コンビニの24時間営業問題からみる令和時代のコンビニとは？セブンイレブンの決断。

激動時代の平成にもたらした日本人の便利な生活が終焉？コンビニ24時間最前線2020！

もはや日本人の生活になくてはならない家族のような存在がコンビニではないでしょうか。全国に約2万1,002店舗（2019年11月）を展開するコンビニエンス・チェーン企業がセブン-イレブンなのです。

現在では、日本コンビニの基礎を築き世界に類を見ない圧倒的な小売業になりました。 1974年5月15日、東京・豊洲に国内初のコンビニをオープンしたのが始まりで営業時間は、当時の一般的な店舗より長い7時-23時で、1号店の加盟店オーナー（経営者）は酒屋からの加盟でした。

セブンイレブンや傘下のそごう・西武、イトーヨーカ堂が店舗閉店やリストラへ2019年10月10日、東一部上場企業であるセブン＆アイ・ホールディングスが事業構造改革を断行すると発表しました。セブンイレブンの閉店だけでなく傘下であるそごう・西武やイトーヨーカ堂の店舗閉店や移転、人員削減の施策を発表しました。　　　　　　

24時間営業をスタートしたセブン-イレブン

高度経済成長の昭和時代と変化適応する形で、24時間営業を1975年6月に福島県郡山市のセブン-イレブン虎丸店で、本部の実証実験からスタートしました。　その結果、「夜の売上だけでなく、昼間の売上も伸びる」ことがわかりました。この実証実験から、コンビニ業界全体が全国一律のビジネスモデルで拡大路線となり、24時間営業が当たり前の「日本コンビニ」となりました。平成時代だけで約40,000店と言う驚異的な数字で全国に拡がりました。

セブン-イレブン東大阪南上小阪店の店主が起こしたコンビニ24時間問題

それから45年後の2019年2月。約14,000名の加盟店オーナーがいる中でセブン-イレブン東大阪南上小阪店の店主1人が起こした行動は「コンビニ24時間問題」として、メディアにクローズアップされました。最大の理由は、人手不足による経営不振。本部のアドバイスや契約を無視して、時短営業を強制的にスタートさせたのです。

コンビニ業界だけでなく社会問題に発展

この行動が、きっかけでフランチャイズ・ビジネスにおける本部側と加盟店側の主張の食い違いが各メディア・報道番組などで非常に多く取り上げられる事になり経済産業省も動く社会問題へと発展しました。「脱コンビニ24時間」の議論が業界にも広がり、消費者にまで伝わるようになりました。その他にも「7pay問題・おでん無断発注・残業代未払い」など、今までのセブン-イレブンにとって信じられない出来事が起こる1年となりました。

経済産業省による「コンビニのあり方」

経済産業省の「新たなコンビニのあり方検討会」では、コンビニ大手各社に「行動計画」を求めて「店舗運営の省力化・店舗収益性改善・デジタル推進」などの経営方針を示しました。オーナーヒヤリング・アンケートなどの結果を踏まえて第4回（2019年12月）の委員会における24時間営業のあり方は、「全店一律に24時間営業を実施するのではなく、経営環境や地域社会の変化を踏まえあり方を検討するべき。休日についても、店舗の事情に応じて柔軟に認めること」と要請を受けました。

契約解除の通告を受けた東大阪南上小阪店

その一方で、2019年12月20日に東大阪の加盟店オーナーへ顧客クレームが異常に多いことなどを理由に、本部との信頼関係が回復しない場合は12月31日付けで契約解除すると本部が通告します。

29日に再び協議するが方針は変わりませんでした。 30日に営業を終えた店主は、たとえ商品の供給がストップしても元旦休業を強行し１月2日からセブンの看板がない状態で、独自に営業する姿勢です。

本来の主張から外れた危険な行動

この件に関しては、本来の「人手不足で24時間営業ができない」と言う本来の主張から逸脱し、フランチャイズ・ビジネスの崩壊を狙うような行動にも見えてしまいます。

これが原因で企業ブランドの低下による売上減少などが起これば、その他の加盟店オーナーの人生にも大きな影響を与えるからです。

合意契約が望ましかったですが、今後は個別対応で長期化するでしょう。令和時代は、本部と加盟店の両者に「誰と働くのか」が強く問われれる大変革時代に突入します。

おでんの売り上げから見るコンビニ経営

24時間営業と同じように加盟店側から問題視されたのが「手間がかかり廃棄になるおでんの販売をやめる」と言う商売の姿勢を考えさせられる視点です。

これは、非常に気になったので10月~12月にかけてセブン-イレブン500店舗（大阪・東京・京都・兵庫）を視察しました。

結論は、おでん未販売の店舗数がコンビニ関係者なら多いと感じる数であったものの消費者にとっては気づける店舗数ではありませんでした。

その調査の数値を分析するとルール化できる「これから改善するべきコンビニの経営課題」のヒントもありました。その共通点は、①基本の接客レベルが低い店舗。②名札をつけていない店舗。

