島根県出雲市の「上田ゴールド」に中尾懐聖容疑者が立てこもり。現行犯逮捕となるも不明確な動機。

島根県出雲市にて立てこもり事件が発生

出雲市で起きた立てころり事件を解説

島根県出雲市で起きた人質立てこもり事件・女性を18時間監禁
犯人の要求は社長との面会？動機は女性を巡るトラブルか
立てこもり事件は何故起きるのか・過去の事件からその原因を考察する

浅間山荘事件についてわかりやすく解説！犯人グループは連合赤軍1972年に発生した浅間山荘事件は、新左翼組織である連合赤軍のメンバーが、長野県軽井沢に迷い込んだことにより引き起こされた人質たてこもり事件です。警察当局と犯人グループの攻防は10日間にも及び人質は無事救出されたものの、3人の犠牲者と26人の負傷者を出してしまう結果となりました。今回はこの事件を紹介します。

島根県出雲市で起きた立てこもり事件の概要

事件は14日の午後2時ごろ発生しました。中尾懐聖容疑者は運送会社上田コールド本社に侵入し女性1人を人質に立てこもりました。中尾懐聖容疑者は刃物を使って女性を脅し、約18時間に渡り立てこもりを続けましたが、捜査官の説得に応じ投降し事件は幕を閉じました。人質の女性は幸いなことに無傷でした。

事件が起きたのは運送業者「上田ゴールド」のオフィス

事件が起きたのは島根県出雲市にある運送業者「上田コールド」で、14日の午後2時15分ごろに刃物を持った中尾懐聖容疑者がオフィスに侵入しました。中尾懐聖容疑者は人質の女性を連れ、「上田コールド」の本社ビルの2階にある応接室に立てこもりました。事件発生当時は、オフィスに7人の従業員がいましたが中尾懐聖容疑者はその中の女性1人を人質に捕り、他の6人の従業員は外に出るように命じました。

中尾懐聖容疑者が刃物を持ってオフィスに立ち入る

中尾懐聖容疑者は、刃渡り40センチの包丁と刃渡り12センチのペティナイフ2本を持って1階のオフィスに立ち入りました。事務所の玄関から侵入した同容疑者は、オフィスにいる従業員に向かって「立てこもりをする」と言って人質を捕え「社長を出せ」と要求しました。中尾懐聖容疑者は1人の女性を2階に連行し応接室に入れてそのまま監禁しましたが、女性に危害を加えたりはしませんでした。

女性1人を人質にとり約18時間立てこもった

人質となった女性は拘束はされませんでしたが、中尾懐聖容疑者が出入り口で常に監視する状態が続きました。トイレに行くことや食事は自由に行えたといいます。同容疑者と人質になった女性とは面識はありませんでした。立てこもりは約18時間にも及び警察内で人質になっている女性の安否が心配されました。そこで警官隊は、梯子を使って2階の応接室の窓から中尾懐聖容疑者に向かって人質の女性の解放と投降を呼びかけました。

要求は社長との面会

事件発生当初、中尾懐聖容疑者は社長との面会を要求しており、社長と中尾懐聖容疑者との関係について警察が詳しく調べています。中尾懐聖容疑者は上田コールドに勤務した経験もなく、取引したこともなかったことから、社長と仕事上の接点はなかったと見られています。当初は社長の妻も監禁されているとの噂が流れましたが、複数メディアによると人質は40代女性1人だったとのことです。

中尾懐聖容疑者は現行犯逮捕された

島根県警は中の様子から女性に命に係わる危険はないと判断し、強引な突入は行わず粘り強く説得を続けました。時間の経過と共に社内への突入が検討されましたが、交渉担当の捜査官が中尾懐聖容疑者に説得を続けました。結局中尾懐聖容疑者が説得に応じ、15日の朝8時25分ごろに先ず人質の女性が解放され、その10分後に刃物を置いて応接室の前にいた中尾懐聖容疑者は現行犯逮捕されました。

中尾懐聖容疑者

中尾懐聖容疑者は、千葉県千葉市緑区在住の23歳で事件当時は無職でした。警察の調べによると同容疑者は、島根県の出雲市出身であることが分かっていますが、それ以外の詳しいことは調査中とのことです。警察は余罪がないかも調べを進めています。

千葉県の郵便局で強盗の余罪

中尾懐聖容疑者はこの事件の前に、千葉県の郵便局で強盗事件を起こしていることが分かっています。奪った現金は7万5千円ほどで出雲市までの交通費を得る目的だったと見られています。犯行は今月7日に千葉県市原市で発生しており、中尾懐聖容疑者も強盗の容疑を認めていることから、警察はこの件でも同容疑者を送検しました。中尾懐聖容疑者は当時から無職の状態であったため、生活費を得るための犯行とも見られており、警察は余罪がないか調べています。

動機は女性関係の個人的な恨み

犯行の動機について警察は女性関係によるものと発表していますが、相手の男性は中尾懐聖容疑者とは面識がないと証言しています。中尾懐聖容疑者も男性について名前などの詳しいことは知らない様子で、同容疑者の一方的な恨みによるものと見られています。中尾懐聖容疑者は男性を狙って上田コールドに侵入した様ですが、男性は既に退職しており目的は果たせませんでした。

なぜ立てこもりという形を取るのか？犯罪心理から考察。

立てこもりで代表的なものは、何かの犯罪の途中で警察に発見されそのまま立てこもるケースと、金品など何かを要求するために行う2つのパターンです。やむなく立てこもる羽目になってしまった場合は人質を取って逃走を図りますが、何かを要求する場合は爆発物などを持ち込んで、自分の命も駆け引きの材料に使います。また、プロファイリングでは、立てこもりを行う犯人の多くは生活に恵まれていない傾向が多いといわれ、今回の中尾懐聖容疑者の動機を探る上で重要な心理的背景といえます。

以前に起きた立てこもり事件の数々

立てこもり事件で最も有名なのは、スウェーデンの首都ストックホルムで起きた銀行強盗人質立てこもり事件です。この事件では、立てこもり犯と人質の間で心理的な繋がりが生まれ、人質が犯人に好意を持つようになります。後に「ストックホルム症候群」といわれ、犯罪心理学の重要な研究テーマになっています。この他に有名な立てこもり事件は、1970年に日本と北朝鮮の間で起きた「よど号ハイジャック事件」、1974年にアメリカで起きた「パトリシア・ハースト事件」です。「パトリシア・ハースト事件」では、人質となった少女が後に犯人と一緒に銀行を襲っています。

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