米大手統合リゾート運営会社が日本進出から撤退へ。新型コロナの影響で赤字に転落。

アメリカ大手統合リゾート運営会社が日本進出から撤退へ

1分で分かるニュースの要点

米大手IR企業が日本からの撤退を発表
新型コロナで客足鈍る海外統合リゾート
賛否分かれるIR計画は実現するのか

マカオでカジノ運営が半月停止に。公共交通機関でもマスク着用が義務化されるマカオの徹底した対策に迫る。マカオ国内で、コロナウィルスの感染が確認されてきていますが、9人目の感染者が「カジノ施設の従業員」であることが判明しました。これを受けて、マカオ政府は国内のカジノ施設全41店舗を営業停止として、コロナウィルスの感染拡大防止を図っています。カジノの封鎖は、マカオ経済にとって大きなマイナスとなってしまうため、マカオ政府としても長期間の運営停止は避けたいところです。

横浜のIR計画に参入を目指していたラスベガス・サンズ

米大手統合リゾート運営会社のラスベガス・サンズは、日本での統合リゾート（IR）の開発を断念すると発表しました。ラスベガス・サンズは横浜のIR計画に参入を目指していましたが、今月12日に日本のIR事業ライセンスの取得を断念しました。ラスベガス・サンズは米国内最大のカジノ運営会社で横浜のIR計画に高い関心を示していました。

自社ホームページ上で撤退を明らかに

ラスベガス・サンズの会長兼CEOシェルドン・アデルソン氏は自社のホームページ上で、日本に於けるIR事業では同社が考えるアジア戦略の目標を達成すことは困難であることから、日本以外の地域に注力すると撤退の理由を述べました。また同氏はマカオやシンガポールへの投資プログラムを現在実行しており、アジア諸国へのビジネス及びレジャー観光産業を強化する考えに変更はないとしています。

新型コロナの影響を受けているラスベガス・サンズ

今月13日横浜市の林文子市長は会見を開き、ラスベガス・サンズが正式に横浜市のIR事業から撤退したことを発表しました。撤退の理由について林文子市長は、同社が新型コロナ感染拡大の影響で世界的に経済状況が悪化しており計画の継続は難しいと判断した模様だと説明しています。

ラスベガスやシンガポールの施設が閉鎖で赤字に転落

ラスベガス・サンズは新型コロナ感染拡大により業績が悪化しており、2020年第一四半期は連結売上高、営業利益、最終損益、連結プロパティーの全てが前年同期比マイナスとなっています。売上高は17億8千万ドル（約1905億円）まで落ち込み、最終損益は5100万ドルの赤字に転落しました。同社は米国ラスベガスのベネチアリゾートとシンガポールのパラッツォリゾートを閉鎖すると発表しており再開は未定としています。

競合他社の参入にも影響が出る可能性

ラスベガス・サンズの撤退によって日本の統合リゾート市場にも大きな影響が出ることは確実で、既に大阪から撤退を表明しているギャラクシー・エンターテイメントグループやマレーシアのゲンティンなどが横浜のライセンス取得を目指す考えです。一方大阪のライセンス取得に注力している米MGMリゾート・インターナショナルは引き続き大阪での準備を進めて行くとしています。

日本にカジノは必要なのか？

2019年8月20日に横浜市の林文子市長は、IRを誘致する方針を発表しIRによって4500億円の消費額が見込めるとして反対派の市民に理解を求めました。しかし、ギャンブル依存症や治安悪化を懸念する声は消えずカジノ誘致の意見は賛否分かれたままです。

賛否が生まれていた横浜IR計画

横浜市では昨年8月20日林文子市長がIRを誘致する方針を正式に発表し、賛成派と反対派の間で激しい対立が起こりました。横浜市はIRによって4500億円の消費額が見込めるとして反対派の市民に理解を求めましたが、ギャンブル依存症や治安の悪化、資金洗浄といった問題が起きるとして反対を訴える市民が懸念の声を上げています。

ギャンブル依存症などの問題も解決せず

IRで最も関心が高い問題はギャンブル依存症で、日本ではパチンコなどにより多重債務や貧困、犯罪が社会問題になっています。こうした状況を背景にカジノについても同様の問題が起こると懸念する人たちが反対の声を上げています。 IR法案では入場料を取り週3回、月10回までの入場制限を設け依存症対策を行うとしており、IRライセンス取得を目指す企業からもプレイヤーの予算上限を決めるといった案が出ています。

新型コロナの影響でIR計画は遠退いたか？

新型コロナ感染が世界に拡大する中、IRへの数百億ドルから数千億ドルといわれる日本への投資を見送る企業は増えることが予想されます。IRを運営する企業は新型コロナによって既存の施設の業績が悪化しており、新規の投資が難しい状況となっています。また渡航制限により日本への移動が難しいといった状況がいつまで続くか見通せないこともあり、新型コロナ感染拡大により日本のIR計画が遠のくことも予想されます。

秋元司衆議院議が中国企業の500ドットコムからの収賄の容疑で逮捕。IR誘致に及ぼす影響は？12月19日、東京地検特捜部が自民党の秋元司（あきもとつかさ）衆議院議員の議員会館と地元事務所の家宅捜査を行いました。日本での総合型リゾート（IR事業）の進出に意欲を示していた中国企業が、不正に多額の現金を日本に持ち込んだ外為法違反の疑いであるとして捜査を受けています。秋元司衆議院議員（秋元議員）はこの企業と関係が深く、東京地検特捜部から任意で事情聴取を受けていました。

鳥取県と島根県のパチンコ店が営業を再開。自粛ができないギャンブル依存症の深刻さとは？鳥取県と島根県の両県は今月7日、新型コロナ感染拡大によるパチンコ店の休業要請を延長しない方針であることを明らかにしました。山陰地方には130店舗の施設があり、その内13店舗が休業要請に応じず店名を公表する措置を取っていました。　　　　　　　　　　　