政府が就活ルール継続へ。2022年春入社も対象に
ニュースの要点
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経団連発表から一転・就活ルールの現状を維持
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そもそも就活ルールとは何のためにあるのか
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就活ルールのメリット・デメリットと企業の動向
2021年春入社まで現状を維持することが決まっていた
2018年9月9日に経団連会長の中西明会長が記者会見し、就職活動の廃止を正式に発表しました。2020年3月卒業予定の大学生までは現行のルールを継続します。 今後は経団連はルールの策定には関わらず政府と大学がルールをつくり、企業に要請していくことで調整が進められているため今後の動向に注目が集まっています。
企業などの意見を踏まえ継続の方針へ
外資やベンチャー企業が実施している通年採用が進む一方で、学生や大学側は現行ルールを維持してほしいという意見が多く聞かれます。 学生にとっては就活スケジュールの目安があることで学業が進めやすい、また中小企業からは採用選考の早期化、または長期化は負担増になると懸念する声が出ていました。
就活ルール
日本で就活ルールが定められたのは1953年の高度成長時代でした。当時は人手不足のなか優秀な人材を求める企業の新卒採用が早期化していました。 そこで学生が学業に専念できるように官民が一体となってルールを定めました。現行の経団連によるルールでは説明会や広報活動は大学3年生の3月から、選考活動は4年生の6月から、内定を出すのが10月以降となっています。
元々は経団連によるルール
1953年から始まった就活は、国や企業、大学などの官民の申し合わせにより「就職協定」として経団連(日本経済団体連合会)よって定められました。 経団連に加盟する企業の採用活動をルール化し、就活の時期を無制限とせずに学生が学業に専念できるようにと策定されました。 しかし、このルールには罰則規定もなくあくまで企業の自主性に任されていたこともあり、その形骸化が指摘されていました。そこで2018年9月に経団連は2021年春以降の採用活動からこのルールを撤廃すると発表しました。
2021年春入社から政府主導に
経団連の中西宏明会長は、9月の記者会見で個人的な意見と前置きしたうえで「経団連が就活ルールを決めることに違和感がある」と述べています。 それに対して安倍総理は「学生の本文である学業が疎かになる」と反論し、現行ルールの維持を求め全国の大学等で構成する「就職懇談会」もこれを支持しました。 しかし経団連側が2021年春入社の学生からルールの廃止をおこなうと発表したため、政府がルールをつくり主導してこれまでのスケジュールを維持すると発表しました。
就活ルール廃止への動き
経団連が就活ルールの廃止を決めた背景には、経済のグローバル化やデジタル化などが急速に進み外資系企業などが、優秀な人材の内定を早める動きが目立つようになってためです。 高度人材は国際的にも獲得競争が激しく、従来のルールでは人材の確保が難しくなってきたのです。そのため通年採用などを拡大し優秀な人材確保を有利に進めたいと考え決定されました。
就活ルール廃止によるメリットは採用の早期化
経団連加盟企業の4割近くが就活ルール廃止のメリットは「採用の早期化」を上げています。選考時期に縛られないことで、自社に必要な高度人材の数を長いスパンで検討することができるという考えです。 また、就活時期によって「次世代成長型」「新卒メインターゲット」「即戦力」といった採用のポートフォリオ作りを進めることができます。 更にスキルを判断するためのスクリーニングにかける時間も十分にとれるので、より求めている人材をチョイスすることが出来ると期待しています。