足立区の山口組の事務所にダンプが突っ込む
暴力団の攻撃手法の変化とは
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松葉会組員がダンプで山口組組事務所を攻撃
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暴力団の攻撃手法に変化
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地域住民への配慮や法規制逃れが原因
松葉会系の暴力団員による犯行
足立区を縄張りとする松葉会系組員の山本節哉容疑者が建造物損壊の容疑で逮捕されました。山本節哉容疑者は「縄張りを荒らされたくない」との思いから、六代目山口組系組事務所にダンプで突っ込んだ模様です。なぜ山本節哉容疑者はこのような暴挙に出たのでしょうか。
山本節哉容疑者
六代目山口組系事務所にダンプで突っ込んだのは地元暴力団「松葉会」山本節哉容疑者です。松葉会は東京都足立区を拠点とし七代目伊藤芳将が会長に君臨しています。 松葉会は指定暴力団にも指定されており、群雄割拠の任侠の世界において七代も続いているのは由緒正しい老舗団体である証です。 山本節哉容疑者は59歳と高齢です。本来敵対する組事務所に突っ込むのは若手組員の仕事です。本件に限らず暴力団同士の抗争では比較的高齢の組合員が体を張る事件が増えており、暴力団の人材不足が浮き彫りとなっています。
レンタカーのダンプに砂利を積んで事務所に激突
山本節哉容疑者の犯行はレンタカーのダンプで行われています。荷台に砂利を積載しバック発進で山口組系組事務所に激突したものの死傷者はありませんでした。 事務所の壁は大きく崩れており、万一組員が在室していれば大きな惨事になったことは間違いありません。犯行後山本節哉容疑者は警察署に出頭しその場で逮捕されています。 足立区には山口組三次団体が事務所を構えていましたが、そこに静岡から二次団体が移転することが決まっていました。それを快く思っていなかった山本節也容疑者が単独で犯行に及んだのが真相です。
犯行の動機:縄張り問題
山本節哉容疑者が犯行に及んだ背景には厳しい縄張り問題がありました。1992年に「暴力団による不当な行為の防止等に関する法律」が施行されてから資金繰りに苦慮しています。 東京都足立区には山口組第三次団体があり、友好関係を築いていますが第二次団体が移転してくるとなれば話は別です。 松葉会の二次団体に属する山本節也容疑者が脅威を感じていたのは必然であり、老舗団体の意地を見せる意味で先制攻撃を仕掛けたのが動機です。
暴力団の抗争で多い攻撃手段:車両による破壊行為
暴力団同士の抗争といえば拳銃や日本刀を思い起こす人も少なくありません。しかし最近では車両による破壊行為が主流となっています。車両による破壊行為は相手に捕まってしまうリスクも大きい手法ですが、なぜ最近の暴力団は車両による破壊行為を行うのでしょうか。
近隣住民を巻き込むリスクを減らす
ダンプなどの車両による破壊行為に変化している理由の一つに近隣住民を巻き込むリスクを軽減することがあります。 暴対法が施行されてからは事務所を借りるにも苦慮しています。ただでさえ立ち退きを求められることが多い中、地域住民を巻き込んで刺激したくないのが本音です。 万一一般市民を抗争に巻き込んでしまえば、間違いなく懲役刑は重くなり賠償問題も発生します。こういった要因がダンプなど車両による破壊行為に変化している理由だといえます。
銃刀法に抵触しないため罪が重くなりにくい
古い任侠映画における抗争シーンでは拳銃や刀などの刃物が使われています。実際の抗争事件においても以前はこれらの武器が使用されていました。 ところが山一抗争など暴力団による度重なる抗争事件が勃発したことから、銃刀法が改正され違反すると重い罪が待っています。 つまり暴力団は銃刀法と暴対法によって厳しく取り締まられており、拳銃や刃物を簡単に調達できなくなりました。その点ダンプなどの車両であれば比較的簡単に調達できることから犯行に使われるケースが激増しています。
事故に見せかける可能性
ダンプなどの車両を抗争に利用する理由として、事故に見せかける可能性を指摘する人もいます。運転している本人が対立する暴力団組員であれば不可能ですが民間人であれば可能です。 しかしダンプで突っ込めば自身が怪我をするリスクがあります。しかも相手は暴力団の組事務所ですから、報復を恐れて手をあげる人はいないのが現状です。 もちろん可能性がゼロではなく金銭的に困っている人であれば受けることもあるでしょう。こういった事態を防ぐにはレンタカーを貸す際に身元をしっかりとチェックすることが大切です。
増加する暴力団同士の抗争
日本最大の暴力団である山口組が六代目山口組、神戸山口組、絆會に分裂しました。暴力団の世界ではパワーバランスが崩れると雪崩式に抗争が勃発することから近年山口組を中心とした抗争が後を断ちません。 山口組三団体は特定抗争指定暴力団に指定されており、うかつに抗争事件を勃発させられない事情もあり松葉会とのトラブルも即日和解をしています。 法規制が抗争事件を未然に防いだといえます。暴力団の抗争は一般市民を巻き込む可能性が極めて高いことから、法律による規制の徹底が求められています。