若年化するリベンジポルノ問題。相談数も増加
「リベンジポルノ問題」は2013年頃から日本でも問題視されはじめた性的被害の一種です。スマホ等の普及に伴ってリベンジポルノは年々増加傾向にあり、若年層の被害も拡大しています。
2018年度のリベンジポルノの相談件数は1347件で過去最多を更新し、統計を開始した2014年度の110件からおよそ13倍になりました。 警察庁の発表によると、2017年におけるリベンジポルノ被害の9割以上が女性でした。
年代別では20代が約38%、10代が約25%、30代が約17%となっており、若い女性ほど被害者になりやすいようです。
そもそもリベンジポルノとは
リベンジポルノとは被害者と別れた恋人や結婚相手が、性的な写真・動画を利用して被害者に復讐する行為のことです。
若者を中心として、交際中にプライベートな自撮りや記念写真を残すことが多いものですが、中には全裸や性的行為の写真・動画も少なくありません。そういったデータを被害者に無断でインターネット上にアップロードすることがリベンジポルノです。
「リベンジポルノ問題」はPCやスマホが高性能化し、誰でも簡単に写真・動画を残して、素早く共有できるようになった弊害と言えます。
スマホの普及等で「インターネットで拡散しやすく、削除できない」現状
「リベンジポルノ問題」はインターネットの発達に伴って深刻化しています。 PCやスマホの普及と全世界的なインターネット回線の敷設によって、大容量の情報を高速でやりとりすることが可能になりました。
便利な反面、リベンジポルノで画像・動画が一度インターネットに流出してしまうと、素早く拡散されてしまう危険があります。
企業のサイトであれば削除も可能ですが、個人のPCやスマホに保存されてしまえば追跡も難しく、そこから二次流出三次流出にも繋がれば事実上削除できなくなります。
日本で起きたリベンジポルノ:三鷹ストーカー事件
「三鷹ストーカー事件」は2013年に日本であった殺人事件です。
被害者は女子高生で、元恋人の男が付きまとった結果、刺殺事件にまで発展しました。 その刺殺事件の直前、被害者に交際を断られた元恋人の男は、逆上して性的画像・動画を公開すると脅迫しました。
元恋人の男はその嫌がらせを実行に移し、アメリカのアダルト動画共有サービスに画像・動画をアップロードしたのです。
この「三鷹ストーカー事件」がきっかけとなって、日本でも「リベンジポルノ問題」が知られるようになりました。
リベンジポルノに遭った時の対処法
リベンジポルノの被害に遭った場合には、できる限り素早く最寄りの警察署または相談窓口に被害を申告しましょう。
犯人を刺激する可能性があるので、被害者が直接接触するのは極力避けるべきです。
インターネットに公開された画像・動画は、警察や専門機関を通じて、サイトの運営者に依頼して削除することが可能です。この時、対応が早ければ早いほど画像・動画の拡散を防ぐことができます。
また被害を受けた場合、いつどのような形で画像・動画を公開されてしまったのか、証拠を残しておくことも大事です。アップロードされたサイトのスクリーンショット、脅迫のメールやメッセージを保存しておきましょう。
リベンジポルノに遭わないための対策
リベンジポルノは一度起こってしまうと根本的な解決が困難です。
そのため「リベンジポルノ問題」の対策で重要なのは、被害に遭わないようにすることです。 そこでもっとも簡単で効果的なのは、相手とどれほど親密な関係であっても、絶対に性的な写真・動画のたぐいを撮らせないということです。自分で撮影することはもちろん、相手が撮影しようとすることも断固として拒否しましょう。
拒否して交際相手と険悪になる可能性はありますが、リベンジポルノに悪用されることの方が遥かにリスクが高いです。
リベンジポルノは重大な犯罪
リベンジポルノは誰もが被害者になり得る同時に、誰もが加害者になり得る可能性のある行為です。
人間である限り魔が差すことはあるでしょう。しかし一時の感情に駆られて、リベンジポルノに及んでしまえば取り返しがつきません。性的画像・動画が拡散されてしまえば、被害者の名誉は半永久的に傷つけられます。
リベンジポルノは被害者の人格と人生を奪うことになる、重大犯罪なのです。
リベンジポルノ関連の裁判や損害賠償
「リベンジポルノ問題」で有名なのは、やはり「三鷹ストーカー事件」の裁判でしょう。
こちらは殺人事件ということもあり、2017年に懲役22年の有罪判決が出ました。
リベンジポルノ被害のみの裁判は、2015年6月に行われました。鳥取県で起こった事件で、犯人の39歳男性はLINEで元交際相手を脅迫した上、Twitterで性的画像を公開したというものでした。
横浜地裁は男性に懲役2年6ヶ月、執行猶予4年の判決を下しています。
上記2例は刑事訴訟の場合ですが、民事訴訟であれば損害賠償を請求できます。
リベンジポルノの被害状況や請求相手によっても変わりますが、日本では概ね数十万円から数百万円になるようです。アメリカでは2018年に約7億円の損害賠償が命じられた事例もあります。