1分でわかる新幹線殺傷事件
1分でわかる新幹線殺傷事件
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2018年に起こった新幹線車内で1名の死者を出した殺傷事件
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犯人は刑務所に入るため、無期懲役になるように事件を起こした
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事件によって新幹線の防犯上の意識が高まった
事件は東京発新大阪行きの新幹線で起こりました。鉈を持ち込んだ犯人が車内で暴れたことで、1人の男性客が犠牲になりました。犯人が事件を起こした動機は、刑務所に行きたいという身勝手な理由でした。 この事件によって、新幹線の安全性が改めて問われています。国土交通省は鉄道営業法を改正しましたが、未だ新幹線の防犯上の問題は残されたままです。
新幹線殺傷事件の概要
新幹線（画像：pixaboy）
「新幹線殺傷事件」は2018年6月9日に走行中の新幹線「のぞみ265号」で起こりました。犯人の小島一朗が居合わせた乗客3名を傷つけ、1名が犠牲となってしまいました。 事件の経緯と被害、犯人の殺意の有無について紹介します。
犯人である小島一朗が乗客を次々と切りつけた
犯人は犯行当時22歳の男性の小島一朗です。 小島一朗は「のぞみ265号」の12号車に乗り込み、発車直後に犯行を開始しました。小島一朗は持ち込んだ凶器の鉈でまず隣の座席の女性客を切りつけ、そこへ止めに入ろうとした男性客の梅田耕太郎さんと揉み合いになります。 男性客が転倒した隙に、小島一朗は通路を挟んだ隣の座席に座っていた、別の女性客にも切りつけました。その後、梅田耕太郎さんが再び割って入ったことで女性客2名は逃げることができましたが、梅田耕太郎さんは小島一朗に複数回刺傷されました。
1人が死亡し2名が負傷
「新幹線殺傷事件」の被害者は3名でした。 最初に小島一朗に狙われた女性客は左肩や腹、次にターゲットにされた女性客は頭部と右手に切り傷を負いました。女性客の方は出血量が多かったものの、2人と比較的軽傷で済みました。 小島一朗を止めようとした梅田耕太郎さんは、事件直後に心肺停止状態となっており、搬送後に死亡認定されました。梅田耕太郎さんは首や肩、胸から腹にかけて10数ヶ所も傷つけられていました。
明確な殺意を持って犯行に及んでいた
小島一朗は逮捕後の証言で殺意について認めました。 小島一朗が認めたことで、「新幹線殺傷事件」は意図的に誰か人を殺すつもりで起こされた事件だということがわかりました。 小島一朗は軽傷を負わせた女性客2人について、「殺し損なった」と述べています。さらに亡くなった梅田耕太郎さんに対しては、「見事に殺しきりました」とも言っています。
小島一朗という人物と犯行の動機
犯人（画像：Unsplash）
初公判が行われたことで、それまで不明確だった「新幹線殺傷事件」の動機が判明します。小島一朗は自ら刑務所に入るために事件を起こしたのです。 初公判で語たられた驚くべき言動や、精神鑑定の結果などを紹介します。
初公判が開かれた
2019年11月28日、横浜地裁にて小島一朗の初公判が行われました。 初公判では小島一朗が、2018年3月から犯行を計画していたことが明かされました。当時無職でホームレス生活を送っていた小島一朗は、養子縁組していた祖母と電話で話した際に「居場所を失った」と感じたようです。 小島一朗はかねてから刑務所で生活することを考えており、その手段として新幹線で重大事件を起こすことを思いついたと語りました。
小島一郎に対し精神鑑定が行われた
