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表現の自由と公共の福祉。過去の判例から何が猥褻に該当するのかを考察します。

 

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表現の自由と公共の福祉

(画像:Unsplash

表現の自由は憲法で保証された国民の権利の1つです。これによってどんな人でも、思想や主張をあらゆる手段で自由に表現してもよいことが保証されています。 ただし無制限に許されているわけではなく、公共の福祉に違反しない範囲であることが条件です。個人の身勝手な行為で他人の権利を侵害してはいけない、と言い換えてもよいでしょう。 日本では国民1人1人の権利を平等に認めているがゆえに、表現の自由が他人の権利を侵害することを認めていないのです。

猥褻と芸術は紙一重?

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表現の自由と公共の福祉はしばしば衝突する概念で、特に芸術の分野では裁判沙汰にまで発展することがあります。 裁判にまでなる芸術の分野における表現の自由とは、男女の性的表現に踏み込んだものが多く見られます。行きすぎた性的表現の裁判では公共の福祉に反する、いわゆる猥褻に当たるかどうかが1つの争点となります。 改めて後述致しますが、性的表現を盛り込んだ作品が芸術とされるか猥褻と判断されるかは、ほとんど場合で見る人の主観に左右されます。芸術における猥褻扱いとはそれほどまでに紙一重の差でしかないのです。

「猥褻」という曖昧で不確かなもの

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刑法175条には人目に触れる場所で公序良俗に反するものの公開を禁止する、わいせつ物陳列罪があります。この猥褻の定義について、「チャタレイ夫人の恋人事件」で最高裁は以下のように定義しています。 ・いたずらに性欲を興奮または刺激する ・普通の人の正常な性的な羞恥心を害する ・善良な性的道義観念に反する 一見すると理論だっているように思えますが、実際には何が性欲をかき立てるのか、あるいは羞恥心を覚えるのかは個人によって千差万別です。性的道義観念に至っては、時代によって変化する概念なので、その時々によって著しく異なる可能性があります。

アダルトビデオは猥褻ではないのか?

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前項で猥褻の定義について少し触れました。そこで当然の疑問となってくるのが、成人向けに流通販売されているアダルトビデオの存在でしょう。アダルトビデオが公然猥褻に相当するかどうかは、以下の2点で判断されるようです。 ・男女の性交渉の撮影が不特定多数の衆目に晒されていないこと ・性器が編集で映像処理(モザイク)されており、直視できない状態であること 基本的に男女の性行為を業務で公開することは刑法などで禁止されています。アダルトビデオはモザイクで見えない状態を作り出すことで、見かけ上で性交渉をしていない体裁を整えて禁止から逃れています。ゲリラ撮影や無修正アダルトビデオが逮捕されているのはこのためです。

ろくでなし子の「デコまん」に関する事件

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ろくでなし子は日本の漫画家で、美術家でもある女性です。ろくでなし子は2013年6月にクラウドファンディングで出資者を募り、女性器の3Dデータ配布などを行ったことから、わいせつ物陳列罪に問われました。

ろくでなし子の作品と主張

ろくでなし子は自身の女性器を型取りし、装飾を施すことで別な見た目にする「デコまん」と称するアートを制作していました。クラウドファンディングはこの「デコまん」をさらに推し進め、3Dスキャンしたデータを元に様々な作品を生み出すものでした。 ろくでなし子の主張によると、女性器がモザイクや伏せ字で隠匿されている状況に疑問を覚えたことが、そもそもの始まりのようです。 ろくでなし子は現代日本で、女性器がいやらしいという前提があることが問題だと考えました。そのため「デコまん」で女性器をユーモラスに仕立て上げ、固定観念の払拭に繋げたかったと語っています。

裁判とその争点

ろくでなし子の裁判では、「デコまん」が果たして芸術作品なのか、それとも猥褻にあたるのかが争点となりました。 検察は配布された3Dデータや展示された「デコまん」について、女性器を公の場で見せたことと同等であると主張しました。一方のろくでなし子と弁護士は過去にも性器をモチーフとした芸術作品があったことを踏まえて、あくまで芸術活動に過ぎなかったと無罪を訴えました。 2016年5月「デコまん」は装飾や彩色などからただちに女性器とは判別できないとされ、展示の無罪判決が出ました。しかし3Dデータ配布に関しては、わいせつ物頒布等の罪に該当したことから有罪判決でした。

チャタレイ夫人の恋人事件

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イギリス人作家の小説『チャタレイ夫人の恋人』の日本語訳について、翻訳作家と出版社の社長がわいせつ物頒布罪で起訴された事件です。表現の自由と猥褻が問われる問題としては、もっとも古い裁判となっています。

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