ゆたぼんは不登校の小学生youtuber。彼の推奨する「好きなことで生きていく」ということに関して。

引きこもりの高齢化が社会問題に。引きこもりの原因や8050問題を考察。引きこもりという言葉が一般に浸透して長らく経ちますが、現在問題となっているのが引きこもりの高齢化です。就職氷河期などをきっかけに引きこもりとなる中高年層が多く、社会問題となっています。今回は、引きこもりの現状について説明します。

小学生youtuber

「ゆたぼん」は小学生YouTuberで、そのチャンネル登録者数は2019年11月末現在で9.46万人います。動画「不登校は不幸じゃない」は約266万回も再生されています。日本全国を見ても彼のような小学生ながらYouTuberとして活動している人物は見当たらないでしょう。彼は将来大人になったらお笑い芸人になる夢を持っており、父親が彼にお笑い動画の作成を勧めたことがYouTubeを始めたきっかけといわれています。「ゆたぼん」はYouTubeでお笑いを研究し、そこから色んな動画をアップするようになったというわけです。

宿題の存在に疑問を抱き不登校に

彼はまた普通の小学生ではありません。「不登校の自由」を主張し、小学校には行きたい時に行くというスタイルで生活しています。いわゆる「不登校」ですが、いじめで学校に行きたくなくなったというよくあるパターンとは異なります。不登校のきっかけは学校の宿題を忘れて、放課後や休み時間に宿題を先生にやらされたことを不満に思ったからです。そして先生の言われた通り行動する同級生がロボットに見えてしまい、「このままだと自分もロボットになってしまう」と思い、学校には通わなくなったのだそうです。

「学校は義務ではなく好きなことをして生きるべき」と言う趣旨のメッセージ

彼はYouTubeで「学校は義務ではない」「好きなことをして生きるべき」という趣旨のメッセージを発信しています。また不登校児や自殺願望がある児童に向けて「不登校は不幸じゃない」「みんな自由に生きよう。死んだらアカン。」などとエールを送っています。一見悪いメッセージではないように見えますが、ツイッターやインスタグラムでは彼の言動に対して懐疑的な意見が多いのが実情です。

youtubeの広告や講演料でお金を稼ぐ

「ゆたぼん」は父親と一緒に有料の親子講演会に講師として参加したり、YouTubeの広告料でお金を稼いでいるといわれています。また、インターネットラジオ「ゆめのたね放送局」のパーソナリティを務めるなど、大人さながらの働きぶりを世間に示しています。彼のYouTube動画は「低評価」が多いものの、「【ロボットになるな】不登校の天才YouTuber「麦わらのゆたぼん」」は2019年11月末現在で343万回も再生されています。

ゆたぼんに対する批判、炎上

（画像：Unsplash）

「ゆたぼん」の活動がメディアを通じて全国に知れ渡ると世間から多くの批判がネット上に飛び交い、いわゆる炎上騒ぎを起こしてしまいました。なぜ「ゆたぼん」の生き方はこれほどまでに批判を受けているのでしょうか。主な否定的な意見をピックアップしてみましょう。

杉田水脈はLGBT差別や性犯罪被害者に対する批判で炎上。人の「生産性」とは何なのか？政治家の発言が問題になることは多いですが、その中でも人に関する発言はかなりシビアなものとなっています。今回紹介するものは、政治家として活躍する杉田水脈（すぎたみお）さんのLGBTに対する発言が炎上した件です。人の性に言及した内容であるため、多くの人が批判的なコメントをしていました。今回は杉田水脈さんについて解説します。

ゆたぼんの父親の逮捕の可能性

日本の憲法では「教育の義務」が定められており、それを受けて学校教育法は「保護者は子に普通教育を受けさせる義務を負う」を定めています。また同法は「義務の履行の督促を受け、なお履行しない者は、十万円以下の罰金に処する」と定められています。このことから、弁護士の藤吉修崇氏は「ゆたぼんの親は逮捕される可能性がある」旨指摘しています。「ゆたぼん」が主張するように「教育」は権利です。しかしその権利を子供は放棄できませんし、親の教育を受けさせる義務が解除されることはありません。

