トランプ大統領がボーイングへの支援を発表
1分でわかるニュースの要点
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ボーイングの取引先を含めて6兆円規模の支援
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コロナショックと航空事故等が重なる
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アメリカの航空業界の大半が破綻危機
株価が急落しているボーイング
ボーイング社の株価は3月20日現在も急激な下落を続けています。2月下旬には300ドルを超えていた株価も3月19日時点で100ドル以下まで落ち込みました。 株価下落の危機を受けた米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは、同社の株の信用格付けをシングルAマイナスからトリプルBに下げる対応を行っています。
6兆円規模の支援を要請
ボーイング社は16日夜、米国政府に対し約6兆円におよぶ支援を要請していました。「航空業界が現在直面している困難を乗り越えるため、民間や公的な手当ては重要になる」と声明を出し、ボーイング社だけでなく航空業界全体への融資を要求しています。 19日には工場作業員の一時解雇を検討する等、ボーイング社の厳しい経営状況がうかがえます。
新型コロナウイルスと航空事故が逆風となっているボーイング
ボーイング社の業績低迷は新型コロナウイルスの影響だけでなく、過去2度の航空事故による737MAXの運行停止も響いています。元々下向きだったことに加え、今回起こった航空業界全体の危機が重なり、より強い逆風が生まれている状況です。
ボーイング737MAXの墜落事故
ボーイング社が生産している航空機737MAXは2018~2019年にかけインドネシアとエチオピアで2度の墜落事故を起こしています。その影響で同航空機の運行・生産は停止されていました。 2019年の業績が最終赤字に転落したことに加え今回の新型コロナウイルスの影響が重なり、ボーイング社の経営は非常に苦しい局面を迎えています。
新型コロナウイルスで低迷する航空業界
新型コロナウイルスの影響で今やボーイング社だけでなく米国の航空業界全体が低迷を余儀なくされています。この状態が続くと航空会社の大半が5月末までに破綻するとの見解もあります。 実際に中国行きの運行停止に始まり日本に向かう路線も減らすなどの対策の影響で航空業界やインバウンド業界は大きな打撃を受けています。
支援により抜本的な解決となるのか?
航空業界とともに6兆円超えの支援を要請したボーイング社ですが、抜本的解決となるかは不透明です。各業界からは「必要ないはずだ」「政府の役割ではない」と支援自体に一部疑問の声もあがっています。
エアバスとシェアを分け合うボーイング
ボーイング社と双璧をなす欧州の航空機大手エアバス社はボーイング社と顧客のシェアを分け合っています。2019年にはエアバス社のシェアは2011年以来ボーイング社を逆転しました。2019年の売上高は約704億ユーロです。 しかし最終決算は約14億8,000万ドルの赤字となっており、ヨーロッパ蔓延しつつあるコロナの影響も今後の経営に響いてくると予想されます。