公開された「アナ雪2」を巡るステマ騒動
公開された「アナ雪2」を巡るステマ騒動
-
ディズニー映画「アナと雪の女王2」の宣伝漫画にステマ疑惑が出た
-
ウォルトディズニージャパンは宣伝を認めて謝罪した
-
ステマは世界的に規制の動きが出ているが日本は出遅れている
2019年12月上旬、ディズニーの新作映画「アナと雪の女王2」の宣伝漫画がTwitter上で多数公開されました。公開日時がいずれも同時刻で、映画を褒める内容だったことからステルスマーケティング(ステマ)が疑われました。 翌日、配給元のウォルトディズニージャパンは宣伝漫画の依頼を認めた上で、PR表記がなかったことを謝罪しました。ステマについては優良誤認の疑いがあり、社会的に忌避する動きが出ています。
複数の漫画家が投稿したアナ雪の感想漫画
12月3日の午後7時、多数のフォロワーを抱える漫画家のアカウントにて、映画「アナと雪の女王2」の感想漫画が同時多発的に公開されました。 この感想漫画には広告表記がありませんでしたが、どの漫画も映画の内容を褒めるものでした。加えて感想漫画の投稿がすべて示し合わせたように午後7時だったことから、広告会社を経由したステマではないかという指摘が浮上しました。 感想漫画を投稿した漫画家達は、翌日に試写会に招かれて描いたPR漫画だったことを謝罪しました。しかし謝罪内容がどれも大筋で一致したことから、ステマを依頼した広告会社の指示ではないかとさらなる炎上に繋がりました。
ディズニーは謝罪
ステマ疑惑の噴出した翌日の12月4日、ウォルトディズニージャパンは騒動に及しました。 ウォルトディズニージャパンは、広告会社を通して漫画家に宣伝漫画を依頼したことは認めましたが、ステマについては否定しました。本来、宣伝漫画には広告表記がされるはずでしたが、連絡の不備で今回の事態に繋がったと説明しました。 ウォルトディズニージャパンは意図せず騒動に発展したことを謝罪し、再発を防止する旨のコメントを出しています。
過去にペニオク事件でも問題になったステマ
今回のディズニーの件以前にも、企業のステマが騒動になったことがあります。それは2012年に発覚したペニーオークション(通称ペニオク)詐欺事件です。 高額商品を格安で落札できると謳ったオークションサイトが、実際にはユーザーが落札できない仕組みとなっており、運営会社が詐欺容疑で逮捕されました。 事件関係者の逮捕と前後して、運営会社が多数の芸能人に依頼してステマをしていたことが発覚します。こちらの事件は明確な詐欺だったことから、数多くの芸能人が批判に晒されました。
ステマの規制
ステマは消費者に優良誤認を招く行為であることから、不公平な宣伝手法として世界的には規制の流れができています。しかし実際には法整備が追いついておらず、日本と海外では温度差があるのが現実です。 日本とアメリカを例にとって、ステマの規制状況についてご紹介します。
日本ではステマに関する細かい規制がまだない
2019年現在、日本ではステマを規制する法律は制定されていません。ステマを直接的に規制するものではありませんが、景品表示法や軽犯罪法によって取り締まることは可能です。 景品表示法は優良誤認を招く表現を不当表示として禁止しているので、偏向の著しいステマが該当することがあります。軽犯罪法もほぼ同様で、嘘や誤解が詐欺と見なされればステマにも適用されます。 景品表示法、軽犯罪法に違反しないステマについては、企業の良心やモラルに一任されているのが実情です。
アメリカでは規制がされている
アメリカは日本と違って、いち早くステマ規制に乗り出しています。連邦取引委員会(FTC)は2009年に約30年振りにガイドラインの改定を行い、「広告における推奨、及び証言の利用に関する指導」でステマを規制しました。 この法律によって商品やサービスを宣伝する場合、企業や広告主との関係や金銭の受け取りについての明記が義務づけられるようになりました。 こうして広告の明記が義務となったため、アメリカでステマは行えなくなっています。
ステマが規制されるべき理由とは
近年になって、ステマが消費者に不利な宣伝手法であることが周知されてきました。ところがステマは企業にとってもデメリットをもたらします。 消費者目線、企業目線の両方からステマが規制されるべき理由をご紹介していきます。