カルロスゴーンがレバノンへ出国。日本から脱出した本当の目的とは？

カルロスゴーンがレバノンへ出国

カルロスゴーンの海外逃亡を解説

保釈中のカルロスゴーン被告がプライベートジェットで国外逃亡
トルコの逃亡協力者5人が逮捕・フランスの今後は
カルロスゴーン被告の拘束をICPOが要請も逮捕の可能性なしか

日産自動車（日産）の元会長カルロスゴーン被告が、保釈の条件を破り日本を離れレバノンに向かったと世界各国のメディアが報じました。カルロスゴーン被告は、29日夜にプライベートジェットを使って日本からレバノンへ出国したとみられ、レバノンの首都ベイルートに到着した模様です。自身は逃亡ではなく日本の刑事司法への抗議だと強調しています。

カルロスゴーンの逮捕から見る日本司法制度の闇。長期勾留は人質司法か？2018年11月19日にカルロスゴーン日産自動車（日産）元会長が金融商品取引法違反で逮捕されてから約1年がたちます。この間に特別背任罪なども含め計4回起訴されました。カリスマ経営者といわれたカルロスゴーン氏は何故逮捕されたのか、またその罪状はどんなものなのか。今回はその真相に迫ります。

保釈中の身であった弁護団も知らなかった出国

カルロスゴーン被告は保釈中の身であり、面会制限など12の保釈条件が付けられていました。その中には海外への渡航禁止も含まれており、カルロスゴーン被告は「これは逃亡ではない」と容疑を否認しています。カルロスゴーン被告の主任弁護士である弘中惇一郎（ひろなかじゅんいちろう）氏は「本人からは何も相談されていない。報道以上のことは知らない」と述べています。カルロスゴーン被告は何らかの事情でフランスのパスポートを2通所持しており、弘中惇一郎弁護士は弁護団の誰かが渡すことはありえないと断言しています。

最強弁護士弘中惇一郎とは？無罪請負人の異名を持つ男の最強伝説。弘中惇一郎（ひろなかじゅんいちろう）は「無罪請負人」の異名を持つ、東京弁護士会所属の弁護士です。衆議院の小沢一郎の顧問弁護士をはじめとして、「ロス疑惑」や「薬害エイズ事件」、近年では日産の前会長カルロス・ゴーンの弁護についたことでも記憶に新しいでしょう。今回は弘中惇一郎を紹介します。

海外への渡航は許可されていなかった

先月31日、国内の複数メディアの報道によると、東京地方裁判所はカルロスゴーン被告の海外渡航を禁じた保釈条件は変更されていないと述べています。謎の多いカルロスゴーン被告の逃亡の経緯を見ていきます。

プライベートジェットで日本を脱出

カルロスゴーン被告は、自身のプライベートジェットで先月29日夜に出国したと見られ、関西国際空港からトルコのインタンブールに向かったとされています。国内メディアが得た情報では、プライベートジェットは中東のドバイから29日午前に関西国際空港に到着し、その夜に日本を出国したことが分かっています。乗せられていた荷物の中には、大型のスーツケースが複数積まれてあったといわれカルロスゴーン被告はその中の楽器ケースに入っていたとされています。

フランスのパスポートを使用か

カルロスゴーン被告はブラジル、フランス、レバノン3つの国籍を持っており、それぞれの国のパスポートを所持しています。弘中惇一郎弁護士はその3通全てを保管していたと主張しており、カルロスゴーン被告はフランスが発給した2通目のパストートを使って出国したと見られています。ただし、このパスポートも鍵を掛けたケースで保管されており弁護士が保管していました。フランスなど一部の国では、頻繁に渡航するなどの理由で同一国のパスポートを2通保持することが許可されています。

カルロスゴーンの目的は

カルロスゴーン被告は、金融商品取引法違反と特別背任罪で計4回の起訴を受けています。これを日本刑事司法の所謂「人質司法」であるとして世界中から非難されていました。今回の日本逃亡も、これらの司法制度への不満や身の潔白を示す方法を模索した結果なではといわれています。

日本の司法制度への対抗か

カルロスゴーン被告は、日本の刑事司法が通常おこなっている「人質司法」に強い疑問を抱いていたようです。今回の事件では、計4回の起訴を経験しましたがいずれの場合も自供を強要し、保釈も認められませんでした。途中、無罪請負人の弘中惇一郎氏に変わったこともあり何とか保釈は認められたものの、監視カメラや面会制限などが科せられ実質上の軟禁状態と非難していました。こうした、何としても自供を引き出そうとする日本の刑事司法のやり方に対抗するために違法出国をしたと思われます。

