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ディオバン事件は製薬会社社員が論文作成に加わり、データの改ざんがされた論文が宣伝に用いられた事件。

もくじ

1分でわかるディオバン事件

ディオバン事件とは

  • 高血圧の治療薬「ディバオン」の論文に不正データ
  • 臨床研究には製薬会社社員が関与
  • 5大学から発表された論文は全て撤回

「ディオバン事件」は、高血圧の治療薬「ディオバン」の臨床研究をまとめた論文に、製薬メーカー社員が関与した不適切なデータが使用されていた不正事件です。 なお、ディバオンの論文は京都府立大学、東京慈恵会医科大学、滋賀医科大学、千葉大学、名古屋大学から発表されていますが、全てが撤回される異例の事態となりました。

ディオバン事件の概要

(画像:Unsplash

「ディオバン事件」の問題は発表された論文の根拠となるデータが不適切であったことだけでなく、臨床研究に大学黙認のもと製薬メーカー社員が参加していたことが隠ぺいされたことです。 そこで、なぜ製薬メーカー社員が臨床研究に参加してはいけないのか、また、論文はどうして撤回されたのかなど「ディオバン事件」の概要を説明します。

 

治療薬ディオバンに関する不正事件ん

「ディオバン事件」は高血圧治療薬ディオバン(ノバルティスファーマ社)に関する臨床データが、製薬メーカー社員によって不適切に操作されたものであることが発覚した不正事件です。 ディオバンの国内販売は2000年に認可されており、国内では年間1,000億円の売り上げがあっただけでなく、欧米などでも製造・販売されています。 しかし、製薬メーカー社員が関与したデータを使用した論文が販売促進に使われていたとして、世界各国から批判を浴びることになりました。

ノバルティスファーマ社の社員による利益相反問題

「ディオバン事件」の大きな問題はデータ改ざんだけでなく、ディオバンを販売するノバルティスファーマ社社員が大学の臨床研究に関わっていた「利益相反問題」である点です。 臨床研究に関わった社員は既にノバルティスファーマ社を退社していますが、実質的に臨床研究の携わっていたことは裁判でも明らかにされています。 つまり、製薬メーカーが不適切に改ざんしたデータを使用した論文で販売促進を行うと誇大広告となり、旧薬事法違反の疑いが出てくるのです。

2012年・2013年に論文撤回

京都府立医科大学のディバオンに関する論文について、2012年に発表された解析論文にも不正なデータがあることが発覚し撤回を余儀なくされ主論文も2013年には撤回されます。 その後、東京慈恵会医科大学、滋賀医科大学、千葉大学、名古屋大学が発表した論文も次々と撤回されました。 つまり、5つの大学から発表されたディオバンに関する主論文は、いずれも臨床研究におけるデータが不適切であることが発覚し、全てが撤回されるといった異常事態に陥ります。

ノバルティスファーマ社社員の関与が明らかになる

「ディバオン事件」に関する主論文に共通する問題は、それぞれの大学の臨床研究にディバオンを販売するノバルティスファーマ社社員が加わっていたことです。 本来、大学と製薬メーカーは利益相反関係にありますから、製薬メーカー社員が臨床研究に参加すると販売に有利なデータに改ざんされる恐れがあるため、臨床研究に参加した場合には公表する義務があります。 しかし、ディバオン事件では製薬メーカーの参加が公表されなかったため、意図的に臨床データが操作された疑いが強く持たれたのです。

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ディオバン事件による反応

「ディオバン事件」は日本国内のみならず世界中に大きな波紋を広げ多額の損害を生み出したばかりではなく、日本の製薬メーカー全体の信用を失墜させかねない事態に陥り、大学や関係機関は対応に追われることになりました。 そこで、「ディオバン事件」発覚後の、厚生労働省など関係機関及びノバルティスファーマ社の対応について紹介します。

厚生労働省

厚生労働省は2013年8月に「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」を立ち上げ、その後、複数回にわたって同委員会を開催して中間報告をまとめました。 また、2013年11月に開催された参議院厚生労働委員会における質疑では、田村康生労働大臣(当時)はディオバンの臨床データに不正があったことを公式に答弁します。 さらに、2014年1月にはディオバンの販売元であるノバルティスファーマ社を旧薬事法違反の疑いで東京地方検察庁に告発しました。

医学学会

医学学会は京都府立医科大学に対し、臨床試験へのノバルティスファーマ社の参加やデータ改ざんなどの経緯報告を求めます。 2013年に提出された京都府立医科大学の報告に対して、ディバオン臨床試験において製薬メーカーとの関わり方や倫理審査、利益相反状態の審査に問題があったことを指摘しました。 そして、再発防止策として全国医学部長病院長会議などの組織や団体が連携・協力して、臨床試験におけるルール作りをすることが確認されます。

大学

ディオバンに関する論文を発表した京都府立大学、東京慈恵会医科大学、滋賀医科大学、千葉大学、名古屋大学は、2013年からそれぞれの大学で調査委員会等を設けます。 各大学の中間報告において恣意的なデータ操作はなかったとされましたが、さらに専門医などから不適切なデータや改ざんを指摘され、結果的に全ての論文が撤回されることになりました。 なお、論文に関わった教授ら関係者については、給与の自主返納や厳重注意など厳しい処分が下されています。

ノバルティスファーマ社

論文の問題点が指摘され始めた当初、ノバルティスファーマ社は臨床データに不正はないとの見解を示していました。 しかし、独自調査により2013年6月には臨床研究における利益相反の事実を認め、同年9月には5大学の論文撤回を受け、論文を引用した販売促進を行ったことをホームページ上で謝罪することになります。 その後、2013年11月には再発防止策として「コンプライアンス・アドバイザリーボード 〜再発防止に向けて〜」を設置しました。

逮捕されたノバルティスファーマ社の男の判決は無罪

臨床研究に参加したノバルティスファーマ社の社員は、事件発覚後、同社を退職していますが旧薬事法違反の罪で逮捕・起訴されます。 裁判において元社員は、データ改ざんの目的は多額の奨学寄付金を得ることであり、医師らの関与があったことを告白したため、各大学の医師らが証人出廷して互いに責任転嫁を図る一幕もありました。 東京地裁は論文掲載のプロセスに問題はなく、そのことがディオバンの購入意欲を直接喚起・昂進させたとは言い難いとして元社員に無罪判決を言い渡します。

まとめ

ディバオン事件は、製薬メーカー社員が臨床研究に加わり不適切なデータを用いることで、販売促進につながる論文を作成したとされる不正事件です。 裁判において、臨床研究に加わった元製薬メーカー社員には無罪判決が下ったものの、その後の臨床研究と製薬メーカーの関わり方や利益相反状態の審査に大きな影響を与えました。

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