小島一郎は事件に関連して精神鑑定を受けています。 「新幹線殺傷事件」の第3回公判に出廷した精神科医は、小島一郎を猜疑性パーソナリティ障害（妄想性パーソナリティ障害）と診断しました。小島一郎には生まれつきの性質に加えて両親とのこじれた関係から、他人に不信や疑念を抱きやすい状態にあったようです。 それを踏まえた上で、精神科医は小島一郎に責任能力があると診断しています。猜疑性パーソナリティー障害は小島一郎の判断力に影響を与えておらず、事件は正常な心理状態で行われたのです。
犯行の動機は「刑務所に入りたいから」
小島一郎は12月3日に開かれた第2回公判で、事件を起こした動機について語りました。 小島一朗は幼少期から刑務所で生活することに憧れを抱いており、刑務所に入る手段として新幹線で重大事件を起こすことを思いついたとのとです。 当時ホームレスだった小島一郎は刑務所に行くか、精神病院に入るか、このまま餓死するかの3つの選択肢に固執していました。小島一郎は3択から刑務所を選んで、今回の犯行に至ったのです。
死刑にならない程度の無期懲役を狙った犯行
さらに公判が進むと、小島一朗の独善的な思考が明らかになりました。 2017年12月からホームレス生活を始めた小島一朗は、生きるために刑務所に入ることを望みました。そこで死刑にならない程度に重大事件を起こすことを思いついたようです。 小島一朗の望みは無期懲役刑となって一生を刑務所で過ごすことです。小島一朗は本心からそう考えているらしく、公判中にも反省の態度を見せていません。
小島一郎に無期懲役判決が下る【追記】
小島一郎の新幹線殺傷事件での後半では小島一郎の狙い通りの無期懲役となりました。 判決が下されたとき小島一郎は万歳三唱を行ったようです。 一方で初犯であり殺害の人数が1人であることや年齢、家庭環境も考慮され死刑とはならず無期懲役判決となりました。 判決に対し小島一郎は控訴せず判決が確定したようです。
被害者の梅田耕太郎さんの遺族の声
悲しみ（画像：pixaboy）
12月5日の公判では、検察によって「新幹線殺傷事件」で亡くなった梅田耕太郎さんの遺族の調書が読み上げられました。 梅田耕太郎さんの遺族は、家族を理不尽に奪われたつらさと苦しみを書き連ねました。犯人の小島一朗を恨んでも梅田耕太郎さんが帰ってくることはないとも語り、極力考えないようにしているようです。 梅田耕太郎さんの遺族の調書は、せめて同様の事件が起こらないように「判決では正しい判断をしてもらいたい」という願いで締めくくられました。
類似の事件：東海道新幹線火災事件
炎（画像：pixaboy）
「東海道新幹線火災事件」は2015年6月に起きました。「のぞみ225号」の先頭車両で、犯人の71歳男性がガソリンを撒いて、火災を起こしました。新幹線で発生した初めての列車火災事故でした。 火災は備えつけの消火器で消されたものの、重軽傷者28名、死者2名（うち1名は犯人）の合計30名の犠牲者を出しました。 犯人の姉は、犯人が借金で追い詰められて自殺を図ったのではないかと語っています。
新幹線の安全性が問われる
電車車内（画像：pixaboy）
「東海道新幹線火災事件」の事件後、新幹線の安全性に関する意識が高まりました。 国土交通省は鉄道営業法の見直しを行い、2019年4月から新幹線等の列車に乗車する際に、厳重に梱包されていない刃物の持ち込みを禁止する省令を定めました。 こうして鉄道営業法が見直されましたが、改正に伴う刃物持ち込み禁止には罰則がないため、依然として安全性に不安が残されたままです。
持ち物検査、防犯グッズ、応急手当て用の医療器具の必要性
検査（画像：Unsplash）
「東海道新幹線火災事件」と同じような事件を防ぐためには、安全対策の強化が急務です。新幹線を運営するJR各社は警備員の増員や防護装備の充実、応急手当用の医療器具の設置に取り組んでいます。 防護装備や応急器具はもちろん大事ですが、これらはあくまでも事後対応で使うものなので、根本的な安全対策とは言えないでしょう。本当に必要な安全対策は、空港と同様の持ち物検査を新幹線にも導入することです。危険物を持ち込ませないことがもっとも大切です。 ただし検査機器の導入が新幹線の運行上難しいため、現在のところ持ち物検査の実施は実現していません。
