ファーウェイに対する輸出規制とは？トランプ政権の意図や影響する企業も解説！

続いては、今回の輸出規制に伴ってアメリカ国内企業や海外企業がどのような措置をとり、またどのような影響が考えられるかについてお伝えします。 ファーウェイは通信機器メーカーであるため通信に関連したIT企業が注目の的となっています。その中でも特に存在感のあるGoogle、ARMホールディングス、Intelを取り上げ、説明します。

ファーウェイのEntity List入りを受け、いち早く声明を出したのがGoogleです。Googleは「ファーウェイとの取引を中止し、今後新しいファーウェイの端末でAndroid OSを使用させない」と表明しました。 取引停止の詳細はまだ決定していないようですが、今後ファーウェイ端末ではAndroid OSをアップデートできなくなったりGmailなどのアプリが利用できなくなることが考えられます。一方でAndroid Open Source Project（AOSP）は取引停止の措置の影響を受けず、かつGoogle Play Storeは引き続き利用可能だということは明らかになっています。 ファーウェイはサムソン、アップルに続き世界で3番手のスマートフォン会社で世界のスマートフォン市場の約14.4%のシェアを占めています。Googleに対する影響も少なくないと思われる一方、他企業の端末の出荷が増えるため長期的に見るとGoogleにとってはそれほどの痛手ではないのでしょう。

ARMホールディングスはイギリスの半導体設計メーカーで、ファーウェイのEntity List入りを受けて取引を停止を従業員に言い渡したとBBC（英国放送協会）が報じました。ARMの技術の中にはアメリカ由来のものがあるため規制に従うべきだと判断した、とARMはBBCに対して答えています。 前述したようにファーウェイはスマートフォン市場で世界第3位のシェアを誇っているため、ARMの売上は一時的に下がるかもしれませんが、懸念は大きくありません。むしろ、ARMホールディングスによる取引停止はファーウェイへ大打撃です。Googleのサービスは自社で代替可能ですが、ARMの半導体の技術は今のところ再現不可能だからです。 中国政府はイギリス政府と親交を深めており、2019年2月には「ファーウェイの安全保障上のリスクに対して懸念しすぎることはない」とサイバーセキュリティセンターが声明を出していたほどです。そのため、今回のARMホールディングスとの取引停止は中国にとっては「手の平返し」に思えたことでしょう。

ファーウェイのEntity List入りを受け、Intelもファーウェイとの取引停止を発表しました。事態に進展が見られるまでは、政府の意向にしたがってファーウェイへ半導体を供給することはないとのことです。 ファーウェイはIntelの半導体をサーバーやノートパソコンに使用しています。そのため、一時的にIntelの売上は減少することが考えられますが、時間が経てばその分を他のメーカーが発注することとなるため、懸念することはないでしょう。 ファーウェイも今回のEntity Listに追加されるという事態を予測していたと考えられます。スマートフォン用の半導体は自社での生産を進めており、Intelの半導体などアメリカ由来の部品は3ヶ月分のストックがあるとのことです。この先3ヶ月でEntity Listからファーウェイの名前が取り除かれるかどうかが、ファーウェイの今後を左右すると言っても過言ではありません。