ワタミが中国本土から和民を撤退へ。新型コロナウイルスの影響で売上減か？

ワタミが中国から撤退へ

ニュースの要点

新型肺炎で売り上げが大幅に減少
直営店をすべて撤収へ
業績の悪化を止められるか

新型コロナウイルスが経済に与える影響。SARS流行時と新型肺炎の影響を比較。中国では湖北省武漢市で起きた新型コロナウイルスによる肺炎が急速に拡大しています。すでに感染者は7,000人を突破し、世界へも感染が拡大し始めています。中国政府は交通規制、海外への団体旅行の禁止などを実施していていますが、日本への中国からの観光客の大幅な減少やGDPへのマイナス影響など大きな影響が見込まれています。

中国本土から和民が撤退

居酒屋チェーンを展開するワタミは2月5日に中国国内で展開している直営の飲食店7店舗の閉鎖を発表しました。2月4日に開いた取締役会で撤退を決議しました。ワタミは中国本土では上海、深セン、広州、蘇州などの地域で11店舗を展開していますが、今回閉鎖を決めたのはこのうち直営で経営している和民、饗和民、サーモン伝説和民などの7店舗です。撤退の時期は調整中すが今年春までに撤退するとしています。

新型コロナウイルスが影響か？

7店舗閉鎖の理由についてワタミでは新型コロナウイルスの感染拡大で出店するショッピングモールの休業や来店客の大幅な減少で売り上げが前年同期比の約１割に落ちたためとしています。また新型コロナウイルスの影響の長期化が見込まれ、中国の個人消費のさらなる落ち込みが懸念されるとしています。ワタミが発表している2020年3月期の中間決算資料によると、上海・深センエリアでは1億4,000万円の減益、海外外食事業全体では1億円の減益となり、減益に歯止めをかけたい狙いがあると見られます。

ワタミの中国展開

2005年に中国本土1号店を深センに出して以降店舗を拡大してきたワタミですが、今回7店舗を閉鎖することで直営店は姿を消すことになります。ワタミの中国展開の状況はどうなのでしょうか。詳しく見てみましょう。

2005年からの中国展開

ワタミが海外1号店を開いたのは2001年11月の香港ですが、中国本土１号店は2005年１月の深センです。2014年には42店舗まで拡大しましたが、その後は業績の悪化により次第に縮小しました。 2016年10月には中国大手航空会社の海南航空グループを有する海航集団と合弁会社を設立し、直営方式から合弁会社によるフランチャイズチェーン（ＦＣ）方式に転換して、和民ブランドの店舗を展開しています。現在は直営店は上海・深セン・蘇州・広州に和民、響和民、サーモン伝説和民の名称で7店舗を展開しています。

新型コロナウイルスや香港デモの影響で売上減

ワタミの海外外食事業全体の売り上げは2020年3月期の中間決算で34億7,000万円で微増でしたが、新型コロナウィルスの感染拡大や香港の抗議デモの影響で売り上げの減少は避けられないようです。今回閉店を決定した7店舗では新型コロナウィルスの感染拡大の影響で直近の2週間ほどの売り上げが前年の同時期に比べて約9割も減ったそうです。また香港エリアでも2019年から続く香港政府に対する抗議デモの影響で売り上げが落ち、2020年3月期の中間決算では2,000万円の減益となっています。

中国撤退による業績への影響は？

中国から直営店を撤退するワタミですが、業績への影響はどうでしょうか。ワタミは中国本土では2016年から合弁会社によるフランチャイズチェーン方式に転換しています。今回の閉鎖する7店は黒字転換ができなかった店を閉鎖することになるので、今後この赤字分はなくなりそうです。海外外食事業全体の売り上げは2020年3月期の中間決算で前期比2,000万円増なので、今後の海外事業の業績は新型コロナウィルスによる感染が他国・地域にもたらす影響がポイントになりそうです。