八ッ場ダムが台風19号で大活躍。民主党の事業仕分けに対する批判が起きる。

当時の民主党は、「コンクリートから人へ」というスローガンを掲げていました。これは無駄な公共事業を減らし、財源を子育て支援や社会保障に回すというものでした。 この民主党の方針により八ッ場ダムは建設や、スーパー堤防の整備が中止されたという経緯があります。今回の台風による水害を受け、国民の多くが治水事業に関心を寄せました。 当時の民主党が行った治水政策にどんな弊害があったかが、台風19号をきっかけに再び問われることとなったのです。

2010年度の予算を編成する際に民主党が導入したのが、「事業仕分け」です。対象事業について仕分け人が調査を行い、一般公開された行政刷新会議の場で事業担当者と議論のうえで「廃止」「縮減」を判定しました。 この事業仕分けにより、影響を受けたものがたくさんあります。中には災害から国民を守る意味の公共事業も多数存在しており、事業仕分けには賛否両論ありました。ここでは特に注目を集めた2つの廃止された公共事業について、詳述します。

行政刷新会議の場で仕分け人だった民主党・緒方林太郎衆院議員が、「スーパー堤防はスーパー無駄遣い」と発言したことを記憶している方も多いことでしょう。 スーパー堤防とは「高規格堤防」とも呼ばれ、著しい水量の増加や越水・長時間浸透・地震などによって破堤しないための幅の広い堤防を指します。 当時は国の事業として、江戸川・荒川・多摩川・利根川にスーパー堤防を造る計画がありました。それが事業仕分けにより、中止されたのです。 現在は東日本大震災の影響などからスーパー堤防の重要性が見直されています。

そして事業仕分けで縮減されたものに、スーパーコンピューター「京」があります。当時日本では、次世代スパコン事業に取り組んでいました。スーパーコンピューター「京」は気象や震災の影響を予測することを目的に開発されており、日本では世界最速を目指していたのです。 しかし行政刷新会議でスピードではなく利便性にこだわるべきとの判断が下り、大幅に予算を削減されました。 蓮舫氏による「2位じゃだめなんでしょうか」という言葉が当時は有名となり賛否両論様々な議論を巻き起こしていました。