ヨーロッパでは外出禁止や店舗閉鎖が相次ぐ
1分でわかるニュースの要点
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イタリア、スペインなどヨーロパで外出規制が始まる
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人の往来が盛んなことで感染が拡大
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パンデミックは始まっているのか、医療崩壊懸念広がる
イタリア、フランス、スペインでスーパーや薬局以外の閉鎖
イタリアで本格化した新型コロナウイルス感染はヨーロッパ全土に広がり、イタリア、フランス、スペインでスーパーや薬局以外の店舗の閉鎖が相次いでいます。 スペインでは今月14日にペドロ サンチェス首相が、非常事態宣言を発令し不用不急の外出を制限すると声明を出しています。 更に、感染拡大が深刻化しているフランスでは15日から食料品や薬局を除き、飲食店や商業施設を閉鎖したと発表しました。
なぜヨーロッパで急速な感染拡大が起きているのか?
ヨーロッパではEU(欧州連合)加盟27カ国間の人の往来が比較的容易なこともあり、感染が拡大したといわれています。感染が深刻化する以前は各国政府の危機感が乏しく、感染患者や検査に訪れた市民や病院関係者などによる院内感染でウイルスが各地に広がったと見られています。
人の移動が盛ん
EU加盟国は各国の国民が加盟国内を自由に移動、居住、労働が可能で、パスポートや入国審査等もなく人の往来が自由になっています。またヨーロパの26カ国が加盟するシェンゲン圏でも共通ビザが発行されています。 このような施策を背景に、市民の交流が頻繁に行われていたことも感染拡大につながったと見られ加盟国27ヵ国全てで感染者が確認されています。 EUはこれまで制限していなかったシェンゲン圏の短期滞在ビザと入国について、加盟国の判断で拒否することを可能にする措置を取ったとしています。
マスクの着用は基本的にしない
ヨーロッパ地域ではマスクをするといった習慣が殆ど見られません。フランスのアニエ ビュザン厚生大臣も感染リスクがある地域に滞在経験があり帰国してから2週間が経つ人、また感染者にのみに着用を勧めています。 マスクの効果については各国で評価が分かれていますが、クロアチアではドラッグストアでも販売しない店舗が見られるといわれています。 イタリア、フランスなどではマスクをしたことで感染者と間違えられるといった弊害もあり、着用が広がらない要因ともなっています。
中国人観光客の多さ
欧州委員会の発表によると2020年1月から2月の中国人観光客は25万人減少し、ホテルなど宿泊施設には200万件のキャンセルがでているとしています。 国連世界観光協会(UNWTO)による集計でも、2018年に海外旅行をした中国人の約8%∼9%がヨーロッパ各国を訪れているとしています。 こうした事情を背景にEU加盟国は中国人観光客向けのビジネスに力を入れており、欧州高級ブランド品の収益は中国消費が10%減少すると欧州ブランドメーカーの収益が2%減少するとまでいわれています。
病院などでの対策の遅れ
ヨーロッパ諸国では医療関係者用のマスクの不足や医薬品の供給が遅れており、感染患者に十分な治療ができないといった状態が起きています。 また医薬品成分のほとんどを中国製に依存していたため入手困難な状態が続いていており、フランスでも医薬品成分の約40%を中国に頼っているため医薬品の供給に大きな影響が出ています。 EU委員会は1月に起きた中国の感染拡大の際に個人用防護服など58トンの支援物資を送ったと発表しており、その対応に疑問の声も上がっています。
医療崩壊の懸念
新型コロナウイルス感染に罹患しているかを判断するPCR検査の全数実施については専門家の間でも意見が分かれており、日本でも慎重に議論されています。 韓国やイタリアでは希望者全員に検査を行ったことで医療システムが崩壊したとも言われており、ヨーロッパ諸国の間でも検査に慎重な姿勢を見せる国が出始めています。 WHO(世界保健機関)によると、13日現在世界123の国と地域で13万2,700人以上が発症し約5,000人が死亡したと発表しており世界中で医療崩壊が懸念されています。