広島県知事が県職員に対し10万円を寄付するよう発言
1分で分かるニュースの要点
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広島県知事が県職員の給付金寄付発言を撤回
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100億円規模の手厚い支援を目指す
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多重債務者増で差し押さえのリスクも
国からの一律10万円支給に対し県の財源にしたい意向を表明
湯崎英彦知事は今月21日、県職員に対し政府が支給する一律定額給付金(仮称)を県に寄付するよう求めていましたが、県職員連合労働組合らから反発する声が上がっていました。 広島県では今月22日から5月6日まで生活必需品以外を販売する店舗やスナックなどの遊興施設に対して営業を自粛するよう求めており、湯崎英彦知事は県の休業要請に応じた施設への支援財源などに使いたいと自身の考えを示していました。
各所からの批判を受け撤回
この考えには県職員の中でも賛否が分かれ、県職員連合労働組合は「知事の考えは県職員の財産を強制的に奪うものであり、多くの県職員が憤りを感じている」と反対する姿勢を見せていました。 またインターネット上にも湯崎英彦知事の考えを批判する書き込みが相次いだこともあり、22日に自身の発言を撤回しました。
手厚い休業支援を目指す広島県知事
政府は自治体への臨時交付金を休業要請に応じた事業者への支援に活用するように求めていますが、自治体からは臨時交付金だけでは支援金が賄えないといった声も上がっています。広島県も中小企業の支援金などに多額の費用が掛かると試算しており、国に臨時交付金の積み増しを要望しています。
中小企業への支援金は最大50万円
休業要請に応じた中小企業への支援金は30万円(2店舗以上をもつ事業者には最大50万円)を支給する考えで、事業主に対し感染拡大防止への協力を呼び掛けています。 支給額は従業員の有無や業種、休業か営業時間の短縮かなどの区分で振り分け、国の雇用調整助成金を利用していることを条件に加えています。広島県ではこの支援に総額約100億円程度が必要になると見込んでいます。
発言は給与が減らない公務員と資金不足による苦肉の策か
湯崎英彦知事は総額約100億円規模の支援金を県の財政だけでは賄いきれない可能性があるとして、給与が減らない公務員が受け取る給付金をその財源に充てる苦肉の策だったと述べています。 広島県では支給金等の財源は各市町との折半で確保するとしており、今月30日から事業者の申請を受け付ける予定です。湯崎英彦知事は自身の報酬の一部を返上するとして、職員の協力を改めて求める考えを示しています。
10万円の使用用途は個人の自由も問題点は
今般の給付金10万円は現金ということもあり、貯蓄に回るのではないかといった懸念の声も聞かれます。実際にローンの返済や光熱費、家賃の支払いといった使い方を考えている人も多く、政府が想定している積極的な消費行動に結びつくかは不透明です。
世帯主への給付で個人に行き渡らない可能性
給付金の支給方法は世帯主の銀行口座等に家族分がまとめて振り込まれることになっており、家庭内暴力(DV=ドメスティック・バイオレンス)の被害者が受け取れないのではといった懸念もあります。 また、離婚調停中で別居しているなど住民基本台帳だけでは判断できないケースもあり、総務省では申し出があれば個別に対応するとしています。
借金による差し押さえリスクも法案成立を目指す
給付金が借金により差し押さえられるリスクがあるとして、公明党が議員立法を提出し法案を成立させる考えを示しています。公明党の石田祝稔(のりひと)政調会長は22日、金融機関の差し押さえを禁止する法案を大型連休前に2020年度補正予算案と合わせて成立させたいとしています。 この度の感染拡大で収入が減り多重債務者が急増しているもといわれており、政府の適切な対策が望まれています。