新型コロナウイルスの影響は建設業にも
1分でわかるニュースの要点
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建設業に拡がる新型コロナウイルスの影響
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衛生管理難しく感染拡大の恐れ
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長期化で倒産危機も政府の対応次第か
大手ゼネコンが軒並み工事を中止に
安倍晋三首相が7都府県での緊急事態宣言を発令した翌日の4月8日、西松建設が原則対象地域での建設作業を中止する旨を自社WEBサイトで発表し、建設業界に大きな衝撃を与えました。この動きは建設業界全体に少しずつ波及し、13日には清水建設が同じく7都府県での工事中止を発表、JR東海、大林組、戸田建設なども同様の対応を取ることが発表されました。
緊急事態宣言を受け動き出した建設業
大手ゼネコンが工事中止の決断をしたことにより、中小規模の建設会社も早期決断が迫れています。社員の感染が確認された企業が増えていることなどもあり、社員の安全面を考慮し、続々と工事中止や現在の工事中止対象地域を拡大する企業が増えてきています。
感染拡大の危険も多くある建設現場
清水建設や西松建設など、建設業界での新型コロナウイルス感染報告が連日報道されています。作業の性質上、多くの人が一つの場所に集まる、いわゆる「密集」・「密接」が起こりやすい現場であるとして、社員からは対策が求められています。
衛生環境は良い状態とは言えず
4月13日、清水建設は社員3名が新型コロナウイルス感染、うち1名が死亡したことを発表しました。4月13日時点では建設業での新型コロナウイルス感染の報告は15社に上り、10日前と比べると約2.5倍の数値となりました。 現場では、休憩時間の食事の際にも手洗いうがいを徹底できる環境もない場合が多く、仮設トイレを何百人という規模で使用するなど、新型コロナウイルス感染対策は一般企業のオフィスなどと比べると進んでいない印象です。
一つの現場に多くの人が集まることも
建設現場ではその作業の性質上、3密の環境にならざるを得ない状況が多いと言われています。毎日行われる朝礼は数百人単位となることも多く、現場への移動や多人数でのエレベーターの使用、休憩時間の休憩所など、密集・密接は避けられないため、現場からは感染対策が急務であるという声が上がっています。
長期化によって下請け会社の倒産危機に
大手ゼネコンから始まった工事中止が波及し、長期化することによって、倒産の危機に立たされる下請け会社が多く出てくることが予想されています。工事中止が長期化することで、大手ゼネコンからの出来高が主な収入となっている下請け会社は、実質的な収入がゼロになり、一度収入がなくなってしまうと、立て直すことは難しいのではないかと言われています。
多くの下請け会社は出来高で代金を受領
建設業界では「出来高」での請求、支払いが主流となっています。これは、「施工高」とも呼ばれ、施工が終わった部分に関する費用から順次請求、支払いが行われるという方法で、多くの下請け会社はこの請求方法で仕事を引き受けています。