1分でわかる日韓の輸出規制とGSOMIA破棄
日韓輸出規制の経緯を解説
-
韓国のホワイト国除外・輸出規制とはなにか
-
輸出規制により韓国経済に打撃・日本にも報復措置
-
日韓協議は平行線のまま・軍事協定は破棄されるのか
【関連記事】韓国が直面している経済危機
ホワイト国除外による輸出規制
(画像:Unsplash)
日本は8月27日に韓国を所謂「ホワイト国」から除外しました。11月にはWTO本部において韓国と3度目となる公式な協議を行いましたが、両国の主張は変わらず歩み寄る気配はみられませんでした。 ここからは日韓のこれまでの動きと、今後の協議の行方についてみていきましょう。
規制対象商品の輸出に個別許可が必須に
輸出規制には「キャッチオール規制」といい軍事転用が可能な物品を規制するものと、更に高スペックな物を輸出する場合の「リスト規制」があります。 これらの輸出規制の許可には「個別許可」と「包括許可」の2種類があり、原則は個別許可で海外への輸出許可を取得する必要があります。 一方、信頼できる国のみ所謂ホワイト国として2つの規制を包括的に許可する措置が取られ、3年間に限ってはその許可申請が不用になります。韓国は規制を順守していない疑いがあるとしてホワイト国から除外されたのです。
半導体材料の横流しを懸念
2019年7月4日、経産省は韓国への「キャッチオール規制」と「リスト規制」に踏み切りました。対象になった化学製品は半導体製造に使われる「フッ化水素」「フッ化ポリイミド」「レジスト」の3品目です。 公式には「管理上の日韓の信頼が損なわれた。安全保障上の問題である」として3品目の管理に不適切な事案があったことを理由にあげました。 韓国には、これらの物質を含め軍事転用可能な物品の管理に問題があるとされており、第三国への横流しの疑惑が指摘されていました。
輸出規制により多大の影響を受けた韓国
(画像:Unsplash)
今回の日本の輸出規制は、韓国の基幹産業であるスマートフォンなど半導体製品の輸出に大きな影響を与えています。 スマートフォンに使われる有機ELの製造にはフッ化ポリイミドが必要で、高純度のものは日本企業に頼っているのが現状です。また、輸出製品全体の20%以上を占める半導体製品についてもこの3品目は必須であり経済への影響は深刻です。 これらの物質を韓国が独自で生産することは容易でないといわれているだけに、日本との交渉をどう進めていくのか注目されています。
韓国による対抗措置
(画像:Unsplash)
日本のこうした輸出規制に対して、韓国は強硬姿勢を強めていきます。日本の輸出規制は差別的な貿易制限と激しく非難し、あらゆる手段で対抗措置を講じるという声明を発表しました。 両国の主張が真っ向から対立することになった交渉の行く末はどうなっていくのでしょうか。
日本をホワイト国から除外
日本が韓国をホワイト国から除外したのちの9月18日、韓国側も日本をホワイト国から除外すると通告してきました。 韓国の産業通商資源省は「日本の輸出規制に対する対抗措置ではない」という声明を出しています。これにより韓国が指定するホワイト国は28ヵ国となります。 日本側は、これを受けて菅原一秀経済産業相(当時)が「韓国側からの事前の説明がないまま措置に至ったことは遺憾である」という声明を出しました。
WTOへの提訴
韓国は輸出規制は日韓の歴史問題に対する不当な制裁行為であり国際ルールに違反しているとして、WTO(世界貿易機関)に提訴の手続きに入りました。 日韓両国は11月20日にスイスのWTO本部で2回目となる公式な協議を行いますが、両国の歩み寄りはみられず物別れに終わりました。 協議終了後に会見した経産省の黒田淳一郎通商機構部長は「軍事転用可能な品目を適切に管理してほしいだけだ。WTO違反にはあたらない」という従来の日本の主張を繰り返したと述べています。