ゆたぼんの父親が子供を「利用」して稼いでいるとの批判

父親への批判はこれだけにとどまりません。「ゆたぼんは父親のロボットにされている」「親が子供を広告塔にして稼いでいるのでは」といった批判が多く見られます。子供がお金を稼いでいるケースはテレビドラマの売れっ子子役や子供の歌手などほかにもあります。しかし彼らは建前上学業と両立させています。一方「ゆたぼん」は両立をするどころか、不登校を美徳であると開き直ったように主張しては動画でお金稼ぎをしています。その姿に世間は辟易しているきらいがあります。

学校は行った方が良い、不登校はよくないという意見

「学校は勉強だけでなくルールや規律を学ぶ小さな社会であり、大人になって困らないように学ぶ場所」という教育関係者は大勢います。確かにその通りでしょう。いじめで学校に行けないケースも「ゆたぼん」のように自主的に学校に行かないケースも、いずれも学校生活になじめない点では変わりはないように思えます。不登校の状態を容認するのか、不登校は解消すべきなのか。後者が多数派ですが子供の意思を尊重すべきだという意見にも一理あるように感じられます。

ゆたぼんのチャンネル登録解除の風潮

そんな中2019年8月「ゆたぼん」のYouTubeのチャンネル登録の解除を呼び掛ける運動が一部ネットユーザーの間で起きました。それまで「ゆたぼん」のチャンネル登録者数は10万人超えていましたが、この登録解除の呼びかけにより登録者数は約8万3000人まで減ったといわれています。このような運動がなされたことに「ゆたぼん」の父親は反発してツイッターで苦言を述べますが、アンチからはバッシングとなって両者の間で非難の応酬が繰り広げられたのです。

ゆたぼんと父親の思想

（画像：Unsplash）

「ゆたぼん」は不登校の自由を主張しています。しかし子供が主張する自由は正直散臭い気がします。なぜなら義務や責任を果たさない者の主張には説得力がないからです。一方「ゆたぼん」の父親は心理カウンセラーをしていますが、子供をひとりの人間として尊重し、子供の好奇心を満たしてあげることを第一に考えているようです。結果的に子供の不登校を認めていますが、一般論として不登校自体を是としているわけでもないように感じられます。子供が学校よりも別にやりたいことがあって、それを尊重してあげているということでしょう。

ゆたぼんから考察する「好きなことで生きていく」ことの意味

（画像：Unsplash）

好きなことをして生きていくのは素敵なことです。しかし実際そのような人は何パーセントいるでしょうか。好きなことで生きるといえば聞こえはよいですが、嫌いなことは一切しないというのは考えものです。大人になって社会生活を送るとき、他人と協調したりする過程の中で嫌なことでもやらなければならないことがしばしばあります。「好きなことで生きていく」にはどうしたらよいのでしょうか。

人と違う生き方をするとき、世間からの風当たりは強い

日本は昔も今も身分制の社会です。この社会の重要な点はその組織に属し続けることであり、こうしたレールから外れた者を排除しようとする動きです。組織とは大人であれば企業ですし、子供であれば学校です。こうした組織から逸脱して人と違う生き方をするとき、とたんに世間（組織に属している人）からの風当たりが強くなります。ホリエモンこと堀江貴文氏は「ゆたぼん」に好意的なコメントをしていますが、それは彼がすでに組織（企業）から外れて自由に生きており、共感する部分があったからでしょう。

誰かに影響されていない自分の確固たる意思や考えが必要

ベストセラー『人を動かす』の著者である作家のデール・カーネギーは熱意の重要性や自分のやっていることと自分自身を信じることの大切さを説きました。組織から外れて自分でレールを敷いて生きようとするのであれば、このような確固たる意思や考えが必要です。そうした意思や考えを持つ人間には、周りがあこがれて、その人に追従することが起きてきます。そうなると組織から外れた自分がリーダーになって、周りを従えて組織の頂点に立つことがあるというわけです。

人生をかけて「何か」成し遂げたい物事がない場合、既存のレールを外れるのはリスクである

逆にいえば、そのような意思や熱意を持たないと孤立してしまい、人生の居場所がなくなるということでもあります。熱意を持って成し遂げたい何かがない場合に、身分制社会の組織の中から外れるのはリスクが大きいといえます。このようなリスク判断は他人が決める話でもなく、自分が決める以外にありません。しかし、子供にそれをさせるのは酷というものです。小さい頃からレールを外れて生きていくのは大変なことなのです。