新作映画のオンライン公開に映画館が問題視。アカデミー賞の出品条件にも影響。

アメリカで新作映画のオンライン公開に賛否が

1分でわかるニュースの要点

アメリカで新作映画のオンライン公開が実施される
映画館再開後もオンライン公開の継続を示唆
苦境に立たされる映画館業界から反発の声が

新型コロナウイルスの影響で閉鎖する映画館

映画業界は新型コロナウイルスに大きな影響を受けている業界の1つです。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、アメリカでは、3月中旬頃から続々と映画館が閉鎖されてきました。いつ新型コロナウイルスが終息するかもわからず、夏頃までに新型コロナウイルスが終息し客足が戻らなければ、映画館の業界全体が破綻する可能性も示唆されています。

新作の公開が軒並み延期に

映画館が続々と閉鎖されていく中で、公開場所を失った新作映画が軒並み公開延期となっています。大ヒットシリーズの最新作が延期となることで、映画製作会社も宣伝広告費が無駄になる等の影響を受けています。新作映画のオンライン公開には、公開予定日の延期を防ぐことで、宣言広告費を無駄にしないにするという意図が含まれています。

映画館閉鎖の影響を受けアカデミー賞の出品条件も変更

映画館閉鎖の影響は、アカデミー賞の出品にも及んでいます。新作映画をアカデミー賞に出品するためには、劇場での公開日数等の条件がクリアする必要がありますが、映画館の閉鎖・オンライン公開の開始を受け、条件が特例的に変更されています。

ロサンゼルスの劇場で1週間以上公開が条件だったアカデミー賞

もともと、アカデミー賞の出品には、ロサンゼルスの劇場で1週間以上商業公開されること、1日に最低3回以上の上映がされていること等の条件がありました。 1年間のうちで制作される映画は無数にあり、審査対象を絞るための基準が設けられています。しかし、新型コロナウイルスの影響で映画館が閉鎖されたため、出品条件の見直しが必要になりました。

オンライン上での公開も特例的に対象に

2021年に行われる第93回アカデミー賞では、劇場での上映に限らず、オンライン公開も特例的に認められることとなりました。前提条件には、劇場での公開を予定していたものの、新型コロナウイルスによるオンライン公開を余儀なくされた作品であることが含まれていますが、アカデミー賞史上初の条件緩和となります。

オンライン公開で収益減を避けたい劇場側

新作映画のオンライン公開によって、劇場側では、新型コロナウイルス終息後も客足が戻らないことを懸念しています。現在の状況ではオンライン公開の流れは止められないものの、あくまで特例的な公開だというのが劇場側の認識です。

すでにオンライン公開された映画は好調

米ユニバーサル・ピクチャーズがオンライン公開したアニメ映画「トローズ・ミュージック☆パワー」が公開して3週間で1億ドルを超える収益を出す等、既にオンライン公開された映画が大ヒットしています。オンライン公開の大ヒットを受け、米ユニバーサル・ピクチャーズは、劇場が再開された後も並行してオンライン公開を続ける可能性を示唆しています。

終息後の客足への影響を考慮し反発

劇場側は、新作映画のオンライン公開によって新型コロナウイルス終息後も劇場に客足が戻らないことを懸念し、米ユニバーサル・ピクチャーズのオンライン公開継続に反発しています。アメリカ最大手の映画館チェーンであるAMCは、オンライン公開を継続するならば、米ユニバーサル・ピクチャーズの映画を一切上映しないと述べています。今後もオンライン公開継続をめぐって激しい争いになることが予想されます。

映画界の未来のために、オンライン公開はすべきか？

新作映画を好きな場所で好きな時に見られるオンライン公開は、ユーザーにとってはとても魅力的です。一方で、劇場で上映される臨場感を味わいたいユーザーも一定数以上いるのは確かです。映像コンテンツのオンライン公開が容易に可能となった昨今では、オンラインと劇場の棲み分けを見直し、映像コンテンツの今後の在り方を見直していくことが求められます。