観光バス会社が苦境に立たされる。バス運転手の生活にも大きな影響が。

バス会社各社の業績悪化が深刻

1分でわかるニュースの要点

インバウンド需要の反動
軒並みキャンセルで業績悪化
倒産・解雇の負のスパイラル

観光客の団体キャンセルが相次いで、バス会社各社の業績が急激に悪化しています。インバウンド需要の高かった地域はその反動でマイナスの影響を大きく受けています。事業が立ち行かなくなり倒産・従業員解雇・困難な高齢ドライバーの再就職など、負の方向に回る歯車はどうやって止められるのでしょうか。

新型コロナウイルスの影響で百貨店の売上減。インバウンドや行事の中止が影響か。新型コロナウイルスの影響を受け、百貨店各社の2月売上げは前年を10%以上下回っています。その理由の一つが外国人観光客に依存したインバウンド消費の落ち込みです。3月期においても収束の見込みはなく、臨時休業や営業時間の短縮、催し物の中止が相次いでいます。さらに卒業式や入学式などの行事の中止が検討されていることから、百貨店業界への影響は深刻です。

インバウンドの需要が高い地域のバス会社が特に苦境

海外からの観光客で賑わっていた人気のスポットは今どうなっているのでしょうか？光景が激変した各地の様子から以前との落差が感じられます。

海外からの観光客の激減

いつも賑わう人気のエリアであからさまに人が減り、観光地では急激な状況の変化に耐えきれません。京都ではインバウンド向けにレンタル着物事業を営む「京洛和蒼」が事業停止となり、感染者数の発表も多い北海道では免税店のラオックスが札幌狸小路店・函館赤レンガ店を閉店、その他道内5店舗を臨時休業としています。（鹿児島店・沖縄国際通り店も閉店）特にもとより厳しい状況だった事業は急速に立ち行かなくなったり、再編が急務になったりという動きを見せています。

相次ぐイベントの中止

2月26日に開かれた新型コロナウィルス対策本部で安倍首相はこの1〜2週間が感染拡大に非常に重要であるとして、「大規模なスポーツ・文化イベントについては今後2週間は中止・延期・規模縮小」などの対応を要請しました。約2週間経過した現在もまだ収束の気配がなく、各方面で軒並み中止や延期等の対応を迫られています。ラグビートップリーグ・サッカーＪリーグ・バスケットＢリーグ、Wリーグはそれぞれ延期を発表しており、3月20日開幕のプロ野球は公式戦も延期が決まりオープン戦は無観客試合で行なっています。

プロ野球開幕が延期へ。専門家チームがプロ野球とJリーグに延期を提言。猛威を振るう新型コロナウイルス。新型コロナウィルスの感染拡大によってスポーツイベントが大きな影響を受けています。野球やサッカーなど大衆に人気のある多くのスポーツが中止や無観客開催に追い込まれています。日本にプロ野球とサッカーJリーグは共同で対策連絡会議を立ち上げ情報の収集・分析などを共有することにしています。新型コロナウィルスによる経済活動への影響は深刻で、スポーツを含む多くの分野で計り知れない損出が懸念されます。今回は猛威を振るう新型コロナウィルスによる経済損出に関してスポーツの分野を中心に切り込みます。

バスを運行しなくてもかさむ固定費

バス会社は団体客のキャンセルが相次ぐと売上はすぐに激減しますが、かかる経費はほとんど固定費のため厳しい立場に立たされます。車両本体の費用の他に整備代などの維持費は安全のために必須ですし、運転手などの人件費は客の波が戻った時のことを考えると削減が出来ません。売上のない中で削れない費用が日々かさんでいくため、事業を継続するのか断念するのかの決断を迫られます。

バス運転手の生活にも影響が

このような状況ではある日突然職を失う可能性も高くなります。バス運転手の平均年齢や転職事情はどうなのか、統計から紐解きます。

新型コロナウイルスの影響が航空業界に大打撃。空港・航空会社に迫られる対応。新型コロナウイルスの影響で航空業界は大打撃を受けています。機内の消毒や空港での検疫の強化などに追われている他、中国や韓国への渡航者は激減し就航便の欠便が相次いでいます。新型コロナウイルスによる航空業界への影響などを深掘りし、解説していきます。

バス運転手は多くが50歳以上で高齢

国土交通省の発表によると2018年時点でのバス運転手の全国平均で51.2歳となっていて、10年前に比べて4.4歳上昇しています。労働時間の長期化や大型二種免許取得者の減少と、バス運転手不足は以前より業界の懸念材料でもあり高齢化が止まらない背景がありました。経営状況の苦しいバス事業の中で海外の観光客を取り込むインバウンド需要は重要な打開策の一つでもあったため大きな打撃となっています。

バス運転手の職を失うと他の働き口が無い可能性

平均年齢50歳代のバス運転手が職を失ってしまうと転職事情は厳しいものがあります。総務省統計局の労働力調査の年齢階級別就業希望者者数（2019年）を見ると、45〜55歳で全体の15.8%と少なくありません。それに対して転職が成功したことがわかる厚生労働省の調査による年齢階級別転職入職者率では、男性だけで見ても50〜54歳で5.3%・55〜59歳ではさらに下がり4.9%と他の年代に比べて低くなっていて採用されにくい状況がわかります。

人手不足から一転。事態の収束の見通しは立たず。

人手不足を背景にある程度年齢が高くても適性があれば採用されていたバス運転手ですが、会社の経営状況悪化に伴って失職する事態が起きています。新型コロナウィルスの感染拡大がまだ収束していない現状では観光客はいつ戻るのかなどの先行きが見えず、このような状態では事業が成り立ちません。この事態が長引けば長引くほど経済に与える影響は計り知れないため、一刻も早く平常時に戻ることを祈るばかりです。