新型コロナウイルスの影響を受けた企業向けに融資制度が開始
1分でわかるニュースの要点
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新型コロナウイルスの流行で観光地に大打撃
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京都市が独自に融資政策を始めた
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他の官公庁でも同様の施策を始める見込み
京都市が独自の融資制度を開始
京都市は2月5日に、翌6日から新型コロナウイルス対応緊急資金融資制度を開始すると発表しました。この制度は主に、新型コロナウイルスの流行で業績の悪化した中小企業を対象としています。京都市が制度実施に踏み切った背景と、制度の詳細はどのような内容なのでしょうか?
京都では観光客が激減
新型コロナウイルスの感染拡大によって、日本は全国的に外国人観光客が減少しています。その影響は有名観光地ほど顕著です。 京都市では1月下旬から外国人観光客のキャンセルが相次ぎ、普段は混雑している各地の名所が閑散としている状態です。食べ歩き商店街の錦市場は売上3割減、市内の各デパートは売上半分程度など、いずれも前年度比で大打撃を被っています。 特に深刻なのは、近年の外国人観光客ニーズに合わせて増加していた宿泊業界です。ゲストハウスやホテルなどの宿泊施設は、3月から4月にかけてはほとんど予約がない状態とのことです。
旅館などの中小企業が主な対象
京都市は京都府と協力して、売上減少や原材料費高騰で業績の悪化した企業に向けて、新型コロナウイルス対応緊急資金融資制度を開始しました。対象は以下の通りです。 ・直近1ヶ月の売上が前年度比で10%以下 ・直近1ヶ月で原材料費が前年度比10%以上高騰 ・以上2つを満たし、経営が悪化している中小企業 実施期間は2020年2月6日から9月30日までの予定です。問い合わせ先は京都市産業観光局商工部地域企業振興課(電話番号:075-222-3329)となっています。
日本政策金融公庫も新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業向けに融資を開始
2月7日の財務省の発表を受けて、財務省所管の政策金融機関である日本政策金融公庫は、宿泊施設や飲食店などの中小事業者を対象とした融資制度を開始しました。対象は以下の通りです。 ・直近1ヶ月の売上が前年度、前々年度比で10%減少していること ・直近でさらに減少が続くと見込まれること ・その上で中長期的には回復、発展の可能性があること ・以上3つを満たす旅館業、飲食店並びに喫茶店 融資は旅館業が3000万円で、その他は1000万円が限度額となっています。融資期間は旅館業7年以内、それ以外は2年以内です。問い合わせ先は各地の日本政策金融公庫に設置された相談窓口となっています。
製造業や卸売業に大きな影響
新型コロナウイルスの影響の影響は、国内の様々な業種に出ています。東京商工リサーチは2月20日に、国内の約1万社を対象とした、新型コロナウイルスの影響調査を発表しました。 その結果、影響が出ているもしくは今後影響が出ると回答した会社が、全体の約66%にも達しました。特に深刻な影響が出ているのは、中国に工場を持つ製造業や卸売業です。 具体的には約1800社の製造業、約1300社の卸売業が、感染拡大によって大きな影響が出ていると答えました。
連鎖倒産の危険性も
現在のところ新型コロナウイルスの影響は、国内の一部の業種に限られています。しかし新型コロナウイルスの感染拡大が長期化すれば、多大な経済損失を生み出しかねません。 例えば観光業には宿泊施設、飲食店、あるいは土産物屋が含まれます。それらが経営難で同時期に倒産すれば、主要取引先も影響を免れないでしょう。最悪の場合には連鎖倒産する可能性があります。 大企業であれば一時的な経営難を乗り越える体力もありますが、日本の経済を支える大多数の会社は中小企業です。最悪の事態を可否するためには、官民連携して新型コロナウイルスを乗り越える必要があります。