かんぽ生命、ゆうちょ銀行の不適切販売問題の闇。郵政民営化やNHKに対する圧の存在。

かんぽ生命が扱う癌保険は切り替えの際に癌に罹患（りかん）していないかを確認するため、3ヶ月間は無保険状態になるか、3ヶ月間二重で保険料を支払うか選択することになっていました。 しかし、この制度を廃止し二重払いにならないように提携する民間保険会社が設計を見直したのですが、かんぽ生命だけは同社のかんぽ保険商品への乗り換えを促し、顧客に二重支払いを続けせていました。 また、かんぽ生命の独自制度ですが新契約を結ぶ3ヶ月前から6ヶ月までの間に解約すると新規契約とみなされません。そのため満期後3ヶ月目に契約させることが頻繁におこなわれ、顧客は3ヶ月の間無保険状態になっていました。

金融庁はこうした不正事案の報告を受け、12月16日にかんぽ生命に対して一部業務停止命令を出す方針を固めました。 かんぽ生命の内部管理体制の改善には時間がかかるとして、保険商品の募集や販売等の営業活動を一旦中止させ、再発防止を徹底するよう求めました。 かんぽ生命と日本郵便は、来年の1月中旬に保険営業を再開することを目指していましたが出鼻をくじかれた格好です。停止命令の範囲は保険営業の業務だけで、他の金融業務は通常通り行うとしています。

日本郵政の民営化法が施行されたのが2005年ですが、現在も国がその株式の57%を保有している「準民営化」の状態です。 つまり、民営化とは名ばかりの「国有化企業」ですから、全国一律のサービスが義務付けています。これが不採算事業を生み収益が悪化、保険販売や投資信託といった金融商品の販売で利益を生まないと立ち行かなくなっていたようです。 民営化当初は20名いた民間登用の役員も今は1人となり、実質的には国有化と何も変わらない状態といえます。これからの日本郵政が、民間と対等に渡り合っていくための組織体制の見直しが余儀なくされたといえます。

こうしたゆうちょ銀行やかんぽ生命の不正についていち早く報道したのが、NHKの「クローズアップ現代＋」でした。 しかし、放送した直後から日本郵政側から激しい講義があり続編の放送を見送るなど現場は混乱しました。NHK経営委員会は上田良一（うえだりょういち）会長が石原進（いしはらすすむ）NHK経営委員長から厳重注意を受けます。 しかし、一転して9月30日に日本郵政の長門正貢（ながとまさつぐ）社長が、「抗議したことを反省している。一方的な印象を与える番組内容に見えた」と謝罪しました。