北朝鮮は未だ新型コロナ感染者ゼロと強調。主張の裏にある思惑やミサイル発射との関係は？

北朝鮮でも新型コロナウイルス感染拡大か

1分でわかるニュースの要点

北朝鮮は新型コロナ感染がいまだゼロと主張
北朝鮮政府は新型コロナ流行を隠蔽してる可能性は高く
相次ぐ飛翔体発射は体制引き締めと国威を示すためか？

北朝鮮の兵士が新型コロナウイルスで180名死亡か？医療体制の整っていない北朝鮮での感染拡大。北朝鮮で中国国境付近に駐留していた兵士を中心に新型コロナウィルスの感染による死亡者が180人にものぼるとのニュースが飛び込みました。公式発表は未だに感染者ゼロとしていて認めてはいないものの、検疫と隔離は行われています。劣悪な医療環境と物資不足にあえいでいる中これ以上の感染拡大となるとアウトブレイクは必至です。

北朝鮮でも新型コロナウイルスが蔓延。政府の隠蔽や国の崩壊危機とは？北朝鮮では新型コロナウイルスが蔓延していますが、正確な状況は不明です。というのも北朝鮮は自国に不利になる可能性のある情報を対外的にも対内的にも開示しない傾向にあるためです。しかし貿易等で中国との関わりが強いこと、韓国政府がある程度状況を把握していること、などから北朝鮮が大変危険な状況であることがわかっています。

頑なに感染者ゼロを強調する北朝鮮

北朝鮮は新型コロナウイルスが武漢で発生して以来、一貫して感染者ゼロと発表してきました。感染症対策の責任者パクミョンス氏は、検査および隔離と封鎖の徹底などによって、国内の感染者をゼロに抑えていると主張しています。確かに北朝鮮の対応は世界的に見ても素早く、新型コロナウイルスの発覚直後に中国からの国境を封鎖し、封じ込め措置を取っています。しかし北朝鮮の医療体制や検査技術は貧弱であり、中国からのルートが無数にあることから、すでに流行している可能性が高いです。

韓国の民間団体が支援へ

韓国の統一省（南北統一や北朝鮮との対話専門の省庁）は4月2日、韓国国内の民間団体が主導する北朝鮮支援を承認したと発表しました。これは北朝鮮の新型コロナウイルス対策を主とした支援で、消毒薬など1億ウォン（約900万円）相当の物資が送られる予定です。民間団体の詳細や支援時期は不明ですが、多数の民間団体が同様の動きを見せているとのことです。また文在寅大統領は、国家として北朝鮮と協調したいと述べています。

世界的に感染拡大も不自然すぎる感染者ゼロ

新型コロナウイルスの感染者は世界で、ついに100万人を突破しました（2020年4月3日現在）。それにもかかわらず、公式発表で感染者ゼロの北朝鮮はあまりにも不自然です。北朝鮮に感染者がいることは、複数の専門家がほぼ確実視しています。

弱みを見せたくない北朝鮮の思惑

地理的にも国際的立場としても、北朝鮮は中国と近いです。北朝鮮で新型コロナウイルスが流行していることは、ほぼ間違いないでしょう。北朝鮮では2月頃から1ヶ月ほど軍事訓練が行われておらず、新型コロナウイルスの影響である可能性が高いです。そんな状態でも感染者ゼロと発表し続ける裏には、国内外に弱みを見せたくない北朝鮮首脳部の思惑があるようです。感染流行を認めた場合、首脳部の指導力不足が明らかとなり、体制崩壊を招く恐れがあります。

医療体制が新型コロナに対応できない可能性

専門家の多くは、北朝鮮の医療では新型コロナウイルスに対応できないと指摘しています。北朝鮮では医薬品は慢性的に不足し、現場には検査器具も揃っておらず、場当たり的な治療が横行しているためです。 3月17日、金正恩委員長も出席の下、平壌総合病院の着工式が開かれました。世界的な新型コロナウイルス流行の中、医療施設の充実をアピールすることが目的のようでした。しかし着工式で一言も感染に言及がなかったことから、対応の遅れが逆説的に証明されたと見られています。

北朝鮮が発射する飛翔体

3月下旬、突如として北朝鮮北は飛翔体を発射しました。飛翔体は短距離弾道ミサイルと見られていますが、日本の排他的経済水域外に落下し、被害はありませんでした。この時期の飛翔体発射には、政治的意味があると専門家は考えています。

ミサイルを含んだ飛翔体発射も各国はそれどころではなく

北朝鮮は3月21日午前6時45分から50分頃、日本海に向けて立て続けに2発の飛翔体を発射しました。続く29日にも同様の飛翔体が打ち上げられています。飛翔体は短距離弾道ミサイルとされており、いずれも日本の排他的経済水域（EEZ）外に落下しました。普段であれば各国がなんらかのリアクションを取るところですが、特に被害がなかったこともあって、ほぼ黙殺されています。

この時期に発射する意味とは？

北朝鮮の事情に詳しい専門家は、飛翔体発射のニュースに政治的意味があると指摘しています。対外的に感染者ゼロとしていますが、ほぼ間違いなく北朝鮮国内は新型コロナウイルスの感染が広まっているでしょう。おそらく民衆や軍部に動揺が生まれて、体制支持が揺らいでいるはずです。飛翔体の発射によってそうした動きを引き締め、国威を示すのが目的ではないか、と専門家は見ているようです。

真相は不明も国家の危機に直結する恐れ

北朝鮮は国内情報が外部からはほどんとわからないため、感染者ゼロ発表の真相は不明です。1つ確実に言えるのは、北朝鮮の脆弱な医療体制では、新型コロナウイルスの感染拡大を止めることはできないということです。もしも北朝鮮政府が把握しきれないほど感染が進行していた場合、国家的危機に繋がります。多くの人民が犠牲になるかもしれません。さらに恐ろしいことに、北朝鮮でまん延した新型コロナウイルスが、中国を経由して第2の流行を生み出す危険性もあります。