クルーズ船への対応は正しかったのか？2名の死者がでた新型コロナウイルスの影響

クルーズ船への対応は正しかったのか？

1分でわかるニュースの要点

80歳代の日本人男女２人が死亡
クルーズ船における乖離対策に疑問
感染後の処置方法をアナウンスすることが重要

クルーズ船の乗客19名が集中治療室に。増える感染者、初動対応は正しかったのか？横浜港に船内隔離されているクルーズ船の乗客19人がICUで集中治療を受けることが報じられました。ICUに搬送されたのは60歳から80歳代の男女であり持病があったと想定されます。残りの乗客や乗務員は予定通り、約2週間で船内隔離から解放される見込みとなりました。しかし、初動対応を含め検疫体制の整備や法改正など、有り余るほどの課題が残ったのも事実です。

乗客2名の死亡者が

２月３日から続いたクルーズ船内での隔離対策も同月19日で一旦の終止符を迎えました。しかし、80歳代の日本人男女２人の死亡者が出るなど、国内外に波紋を広げています。厚生労働省は隔離対策を適切だったとしており、WHOのテドリス事務局長も想定の範囲だとコメントしました。果たして、日本政府の対応は本当に正しかったといえるのでしょうか。

屋形船乗船の7人が新型コロナウイルス感染。更なる感染拡大は防げるか？都内で屋形船に乗船していた乗客に新型コロナウイルスが感染しました。感染した乗客の中に中国武漢からの観光者と接触していた人がいたことが原因です。日本では横浜港に停泊しているクルーズ号からも連日新たな患者が出ており、世界からも「第２の震源地」と揶揄されています。WHOも日本の対応に注目しており、まさに正念場といえるでしょう。今回は屋形船関連の新型コロナウイルス感染に切り込みます。

搬送が遅れが死につながったか？

2月3日から横浜港に停泊していたクルーズ船で、新型コロナウイルスに感染した80歳代の日本人男女2名の死亡しました。男性は11日、女性は12日に病院に搬送されています。厚生労働省は症状が確認された時点で速やかに搬送したとの見解を示しました。つまり、搬送の遅れはないとの判断です。クルーズ船内のウイルス感染者は当初数名でしたが、わずか3週間足らずの期間に600人以上の感染が確認されました。搬送に遅れはなくとも、隔離対策そのものに対する疑問は拭いきれないのが現状です。

WHOは予想の範囲内

一連のクルーズ船対策についてWHOのテドリス事務局長は「想定の範囲内」との見解を示しました。その理由は約600人の感染者であれば、2%程度の致死率は想定できるといったものです。加えて死亡された方の年齢を考えると、基礎疾患があったことも考えられるとしました。新型コロナウイルスについては、高齢者や持病を持っている人に危険であることが明らかになっています。したがって、テドリス事務局長の見解は的を得ているといえるでしょう。しかし、高齢者を感染しやすい環境に乖離した日本政府の対応については言及されていません。

乗客は特別な隔離なく解放へ

クルーズ船から下船する乗客・乗務員について、公共交通機関での帰宅が認められています。帰宅後も特別な乖離などはなく開放されることになりました。また自宅帰宅後は2週間程度の健康状態の確認と不要不急の外出の自粛が要請されただけです。この日本政府の対応を巡っては「これまでの失敗経験が活かされていない」との声が相次いでいます。

海外では14日の隔離

２月19日からする人の中には多くの外国人もいます。外国の方々は自国のチャーター機で帰国する予定です。その後の対応は各国で異なりますが、韓国では乖離病棟で２週間程度観察する考えであることを表明しています。韓国では韓国籍をもつ乗客の全てを受け入れる考えです。その上で陰性の検査結果が出ていたとしても油断できないと判断し、乖離病棟に収容することを決定しました。しかし日本では公共交通機関で帰宅後、健康管理と外出の自粛が要請されているだけです。最も感染者が多い日本の対応がこれで十分なのかといった疑問が出るのも当然といえるでしょう。

感染拡大の懸念は

下船した人の中から感染者が現れ、さらに拡散する可能性は極めて高いといえます。下船が許可された人は、検査後クルーズ船内で数日間過ごしました。クルーズ船内では、急速に感染が拡大したことは周知の事実です。つまり検査後に感染したことも十分に考えられます。そのため韓国など海外の国々では下船後のケアも慎重に行う予定です。それに比べると日本は公共交通機関での帰宅を許可しています。また帰宅後も２週間程度の健康管理と外出の自粛を要請するにとどまっていることから、不十分との指摘が後を絶ちません。

今後の感染拡大阻止は可能か？

新型コロナウイルスは極めて感染力が強いウイルスです。そのため今後の感染拡大を阻止することは不可能です。問題は感染後の処置だといえます。これまでの研究結果からすると、感染力は強くとも若年層であれば風邪程度の症状しか出ません。真に気をつけなければならないのは70歳代以上の高齢者や基礎疾患をもっている人です。「水際作戦」が失敗した現状では、防止対策も大切ですが、正しい情報を伝えることの方が重要といえるでしょう。その上で感染しても慌てないよう正しい処置方法を伝えることにシフトする時期だと考えられます。