1分でわかる「怪しいお米セシウムさん」騒動
「怪しいお米セシウムさん」騒動とは
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不謹慎なテロップが無関係なテレビ番組中に表示
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これによって風評被害が拡大
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非難殺到で番組は打ち切り
「怪しいお米セシウムさん」騒動の概要
2011年東海テレビの「ぴーかんテレビ」というローカル番組で、東日本大震災で大変な被害を受けた東北の農家に唾棄するような、番組とは全く関係ないテロップが流される事故が発生しました。流されたテロップの内容から「怪しいお米セシウムさん」騒動と呼ばれています。
「別冊!ぴーかんテレビ」の当選者発表テロップが不適切だった
その日「ぴーかんテレビ」の関連番組「別冊!ぴーかんテレビ」では「しあわせ通販」のコーナーで稲庭うどんのテレビショッピングを放送していました。 そこに突如番組とは全く無関係な「怪しいお米 セシウムさん」「怪しいお米 セシウムさん」「汚染されたお米 セシウムさん」と書いたテロップが映し出されました。 東日本大震災で大変な被害を受けた東北の農家にとっては許されざる内容でした。テロップは23秒間表示され続け、その間稲庭うどんのテレビショッピングの音声だけがむなしく流れていました。
非難が殺到
あまりにもひどい内容に対して東海テレビには非難が殺到しました。その日の夕刻までには約300件の苦情電話が寄せられ、数日後には苦情の電話やメールは1万件を突破しました。 掲示板も大炎上しました。当然苦情を寄せたのは東北地方の関係者が大半でした。内容には関係者の厳正な処分を求めるものが多数見られました。 放送日の翌日には東海テレビの幹部役員が岩手県庁やJAを訪問し謝罪しましたが、JA幹部は「これは事故ではなく事件だ。」と憤りを隠さず、JAの会長は抗議文を突きつけました。
当時は東北の農作物の風評被害が問題となっていた
それでなくても当時東北の農家は東日本大震災の原発事故による農作物の風評被害と壮絶な戦いの真っ最中でした。 農家は全ての米袋を全数検査し米が放射能に汚染されていないことを立証して、なんとか全国の顧客離れをくい止めようと必死でした。 風評は噂ですが、噂は人の心理の奥深くに根付き、表だっては見えないだけにやっかいです。本来テレビなどのマスコミは風評被害を払拭すべく、正しく正確な情報を提供する役割があったはずです。この不祥事は風評被害を助長するようなものでしたから言語道断です。
「怪しいお米セシウムさん」騒動の原因
「怪しいお米セシウムさん」騒動の原因はどこにあったのでしょうか。誰かが意図的にこの不謹慎なテロップを流させたのでしょうか。誰が見てもあってはいけない内容のテロップが長い間なぜ表示されたままにされたのでしょうか。「怪しいお米セシウムさん」騒動の原因を探ります。
リハーサル用で作成したテロップを誤って使用
このテロップはリハーサル用のサンプルテロップでした。番組では「岩手県産のお米・ひとめぼれ3名プレゼント」の当選者を発表することになっており、当選者は放送の直前にならないと決まりませんので、リハーサル用の何らかのテロップが必要でした。 「怪しい」や「汚染されて」の部分には当選者の住所が、「セシウムさん」の部分には当選者の名前が入るはずでした。後の調査の中でテロップ作成担当者は何も考えずに何気なく書いてしまったと話しています。 どうせ放送では使われないリハーサル用なので何でもよいと考えたのでしょうが、そもそもこのようなフレーズが浮かんでくること自体がその人の人格を疑わせますし、少なくとも放送関係者が目にすることになるわけですから、テロップにおこすこともあってはなりません。
テロップがしばらくの間消えなかった
テレビ放送では希にではありますが適切でない映像が誤って流される場合があります。通常そのような場合には直後にその映像が無意味な模様などに切り替わり、「しばらくお待ちください」と字幕が出たりアナウンスされます。 この事故では何と23秒もの長い間不謹慎極まるテロップが流され続けました。テレビで23秒という時間は非常に長い時間です。この間番組関係者は一体何をしていたのでしょうか。 操作を誤ってこのテロップが流された瞬間、プロデューサーを始め番組アナウンサー・スタッフ達は別の作業をしたり打ち合わせをしており、番組の放送画面から目を離していました。後の調査で「このコーナーはビデオ中心であることから番組スタッフにとっては緊張から一時的に解放される貴重な時間帯だった。」などどいいわけにもならないことを話しています。