9月新学期スタート実現でスポーツ界への影響。野球・バスケ・サッカーなどでプロを目指す選手は？

9月新学期スタート実現した際のスポーツ界への影響は？

1分で分かるニュースの要点

学生スポーツ界への影響は
プロ選手やJリーグも構造改革が必要か
9月入学は世界のスタンダード

新学期の9月スタート案に現実味。学校休校する中、世界基準に合わせるメリット。小中学校で感染事例が報告されたこともあり、全国的に小中学校の臨時休校が今も続いています。臨時休校が続き、教育課程に遅れが出だしている状況を打破する解決策として、新学期9月スタート案が今、注目を浴びています。

9月新学期スタートへ白熱する議論

萩生田（はぎゅうだ）光一文部科学大臣は28日に行われた会見で、新型コロナ感染拡大の影響で臨時休校が延長されている状況の中、入学時期を9月に変更すべきという声が上がっていることは承知しているとし社会全体で共有する課題であるという認識を示しました。入学時期の9月への変更は国際スタンダードであることは承知しているとし、変化を起こすにはこのような時期にしかできないと前向きな姿勢を示しました。

多くの知事などが賛成の意向

9月入学に賛成する意向を示している知事は多く大阪府の吉村洋文知事は自身のツイッターに、9月入学を強く後押しする姿勢であることを投稿しています。また、東京都の小池知事も賛成の意向を表明しており、宮城県知事村井嘉浩知事や神奈川県の黒岩祐治知事などが賛成の対場を表明しています。一方愛媛県の中村時広知事らは大変革であり性急な導入には反対する意見書を全国知事会に提出しました。

多くが夏を集大成とする学生スポーツ

今月26日に全国高体連は臨時理事会を開催し、この夏の東北から九州21府県で予定していたインターハイの中止を決めました。全国高校野球選手権大会が中止となり社会人やプロ野球で野球を継続したいと考えていた選手たちの中では、アピールする場を奪われたショックが広がっています。

受験期や卒業が重なることで時期変更が余儀なくされる可能性

これまでの学生スポーツ大会は受験期や卒業式と重ならないように配慮してきましたが、9月入学に変更することで日程が重なる可能性も出てきました。学生スポーツの関係者の中にはそこは大会の時期をズラすなど柔軟な対応をすればよいといった意見がある一方で、季節による選手のコンディション作りを考えると容易にはいかないという声も聞かれ難しい判断が求められています。

プロスポーツ選手を目指す学生の進路にも影響

プロスポーツ選手を目指す学生の中には大学に入ってからプロに転向するというケースも多く、9月入学によって大学の受け入れと入団時期がズレてしまうことでチャンスを逃してしまうといったことが起こり得ると選手らは懸念しています。特に顕著なのは野球で高校生からプロ入りを目指す選手にとって、入団時期がズレてしまうことはその後の選手生命にも影響します。

一方で大学スポーツは春秋シーズンが多いことから影響は少ないか

一方で大学スポーツは春秋シーズンが多いことから影響は限定的ではないかという見方もあり、大学野球の場合は6月と11月に東京六大学野球や明治神宮大会が行われています。また、サッカーも6月にリーグ戦が行われ女子バレーボール大会も春と秋のシーズンが多く、9月入学はスポーツ大会に大きな影響はないといわれています。

高校野球に与える影響

特に夏の甲子園大会の時期がずれ込むことで、阪神タイガースの優勝争いなど後半戦の試合日程に影響でそうです。また、例年10月に行われるドラフト会議もメジャーリーグの6月に合わせる可能性もあり、日米の選手獲得合戦も激しくなると予想されます。

甲子園の時期変更はプロ野球に影響を与える可能性

甲子園の時期変更もプロ野球に影響を与える可能性は大きく、阪神タイガースの利用に影響がでることもあり得ます。現行の3月開催と8月開催から時期が変更されるとなれば6月ごろや10月ごろなどが候補の一つとして上がりますが、交流戦や優勝争い、ポストシーズンとの被る可能性も出てくるので何を優先するかが難しいところになります。

ドラフト時期の変更

全米では既に入学時期を9月に定めている学校がほとんどであるため、メジャーリーグ（MLB）のドラフト会議も6月に行われます。 9月入学の場合には、MLBと同じ時期にプロ野球もドラフト会議を行う可能性が高いと思われます。日本の場合は即戦力として1軍入りすることもありますが、MLBはドラフト後、チームに合流しルーキーリーグまたはショートリーグに参入後、翌シーズンが実質的な1シーズン目が始まります。

バスケットボールに与える影響

ウインターカップを12月に開催すると受験との兼ね合いでインターハイを早く消化する必要があり、都道府県の中には上位チームだけで二次予選を行う地域もあります。そのためウインターカップに出場チャンスがないチームの選手は夏に引退していますが、9月入学に変わることでこうした問題が解決されると思われます。

元々ウインタースポーツであるバスケットボール

バスケットボールはニューイングランドが発祥の地といわれており、比較的冬は気温が低く屋外でのスポーツには向いていません。そこで、屋内でもフットボールのようなボールゲームを楽しみたい人が集まり考案されたスポーツといわれています。アメリカの場合は屋外で行われるベースボールやフットボールなどは春から秋がシーズンという場合が多いのですが、バスケットボールやアイスホッケーなどは屋内で行われます。

アメリカ留学を目指す選手には好都合か

9月入学に変更された場合、アメリカ留学を目指す選手にとっては好都合かもしれません。というのもアメリカの大学は9月入学ですから、他の新入生と同じ条件で入部することができるからです。アメリカにはベースボールを始め、バスケットボールやアメリカンフットボール、アイスホッケーといった4大スポーツがあり、どれもプロクラスのレベルでプレーしている大学が多くプロ選手を目指す上でとても良い環境といえます。

サッカーに与える影響

9月入学を決定した場合Jリーグも現行の春秋の日程を秋から春制に変更することを検討するとしています。Jリーグではこれまで何度か秋春制への移行を議論してきましたが、強化選手育成の面でデメリットがあるとして決定に至っていませんでした。

選手権が集大成となるサッカーは受験期との被りがなくなる可能性

毎年国立競技場で行われる全国高校サッカー選手権大会は、毎年年末から1月中旬まで行われ丁度大学のセンター試験の日程と重なっていました。そのため、スポーツ推薦などで大学が決まっている3年生以外は出場できないといったことが続いていたため、9月入学で受験期との被りがなくなることを歓迎しています。

Jリーグのシーズン時期変更の可能性も

Jリーグでは2017年当時にシーズンの春秋制の議論が行われましたが、村井満チェアマンは9項目の理由を挙げ欧州リーグが秋春制を採用していることから強化選手の海外移籍の可能性が高くなると述べていました。原博実副理事長も村井満チェアマンに賛同したためこの年は否決されましたが、学校の入学時期が9月になることでシーズン時期の変更の可能性は高まっています。

9月新学期スタートで変更点は多いも世界のスタンダードに近づけるか

9月入学スタートには課題も多く実現できるか不透明な状況で日本の社会システムが4月入学に合わせて作られているため、それを変えていくことは困難といった声も上がっています。一方、東京大学では優秀な学生の国外流出を抑えるため、2011年に検討した経緯があり世界のスタンダードに近づけるためには必要な施策ではといった声も聞かれています。

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