1分でわかるはれのひ事件
はれのひ事件の要点
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はれのひが成人式当日に店舗閉鎖し篠崎洋一郎が雲隠れ
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はれのひは深刻な経営難に陥っていた
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はれのひの社長・篠崎洋一郎に2年6ヶ月の実刑判決
はれのひの会社概要
全国各地で成人式が行われた2018年1月8日「はれのひ株式会社」は前触れなく突然閉鎖されました。 同社は振袖の販売とレンタルのほか着付けや写真撮影といった事業を展開し、事件当時は4店を構えていました。その母体は振袖販売店を対象にコンサルティング業を営んでいた「シーン・コンサルティング株式会社」で、2016年2月にはれのひ株式会社に社名変更しています。 同社は豊富な品揃えとリーズナブルな価格を売りに、業務拡大を目指していました。しかし2016年末より社員への給与遅配が起こっており経営状況は悪化していたようです。
成人式の日に店舗を閉鎖
後に「はれのひ事件」と呼ばれるようになる4店舗の閉鎖が起こったのは、成人式当日である2018年1月8日でした。 振袖をはれのひ株式会社で購入あるいはレンタルした女性たちは予約時に指定された着付け会場の向かいました。しかし予約していた振袖は会場に届いておらず、施設担当者が店やはれのひ株式会社本社に電話しても通じません。 被害者たちは時を置かずに、はれのひ株式会社が運営する4店全てが閉鎖されている事実を知らされます。 1月6日までは4店舗はすべて通常営業を行っていたことが確認されています。しかし神奈川県にある横浜店と東京都の八王子店は、8日の朝にはもぬけの殻になっていました。 さらに1月7日の時点において、すでに従業員が出社していなかったことが後に明るみに出ます。
成人式に振袖を着られない成人が続出
はれのひ株式会社では前払いで振袖のレンタルや着付けを受け付けていました。 それにも関わらず着付け会場にも断りもなく全店閉鎖に踏み切り、この日を楽しみにしていた数多くの新成人が振袖を着ることができなかったのです。 各店舗や本社と連絡がとれない状況を理解した予約客が、相次いで警察に通報を始めます。その数は200件以上に上りました。 その後福岡天神店だけは独自の判断で営業し、派遣会社から無償でスタッフが送られたこともあり着付けを行ったといいます。 しかしそうとはいえ予約した振袖を着ることができなかった新成人の方が圧倒的に多く、金銭面だけでなく精神的な被害が甚大でした。
はれのひの社長・篠崎洋一郎は雲隠れ
事件が起こった2018年1月8日、篠崎洋一郎社長は所在不明の状態でした。取引先はもちろん社員とも一切連絡を取らず行方をくらましたのです。警察や消費者センターに相談が殺到する様子がワイドショーで紹介されていたことも記憶に新しいでしょう。 その後篠崎洋一郎社長が姿を現したのは、はれのひ事件から2週間が経過した1月26日の謝罪会見でした。この間にはれのひ株式会社の破産手続きを進めています。 被害にあった新成人も含めた債権者集会が2018年6月に行われた時ですら篠崎洋一郎社長は出席していません。
同業者や地方自治体などが新成人向けに着付けなどのボランティアを行った
はれのひ事件当日、警察や消費者センターへの問い合わせが殺到しました。そうした事態を受けて被害者救済に乗り出した自治体もあります。 事件当日に美容師などのボランティアを募り、成人式会場内に特設スペースを設けて着付けを行ったのは東京都八王子市でした。また神奈川県横浜市では着付けが遅れてしまう新成人に配慮して午前の部に間に合わなかった人も午後に参加できるようにしました。 事件後にも被害者救済の輪が広がり八王子市の呉服店主や美容師100名以上が「八王子成人式プレゼント実行委員会」を立ち上げ再度成人式を執り行いました。 この他にもスタジオアリスがはれのひ事件の被害者に対し、無料で振袖レンタルと着付けを行っています。
横浜市などが後日成人式を再度開催
横浜市では「はれのひ」被害者特別法律相談窓口を2018年1月18日より時間限定で設置しました。また同市教育委員会は「新成人への善意の輪」という企業や団体から申し出のあった被害者支援を紹介するウェブサイトを開設しています。 事件当初は横浜市も成人式の再開催を検討していました。しかし時間の経過と共に様々な企業や団体からの申し出があったこともあり実施には至っていないようです。 タレントの西野亮廣さんがクラウドファンディングで運営資金を集め、横浜港から出港する船上ディナーで「リベンジ成人式」を行ったことが印象に残っている人も多いことでしょう。こうした善意の輪が広がり、救われた被害者もいたのも事実です。
急速な店舗拡大により業績は悪化していた
2018年1月26日に横浜地方裁判所が破産手続きの開始を決定してから、はれのひ株式会社の篠崎洋一郎社長はようやく記者会見を行いました。 同社は2020年までに全国100店舗を目指し一時は6店まで店舗を拡大していました。しかし店舗増に売り上げが追いつくことはなく、人件費などのコスト増が影響して2016年9月期には赤字だったことが語られたのです。 しかし篠崎洋一郎社長はこの事実を隠し2017年の9月期決算を確定させていません。求人サイトに掲載されていた売上高は虚偽で、2017年12月には金融機関から追加融資を断られていました。 その時点ですでに2018年1月8日に発生する会場費や着付け費用を支払える見込みはなく、当日の店舗閉鎖に踏み切ったと話しました。