民主主義が消えた香港
1分で分かるニュースの要点
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香港国家安全維持法で一斉検挙
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自由や民主主義への挑戦としてアメリカは反発
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香港問題は米中関係を通じて、世界経済への影響も
香港国家安全維持法によって中国政府への批判的な立場を表明してきた民主化活動家が一斉に検挙されました。こうした中国の行動に対して、アメリカなどの民主主義陣営は反発を強めており、香港への優遇措置の撤廃を進めています。世界経済への影響力の強い米中二国間の関係を大きく左右する香港問題に世界中の注目が今、集まっています。
香港国家安全維持法で民主化活動家が続々逮捕
香港の警察当局は8月10日、香港国家安全維持法に違反した疑いで中国に批判的な社風で知られる香港の新聞の創業者ら9人を一斉検挙しました。 香港警察は逮捕された9人が外国の勢力と結託をして国家の安全に危害を加えたとしていますが、その主張には曖昧な点が多く、具体的な行動への言及はありません。 こうした逮捕によって香港の民主化活動家への締め付けが厳しくなっていることが明確となり、香港の自由が今後ますます懸念されています。
アグネス・チョウ(周庭)さんの逮捕は日本でも大きく報道
また、香港の民主派運動のリーダーとしてで著名なアグネス・チョウ(周庭)さんも「外国勢力との結託」の容疑で逮捕されています。 アグネス・チョウさんは日本語が堪能で、これまで日本に向けて香港の民主化を訴えかけてきたこともあり、アグネス・チョウさんの逮捕は日本でも大きく報道されることとなりました。
アメリカも諦めモードか?香港に対する優遇措置を廃止
中国が香港への締め付けを厳しくするにつれ、アメリカも香港の優遇措置の撤廃に動いています。 アメリカ政府は中国政府による香港の民主主義への締め付けの強化に対して強く反発しており、トランプ大統領は香港への優遇措置の撤廃に関する大統領令に署名を行いました。これにより、アメリカはもはや香港を中国と同一視するようになってきています。
中国への非難を強めていたアメリカ
アメリカ政府はこれまでも中国による香港への締め付けの強化を自由を脅かすものとしてたびたび批判してきました。 また、中国による香港国家安全維持法が成立させたことを受け、7月14日にはドナルド・トランプ大統領が香港に対する優遇措置を撤廃する大統領令に署名をしています。 これまでアメリカと香港の間では低い関税率やビザなしでの渡航などが可能でしたが、この優遇措置の撤廃によって香港は中国と同じ扱いをアメリカから受けるようになっています。
原産地の表示を香港から中国へと変更を義務
民主化活動家の逮捕を受けて、アメリカは香港製を中国製と表示することを義務付けることを発表しています。 ただし、アメリカが香港から輸入している電子機器等は中国で生産された後に香港に輸送されていたものであるため、もともと香港製と表記されている製品は少なく、影響は限定的だとみなされています。 これによって、アメリカ政府は優遇措置の撤廃の動きの中で今後も香港への優遇措置の撤廃を進めていくという姿勢を明らかにした形になります。
米中関係への影響も大きい香港問題の結末は?
香港を発端として中国本土へと自由化の波が押し寄せることを懸念する中国政府による香港への締め付けは今後も継続するものと見られています。 また、そうした中国政府による自由への締め付けに対して自由主義陣営の旗手であるアメリカは反発を強めていくとも予想されています。 米中関係への影響も大きい香港問題の今後に世界中の注目が集まっています。