外出自粛や休校延長で虐待やDVが増加する可能性。子どもなどを守る術はあるのか？

外出自粛で虐待やDVが増える可能性

1分でわかるニュースの要点

長期間の外出自粛は不満やストレスの温床となっている
休校措置の延長は虐待児童の逃げ場を失わせているかも
国と社会全体で問題に立ち向かう必要がある

一部地域の学校再開に批判が殺到。感染拡大の今優先すべきものは学びか安全か？新型コロナウイルスが未だに猛威を振るっている中、一部地域での学校再開の判断に批判が殺到しています。すでに若者にも多数の感染者が出ているため、自治体の判断に関わらず子供を学校に行かせない判断をする保護者も出てきています。

新型コロナの影響で外出自粛が広がる

新型コロナウイルスの影響が懸念され、日用品買い出しや散歩などを除いた外出の自粛要請や、小中高大の学校への休校措置要請など、外に出るのを控えるよう各都道府県はアナウンスしています。 7日には日本の歴史上初の「緊急事態宣言」の発令となり、対象の都道府県だけでなく対象外地域にも緊張が走っています。そのため、現在は健康面や世間体の観点から、外出自体に大きなリスクが伴う状況です。

家にいる時間が長くなりストレスで虐待やDVが増える可能性

外出できずに長時間家で過ごすストレスが、虐待やDVとして同居家族に向けられる可能性が指摘されています。たとえば、普段は外に出ている配偶者や子供が常に家にいることで、家事の負担増や狭い空間での密集にストレスを感じるかもしれません。また将来への不安や収入減への不満から、世帯主のイライラが募り、暴言・暴力などの行為に発展することも懸念されるでしょう。実際にフランスでは、1週間でDVの相談が約3割増えています。さらに国連のグテーレス事務総長が女性への家庭内暴力の対策を各国に求めるなど、世界的な問題に発展しています。

学校の休校期間延長がさらに助長するのか？

学校の休校期間延長は、虐待する親と子供の物理的距離を近づけることも意味します。もしこのまま休校期間が長引いてしまうと、子供にとって辛い時間が続くことになるかもしれません。考えられる問題には、どのようなものがあるのでしょうか。

学校という逃げ場がなくなる子ども

虐待を受けている子供にとって休校措置は、学校で友人と会えなかったり、親との距離が近づいたりと、身体・精神面ともに逃げ場をなくす対応になるかもしれません。普段より親のストレスが溜まりやすい状況だと、暴力が一層激しくなったり、言葉遣いにさえ文句をつけたりと、より虐待がエスカレートする可能性があります。

大人も外出自粛要請で外に逃げられず

外出自粛要請は大人も対象であることから、親から子供への監視の目が厳しくなるかもしれません。パチンコ店や居酒屋の自粛によって、親が家にいる時間が長くなるためです。たとえば子供がSOSを外に発信したくても、親が相談センターや児童相談所への連絡を妨害する危険性があります。虐待が発覚する背景には、子供が勇気を出して助けを求めたケースも過去に多く存在しました。休校措置の延長は、そういった可能性の芽を摘んでしまうリスクも孕んでいます。

子どもを守る方法はあるのか？

外界との接触が少なくなる中、国としても虐待に悩む子供や負担が増える保護者の状況を、そのまま放置しているわけではありません。新型コロナウイルスに対する対策のなかに、休校に関連するさまざまな体制の強化を講じています。具体的には、どのような施策がなされているのでしょうか。

K-1の自粛押し切り開催に賛否両論。埼玉県知事の怒りの一方で国民からは疑問の声も。新型コロナウイルスでイベントの自粛が求められる中、3月22日に総合格闘技イベントK-1が埼玉県で開催されました。K-1実行委員会によれば、最大限の感染防止策をとったとのことですが、自粛要請を振り切って強行したことで賛否両論となっています。その一方で、自粛要請する立場の日本政府や埼玉県にも、明確な指針が見えないことから批判が出ています。20日には学校の一斉休校解除が発表されましたが、イベントの自粛がどこまで行われるべきかはいまだに不透明です。

政府は放課後児童クラブなどの体制強化へ

休校に伴って放課後児童クラブの需要が増えることから、厚生労働省と文部科学省が連携して体制強化を講じています。具体的には人員体制確保や、かかる費用を国費で負担するなどです。放課後児童クラブは元々「児童虐待の防止等に関する法律に基づいた、児童虐待の早期発見の努力義務」が課されていることから、子供にとっては強い味方です。子供を預けることで、保護者の負担も軽減できるでしょう。ただし、基本は感染リスク予防のために、家庭保育での協力を呼びかけています。

不審に思ったら行政に連絡を

現在はDV相談件数増加に反比例し、コロナウイルスの影響による相談センターの面談中止数が増えている厳しい状況です。しかしそれでも、もし近所の子供の泣き声が増えた、元気がなくなったなどの異変に気づいた場合は、状況を慎重に判断しつつ、迅速に行政に連絡を入れてください。外出自粛によるDV増加や虐待のエスカレートは、まさに世界的問題になりつつあります。保護者へのケアを含め、社会全体でこの問題に対応していくことで、救える命があるかもしれません。

新型コロナウイルスの影響で中国で離婚増加。日本も他人事ではない？新型コロナウイルスの影響で、中国では離婚が増加しています。リモートワークや外出自粛の影響で配偶者が家にいる時間が長くなり、相手のよくない部分が見えがちになってしまうことなどが主な原因です。離婚件数の増加は今のところ中国国内での問題ではありますが、同様のことは今後日本でも起こりうると考えられています。