新型コロナウイルスで検疫下にあるダイヤモンド・プリンセスの全乗客に代金返金
1分でわかるニュースの要点
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新型コロナウイルスの影響でクルーズ船が横浜で検疫中
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クルーズ船の運営会社が全額返金対応を発表
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加熱するクルーズ船需要に冷や水を浴びせかけられた形
運行会社プリンセス・クルーズが発表
2020年2月10日午前10時、アメリカのクルーズ船会社プリンセス・クルーズが自社の保有するクルーズ船が新型コロナウイルス問題に直面していることに対して声明を発表しました。 それによると、現在は横浜で検疫中のダイヤモンドプリンセスの全乗客を対象として、旅費全額を返金するとのことです。乗客へは9日夜の間に文書を通して通知されていました。 ダイヤモンドプリンセスは2月3日に横浜の大黒ふ頭に停泊してから、新型コロナウイルス検疫のために着岸も下船もできない状態となっています。
クルーズ船外の費用から検疫期間中の費用まで負担
クルーズ船会社プリンセス・クルーズが文書で明記した旅費返金の内容は多岐に渡ります。詳細は以下の通りです。 ・クルーズ船の料金 ・乗船前の交通手段(航空機、新幹線、その他公共交通機関) ・クルーズ開始前後の宿泊費 ・寄港地観光ツアー代 ・船内のサービス料 ・その他の税金や手数料 また3日から続く検疫の停泊期間中に発生した費用も、すべてプリンセス・クルーズが負担することを保証しています。
次回利用できるフューチャー・クルーズ・クレジットも付与
クルーズ船会社プリンセス・クルーズは旅費の返金対応だけでなく、今回支払われたクルーズ代金と同額のフューチャー・クルーズ・クレジットの付与も発表しました。 フューチャー・クルーズ・クレジットとは、利用客が次回乗船する際、額面分を旅費から割り引くというサービスです。 こちらの対応は全額返金を超えて、事実上の2倍返しに相当します。ダイヤモンドプリンセスで足止めされている乗客にとっては、暗い話題を吹き飛ばす朗報となっているようです。
クルーズ船離れが懸念される業界
日本では近年、アジアからの需要増加で海外のクルーズ船が多数寄港し、利用客が増加していました。クルーズ船会社や日本政府の対応次第では、せっかくの需要が薄れていく可能性があります。今回の対応はそれを見越したものなのでしょうか?
顧客離れへの一手か?
国土交通省によれば、2018年以降に日本に寄港したクルーズ船(外国船を含む)の数は2900を超えているそうです。これは前年比で6%の伸び率でした。 新型コロナウイルスの感染拡大は、このせっかくのクルーズ船熱に冷や水を浴びせかける結果となりかねません。プリンセス・クルーズの全額返金対応は、新型コロナウイルスの結果起こる顧客離れを防ぐ布石とみられています。
一部の費用は日本政府との交渉も
菅義偉官房長官はダイヤモンドプリンセスの検疫に関して、クルーズ船会社への補償や乗客のコスト負担について、検討段階にあるとコメントするに留めています。 一方のプリンセス・クルーズのジャンスワーツ社長は、厚生労働省の協力を仰ぎつつ、不測の事態に対応できるよう交渉を計っているようです。
今後を考えての最善の策となるのか?
新型コロナウイルスの感染拡大防止は、今や世界中で喫緊の問題となっています。そのためダイヤモンドプリンセスの事実上の隔離と検疫は、避けられない措置と言えます。 そんな中でのプリンセス・クルーズの対応は、感染沈静化後の顧客離れを見越した布石であり、現状では最善の策と言えるでしょう。 今はただ、新型コロナウイルスが落ち着いてから、安全で快適なクルーズ船旅行が再開されることを願うことしかできません。