新型コロナによる外出自粛で大気汚染が改善
1分で分かるニュースの要点
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外出自粛で大気汚染が改善
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大気汚染が人々に与えるリスクとは
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PM2.5がコロナウイルスの死亡率を上げている?
世界各国で汚染レベルが低下
世界中の都市で実施されているロックダウン(都市封鎖)によって明るい副産物が生まれています。インドのデリー首都圏では大気汚染物資濃度のレベルが低下し澄んだ空気と青空が戻ってきました。 この現象は世界各国でも観測されており、大気汚染が深刻なバンコク(タイ)、北京(中国)、サンパウロ(ブラジル)といった大都市の大気汚染物資の濃度がかつてないレベルまで減少しています。
外出自粛やロックダウンによる排気ガスなどの減少が要因か
ロックダウンされた都市の住民は自宅にこもり切りといった状態が続いており、インドのデリー首都圏では乗用車の殆どが走行しなくなったことで排気ガスなどが減少し大気汚染が改善されています。 インド政府が103都市で大気汚染調査を実施したところ、米環境保護庁が定めた空気質指数(AQI)の100(普通)を下回ったのが88都市で内23都市は50以下(良好)と平時の200を大きく下回りました。
大気汚染が人々に与えるリスク
米環境保護庁が定めた空気質指数(AQI)で指定されている大気汚染物質はオゾン、粒子状物質、一酸化炭素、二酸化硫黄の4物質で人の呼吸器系などに影響を与えます。 オゾンや粒子状物質は主に肺疾患(呼吸器疾患)を持つ人で、子供や高齢者の健康に影響を与えます。粒子状物質の中でも極微小のP.M2.5や一酸化炭素は心疾患を持つ人には注意が必要な物質で、二酸化硫黄など硫黄酸化物は喘息の原因になります。
呼吸器への影響が大きいとされる大気汚染
大気汚染は呼吸器に大きな影響を与えます。硫黄酸化物は石油や石炭といった化石燃料が燃焼することで発生し気管支炎や喘息の原因となり、窒素酸化物も燃料が燃えることで発生し喉の痛みや気管、肺の疾患に関係します。 PM2.5は煤煙の中でも極微小な物質です。肺の奥深くまで入り込むため呼吸器系や循環器系の疾患のある人は特に注意が必要で、新型コロナウイルスの媒介となる可能性もあります。
PM2.5はコロナウイルス感染による死亡率に関係?
硫黄酸化物や二酸化窒素、PM2.5などは自動車の排気ガスや工場の煙突などから排出されており、特に途上国などでは高濃度の大気汚染物質が排出されています。 なかでもPM2.5は非常に小さな物質のため肺の奥まで入りやすく、コロナウイルス感染に影響するとされています。米国の研究ではPM2.5の濃度が1立方メートルあたり平均1マイクログラム高くなると、人口あたりの死者数が15%高くなるとされています。
制限解除後は元に戻る可能性が大きく
インドのデリー首都圏ではロックダウンによってPM2.5の濃度は70%以上も減少しており、ロックダウンが解除され人々が平時の生活を取り戻すことで、一時的に緩和された大気汚染も元の状態に戻る可能性が大きくなると言われています。 新型コロナウイルス感染拡大の副産物のひとつは、化石エネルギーの使用を速やかに止めることで大気汚染を軽減できると証明できたことではないでしょうか。