新型コロナウイルスによる差別の影響
1分でわかるニュースの要点
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新型コロナウイルスの拡大が差別や偏見に繋がっている
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フランスで日本人差別、日本で中国人差別が発生
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感染防止は重要課題だが人権にも注意を払う必要がある
フランスで起きた新型コロナウイルス関連の差別
新型コロナウイルスが原因の差別は各国で発生していますが、特に目立つのはフランスです。日本食レストランに落書きが行われ、地方紙にも差別的記事が掲載されました。
パリで日本食レストランに落書き
2020年2月、フランスのパリ近郊にある街で、日本食レストランに差別的な落書きが書かれました。 被害に遭ったのは中国人オーナーが経営する日本食レストランYukiで、店の窓に「コロナウイルス、出て行け」と書かれていたそうです。犯行は現地警察の調べでは、15日夜から16日の朝方にかけて行われたとのことです。 このの事件を受けて、フランスのTwitterでは同情的な反応が多数見られました。日本食レストランを支援しようという動きも出ています。
フランスの新聞で「イエローアラート」
同じくフランスでは、メディアが率先して差別的報道をしたことで騒ぎが起こりました。発端はフランスの地方紙、クーリエピカールの記事でした。 同誌では新型コロナウイルスによる肺炎の記事に、イエローアラート(黄色警報)という見出しをつけました。これは19世紀後半に流行した、黄色人種脅威論イエローペリル(黄禍論)のパロディのようです。 クーリエピカールは記事が人種差別的表現と批判され、最終的に謝罪を行っています。
旭化成社員が中国人差別の張り紙を張り逮捕
一方、日本国内でも新型コロナウイルス感染者への差別が転じて、中国人差別の事件が起きました。 事件があったのは京都市です。2月20日、犯人が観光地付近の電柱に張り紙を貼っていたところを中国人に暴行され、自身で通報したことで発覚しました。張り紙には「中国人は来るな」とかかれていました。 犯人は市屋外広告物条例違反容疑で京都府警に逮捕されています。この犯人は旭化成グループに勤める、58歳課長ということが取り調べでわかっています。
人権保護と感染拡大の阻止の塩梅
各国の新型コロナウイルス感染拡大への対応には差があります。感染拡大の防止には、感染の予防と感染者とそれ以外の接触を断つことが重要です。 発生源の中国では感染者の隔離が行われ、オーストラリアやイスラエルでは中国などの感染が多いアジア地域からの入国を禁止にしています。 これらの隔離や入国禁止、渡航制限は防疫に必要な措置です。しかし同時に、個人の権利を侵害している状態でもあります。社会のためにどの程度の個人の不自由を強いるべきかは、議論が必要な難しい問題です。