りの色が濃くなっていきました。捜査員も100名から150名に増員したものの、市橋達也の足取りはつかめませんでした。指名手配のポスターを3万枚作って掲示しましたがこれも効果がなく、捜査本部は「公的懸賞金制度」の適用を決めます。上限を100万円とする、懸賞金がかかることになったのです。懸賞金により広く情報収集を図ったものの思うほどの効果がなく、その後報奨金は1000万円まで引き上げられました。

市橋達也の逮捕と裁判

2008年10月に市橋は、名古屋の美容整形外科で初めての整形手術を受けます。その際指名手配書と患者の顔が似ていることに気づいた病院スタッフが、警察に通報しました。その美容整形外科が持っていた整形後の写真が公開され、かつて市橋達也が働いていた建設会社からも電話が入ります。そしてついに市橋達也は、2009年11月10日に神戸のフェリー乗り場で逮捕されました。ここでは逮捕から裁判までの経緯を詳述します。

沖縄行きのフェリーターミナルにて逮捕された

2009年11月5日、市橋達也は整形手術を受けるため名古屋市内の美容形成外科にいました。その手術の際、病院スタッフがほくろが不自然に除去された跡があることに気づきます。その位置が指名手配犯である市橋と同じ位置だったため、警察に通報しました。しかし市橋達也は予約を入れていた抜糸をするはずの診察日に、病院に来ることはありませんでした。そのため病院長は整形後の写真を警察に提供し、それがマスコミを通じて公開されたのです。その事実を知った市橋達也は、沖縄に戻ろうと考えました。一度は鹿児島まで行ったものの逮捕を恐れ、神戸まで戻ってフェリーに乗ることにします。その沖縄行きのフェリー乗り場で、2009年11月10日についに逮捕されました。

市橋達也に無期懲役の判決が下される

市橋達也は千葉地検によって2009年12月4日に死体遺棄罪で起訴され、同月23日には殺人と強姦致死でも追起訴されました。千葉地裁で初公判が行われたのは2011年7月4日で、裁判員裁判でした。市橋達也は被害者を死なせたことは認めたものの、殺意はなかったと主張します。被害者家族は死刑を求めていたものの、市橋達也には前科がなく被害者も1名だったことから無期懲役の判決が下ります。その後控訴しましたが、2012年4月11日に棄却されました。そして検察・弁護側双方が上告しなかったため、刑が確定しました。

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リンゼイアンホーカーさんについて

殺人事件の被害者となってしまったリンゼイアンホーカーさんは、事件当時22歳の美しい女性でした。事件発覚後はイギリスから家族が来日し、インタビューにも答えています。ここでは市橋達也の犠牲者となったリンゼイアンホーカーさんがどんな人物だったかについて、解説します。

イギリス人で英会話教師であった

イギリスから来日したリンゼイアンホーカーさんは、英会話教師として千葉県市川市の英会話学校で働いていました。友人とルームシェアしながら、日本での生活を楽しんでいたことでしょう。英会話教師として働いていたからこそ、市橋達也に個人レッスンを頼まれた時に無下にできなかったのかもしれません。それが残念ながら、悲劇につながってしまいました。

リンゼイアンホーカーが可愛いと話題になった

「リンゼイアンホーカー事件」は、マスコミで過熱報道されました。その報道過程で、リンゼイさんの様々な写真が出回ったのです。リンゼイアンホーカーさんはまだ22歳と若く、「可愛い」と巷でも評判となりました。電車内で市橋達也が初めてリンゼイアンホーカーさんと出会った時、後を追いかけたのもその美しさゆえだったのかもしれません。

リンゼイアンホーカーの家族が来日して被害を訴えた

「リンゼイアンホーカー事件」が起こった後、家族は何度か来日しています。殺害直後はもちろん、市橋達也が後に逮捕されることになる2009年の春にも来日しました。その際には東京都内にある英国大使館で記者会見に臨み、被害を訴えました。また2011年7月に行われた市橋達也の裁判員裁判では、被害者参加制度を活用して裁判にも参加しています。

まとめ

2年7カ月にわたる逃亡劇が話題をさらった、「リンゼイアンホーカー事件」について解説しました。犯人である市橋達也が手記を発表するなど、逮捕後も注目を集めた事件でした。しかし若く美しいイギリス人女性が奪われた尊い命は、二度と戻ることはありません。自分の欲望を満たす目的で女性の命が奪われるなど、あってはならないことです。この事件も風化させることなく、犯罪防止につなげたいところです。