他の方法で身の潔白を示す事を目指している

カルロスゴーン被告の逃亡には、手助けしたといわれる「共謀者」が数名いることが分かっており東京の自宅から連れ出したと見られています。妻など関係者との接触も制限されてこともあり意思疎通も出来ず、カルロスゴーン被告は日本で無罪を勝ち取ることは難しいと判断していたようです。そこで、無罪を勝ち取る可能性の高いレバノンで裁判を受けることを考え、協力者たちとレバノンの司法当局が日本側と協力し、訴訟場所をレバノンに移すことを模索している模様です。

トルコで関係者が7人拘束され5人が逮捕

カルロスゴーン被告は、12月の未明にトルコ・イスタンブールに向かい、12月30日午前5時半ごろにアタシュルク国際空港に到着しました。この事件に関与したとして、2日にはパイロット4人、貨物会社職員1人、空港職員2人の計7名が拘束、5名が逮捕されています。カルロスゴーン被告は、12月30日の夜にはレバノンの首都のベイルートに到着したとされ、この様子についてトルコメディアのヒュリエント紙は、自社のウェブサイトで同国の国境警察は同被告がプライベートジェットに搭乗している事実を知らされていなかったとし、出入国記録もなかったと事実上国の関与を否定しました。

フランスの反応

フランス外務省は、カルロスゴーン被告の逃亡については関与していないと声明を出しています。また、当局は報道機関を通じて同被告のレバノン到着を知り、日本に関する同被告の行動については把握していないと主張しています。国際問題となりそうな今回の事件で、フランスはどう対応したのでしょうか。

フランスは「引き渡しはしない」

フランスのパニエリュナシェ経済相は12月31日、カルロスゴーン被告の逃亡についてフランス当局は日本を出国することは知らされていなかったとしています。そのうえで「カルロスゴーン被告は日本でもフランスでも法律を犯すようなことはしていないが、同被告はフランスの法律を順守する義務もある」と強調しています。一方で、同被告は大使館の支援を受ける権利をもっているとも協調しています。今のところ、カルロスゴーン被告からフランス政府に連絡はありません。

国民の反応は？

今回の逃亡劇では、フランス政府は特別な擁護はしない姿勢を見せていますが、一方で国民は概ね賛同する意見を示しています。フランス地元紙「フィガロ」のアンケートでは、日本からの逃亡を支持する意見に賛成が「78.30%」、反対が「21.61%」となっています。ウェブサイトでのコメントでも、日本の刑事司法を理由にカルロスゴーン被告の行動に理解を示しています。しかし、フランス労働総同盟フィリップマルティネス氏は支援者を見つける逃亡は、金持ちのやることだと非難もしています。

ICPOがカルロスゴーンの拘束を要請

日本国内のメディアによると、レバノン政府はカルロスゴーン被告の身柄を日本に引き渡さないと声明を出しました。レバノン当局は、ICPO（国際刑事警察機構）からカルロスゴーン被告の赤手配書（国際逮捕手配書）を受け取ったと発表していますが、ICPOの公式検索システムに同氏の名前はないとのことです。赤手配書は、各国の警察機関に対して身柄の拘束を要請するもので、今回の場合はカルロスゴーン被告の仮逮捕を要請するものですが、レバノンと日本間では犯罪者の引き渡し条約は結んでいません。

ゴーンしたカルロスゴーンの今後は？

カルロスゴーン被告がレバノンに在住する以上、レバノンに国籍を持つ自国民の同氏を日本に引き渡すことはないだろうと思われています。カルロスゴーン氏とレバノン大統領が面会したのであれば、その関係も深まっていることは明らかで、今後のレバノンと日本の外交問題になる可能性は高くなっていく可能性があります。また、カルロスゴーン被告の支援者が、どの程度存在するかも今後の情勢に影響を与えそうです。過去にも赤手配されながら逮捕に至っていない逃亡者もいることから、カルロスゴーン被告のケースもこれからの行く末を予想することは困難と言えるのではないでしょうか。

カルロスゴーンの事件のわかりやすいまとめ！カルロスゴーンの現在や逮捕の原因、問われている罪を解説！「カルロス・ゴーン」と言えば、一時期は自動車メーカーの日産の救世主として有名でしたが、あるときを境に容疑・逮捕・起訴などの言葉と一緒に紹介される人物となりました。今回はカルロス・ゴーンがかかわったこれまでの事件について仮説します。カルロス・ゴーンが犯した罪やその背景などについて、改めて知っておきましょう。