これらを満たしていないお店は結果、おでんが売れない状態の店舗は商売における基本が出来ていないお店が多かったのです。

これは、時短営業の実証実験をしているお店でも共通でした。接客が良いことで平均的な売上が見込めるお店は、時短営業の実験に参加していない可能性があると言う新たな仮説もできました。

令和時代のコンビニ

このような結果から私が考える「令和時代のコンビニ」とは、「21時間営業（地域での時間選択制」」や「深夜無人化店舗」と基本タイプである24時間営業の3つのタイプを融合する経営戦略です。

まず、「21時間営業（地域での時間選択制」」とは、営業時間をローテーションさせ地域・エリアで24時間営業をするタイプ。そして、「深夜無人化店舗」はある一定の時間だけデジタル技術を活用することで無人化させる店舗のタイプです。

2020年からのコンビニ経営

おそらく2030年までには、ある程度は浸透しているのではないでしょうか。導入期の最初は、消費者の理解や我慢が必要になるでしょう。また、収益に影響を与える経営課題なので慎重に検証しなくてはならず時間もかかる事が予想されますが、フランチャイズ契約におけるロイヤリティ・人件費などの加盟店支援のサポートです。

これについては各社の対応が違ってくると思います。 2020年は、東京オリンピックが開催され商売チャンスも多くなります。守りの経営視点として東京オリンピックのボランティア人員（約11万人）の影響による人手不足対策が最優先されそうです。

攻めの経営視点では、世界各国の訪日外国人・メディア関係者が集まるので、日本コンビニを最大限アピールする最高の年にするためのコンビニ商品が新発売されると思います。 2019年のラグビーワールドカップで報道関係者が、ＳＮＳにコンビニ商品の食べ比べを掲載して証明済みです。

業界トップであるセブン-イレブンの使命

是非、リーティング・カンパニーであるセブン-イレブンから過去の延長路線ではない発想の「令和時代の新コンビニ・ビジネスモデル」を誕生させて経営課題を乗り越えてほしいです。

競合他社は、セブンに対抗するために信じられないタッグが誕生するかもしれません。業界2位のファミリーマートと業界3位のローソンが看板をそのままにした業務提携です。商品開発・出店戦略のノウハウなどを共同で取り組むといった業務提携が行われる可能性もあります。業務提携によりセブンを超える戦力が生まれ、超群雄割拠になるでしょう。

これからの新・コンビニ展望

今後は、従来の発想にない新コンビニとして、自動販売機を進化させた通常のコンビニよりさらにミニマムな店舗による出店戦略が増えると予測します。

常に飽和状態と言われ続け、少子高齢化・人口減時代と厳しい日本の市場環境ですが、このミニマム出店戦略が成功すればコンビニ業界は2050年までに「8万店舗」まで成長する可能性は残っていると私は思います。

これには、従来型の加盟店オーナー制度ではなく、企業型のメガフランチャイザーが誕生していくと思います。すでに駅ナカ・商業施設などでは進んでおり、ホテル業界などが参入してくるとさらに活性化されていきます。

セブン-イレブンの原点である「おにぎり」

最後にコンビニを代表する商品のひとつで絶対に外せないのが「おにぎり」です。当時、家庭で食べるのが当たり前の国民食を買って食べる文化へと定着させたのがセブン-イレブンなのです。

その成功をきっかけに様々な国民食をコンビニらしい商品へと開発し消費者に愛され続けてきました。まさに、「近くて便利の平成モデル」から「毎日生活で便利の令和モデル」へと変革していくでしょう。

セブン-イレブン・ジャパンの創業は、コンビニの育ての親であるセブン＆アイ・ホールディングスの鈴木敏文名誉顧問が海外研修で偶然発見したコンビニの業態を日本文化と結びつける日本流の発想ができた影響が大きいと私は思います。この「コンビニ24時間営業」をどのように鈴木氏が捉えているのかを直接聞いてみたいものです。