無実の大学生が冤罪で逮捕され内定取り消し。人質司法や推定無罪の原則に迫る。

無実の大学生が逮捕され10ヶ月勾留

無実の大学生が冤罪で逮捕され内定取り消し

大学生が詐欺容疑で逮捕される
容疑を否認し黙秘を続けるも4回の逮捕
裁判で無罪となるが内定はすべて取り消し

布川事件は冤罪事件だった。判決や問題点、再審まで経緯についても迫る。「布川事件」は1967年8月30日に、茨城県北相馬郡利根川町で発生しました。同年10月には近隣に住んでいた青年2名が逮捕・起訴され、最高裁まで争われますが1978年7月23日に無期懲役が確定しています。しかし、収監された被告2名は一貫して無罪を主張し続け、2011年に逆転無罪となりました。今回は「布川事件」について、解説します。

島根県出雲市の「上田ゴールド」に中尾懐聖容疑者が立てこもり。現行犯逮捕となるも不明確な動機。島根県出雲市にある運送会社「上田コールド」に刃物を持った男1人が侵入し、40代の女性1人を人質に捕って立てこもりました。容疑者の男は、千葉県千葉市緑区に在住する無職の中尾懐聖（かいせい）23歳で、犯行を起こすことを目的に島根県出雲市にやってきたと見られています。中尾懐聖容疑者は女性を巡って同社の元社員の男性とトラブルになっていると思い込み犯行に及んだ模様です。

詐欺罪に問われた大学生

滋賀県警大津北署の警察官3名は、2018年7月30日、大阪市内の大学生を逮捕しました。容疑は詐欺罪です。大学生はその場で容疑を否認しましたが、警察官は聞き入れずそのまま大津北署へ連行しました。すでに逮捕されていた特殊詐欺グループメンバーの偽の証言を、警察が信じたことが原因です。

特殊詐欺メンバーの一員として逮捕された

大学生は特殊詐欺グループの上位役として逮捕されました。大学生のアルバイト先の同僚が特殊詐欺グループで詐欺を働いており、そのグループの上位役として大学生の名前を告げたことが事の始まりです。大学生は逮捕当時から一貫して容疑を否認していました。アルバイト先の同僚とは知り合いではありましたが、その同僚が詐欺グループの一員だったということは知らなかったようです。

4回の逮捕で10ヶ月勾留

大学生はその後、4回の逮捕をされ、10ヶ月拘留されました。最終的には裁判で無罪となりましたが、複数の会社からもらっていた内定はすべて取り消しとなったそうです。大学も留年しました。大学生は「最初からやっていると決めつけられていた、何も聞き入れてもらえなかった」と、当時を振り返ります。 10ヶ月の拘留中、大学生は独居房に入れられ一人きりで過ごしたでそうです。

草加事件は少年5名が冤罪で有罪判決になった事件。事件の詳細に迫ります。草加事件は少年5名が冤罪で有罪判決を下された事件です。この事件の真犯人と真相についてはまだ判明しておらず、無実の少年たちは少年院で過ごさなければなりませんでした。今回は、この草加事件の詳細に迫ります。なぜ少年たちが冤罪に巻き込まれたのかを詳しく説明します。

カルロスゴーンも訴えた人質司法

日本では容疑者が否認をしていても拘留して取り調べを続けることができます。一見当然のことのようにも見えますが、このやり方を「人質司法」と、問題視する声もあります。先日、金融商品取引法違反と特別背任で逮捕された、元日産のカルロスゴーンも「日本のやり方は人質司法」と抗議しています。

カルロスゴーンの逮捕から見る日本司法制度の闇。長期勾留は人質司法か？2018年11月19日にカルロスゴーン日産自動車（日産）元会長が金融商品取引法違反で逮捕されてから約1年がたちます。この間に特別背任罪なども含め計4回起訴されました。カリスマ経営者といわれたカルロスゴーン氏は何故逮捕されたのか、またその罪状はどんなものなのか。今回はその真相に迫ります。

長期拘束で自白などを誘発

人質司法とは、日本の容疑者の身柄拘束を問題視する言葉です。具体的には、長期間に及ぶ拘束で容疑者の自白を誘発する行為を指します。人は長期間拘束されることで大きなストレスを抱え、正常な判断ができなくなると言われています。身心ともに疲れ果て、意識が朦朧とした状態からの脱却のために、やってもいない罪を認めてしまうこともあります。つまり、容疑者自身を人質にとりながら、罪を認めさせる非人道的な司法制度である、と言われているのです。

警察官による脅し

10ヶ月の拘留期間中に、大学生は何度も警察官からの取り調べを受けています。大学生はやってもいない罪に対して話すことがなかったため、黙秘を続けていました。しかし、取り調べで黙秘をした大学生に対して、警察は「黙秘すんのはやってるからやろ」「うそつくな」などと追い詰めます。それでも大学生が黙秘を続けていると、担当刑事は居眠りを始め、大学生が刑事を起こすほど散漫な状態であったようです。この警察官からの脅しや自白の強要も、人質司法のひとつと言われています。

無罪を勝ち取るも内定取り消しに

大学生は、裁判で無罪となりました。無罪理由は「知人らの証言は信用性に重大な疑義があるため」だったそうです。長い時間をかけ、やっと無罪となった大学生ですが、逮捕前に取っていた内定はすべて取消しになりました。結果として無罪となっても、拘留をされた・逮捕をされたという事実は一生残ります。人によっては疑いの眼差しを向けるかもしれません。無罪になったからすべてなかったことになるわけではなく、大学生はこの先常にハンディを背負いながら生きていくことになります。

愛媛県警も女子大生を誤認逮捕

愛媛県警は、2019年7月に女子大生を誤認逮捕しています。容疑は窃盗です。タクシー運転手が、何者かに現金5万円とセカンドバッグを盗まれました。警察はドライブレコーダーの映像に似た女子大生を窃盗で逮捕します。しかし、結果は姿形が似ているだけの別人でした。女子大生は「手錠をかけられたときのショックは、忘れたいのに忘れることができず、今でもつらい」と語っています。このとき、警察は「早く認めた方がいい」「就職も決まっているんでしょ」など、自白を強要するような言葉を繰り返しかけたと言われています。

推定無罪の原則は？

日本には「推定無罪」という基本原則があります。これは「有罪と認められるまでは無罪とみなす」というものです。簡単に言えば「有罪となるまでは、罪人として扱われない」ということになります。この推定無罪の観点から言えば、大学生が有罪となっていないにもかからず、まるで罪人のような扱いを受けたことは基本原則に違反しているとも考えられるでしょう。この推定無罪は「疑わしきは罰せず」と広義で同じ意味を持ちます。

再発防止へ警察組織は変われるのか？

大学生の詐欺罪や、女子大生の窃盗罪という冤罪が続いています。どちらにも共通していたのは、本人にまったく覚えがないにもかかわらず、警察に犯人と決めつけられていたことです。もちろん、本当に罪を犯している罪人が嘘をつくことは多いでしょう。だからと言って思い込みで強引な捜査をつづけると、今回のような被害者を生んでしまいます。冤罪によって、人生の貴重な時間を奪われる人がこれ以上でないことを望みます。

財田川事件は死刑判決が出た冤罪事件。不当な取り調べや裁判の実態、真犯人の存在に迫る。「財田川事件」は死刑判決後再審によって無罪が言い渡された事件の一つです。警察による理不尽でずさんな取り調べが明るみになりました。今回はこの「財田川事件」をとりあげます。事件の経緯や裁判の流れ、再審で無罪となった理由にも迫りますので参考にしてください。