人工呼吸器が世界中で不足する可能性
1分でわかるニュースの要点
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人工呼吸器は過去に類のない増産体制
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急激な感染者増加に医療体制が整わず
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医療崩壊を防ぐために
新型コロナウィルスによる重症患者への治療に必要な人工呼吸器がこのままでは不足する見込みとなり、世界中で国を挙げて増産を進めています。 命綱とも言える人工呼吸器を確保して重症者に対する医療体制を整備し、感染者数の増加に備えることは必須対策です。 その上で医療崩壊を引き起こさないためには第一線で体を張る医療従事者を守り、一般診療の確保にも心を配る必要があると言えます。
政府が増産を要請
今後国内で大幅に患者数が増えた時に備え、重症者に対応するための医療体制の整備は必須となります。 政府はその一環として人工呼吸器の増産をメーカーに働きかけ、輸入の増加などにより供給体制を確保していく方針を発表しました。
アメリカではGMに製造を指示
感染者がこの数週間で激増したアメリカでは、トランプ大統領が自動車メーカー大手のGM(ゼネラルモーターズ)に製造を指示したと報じられました。 フォードとクライスラーを加えたアメリカのトップ3の自動車メーカーは、生産ラインの再開を延期しこれに当たるとしています。
一度装着すると数日間外せない人工呼吸器
一度装着すると数日間は外せない人工呼吸器ですが、重症者の治療には欠かせません。 今、重症者が急増した際にはどう言った状況になるのかを人工呼吸器の平均装着日数や使用可能とされる待機台数などのデータを基に検証します。
過去のデータでは6日程度の装着
人工呼吸器の平均装着日数は全病棟で6.8日・救命救急センターで6.3日(いずれも2018年度データによる)となっています。 長期間の装置は人工呼吸肺炎という別の疾病を引き起こす可能性が高まるため医療機関では1日でも装着日数を少なくすることを念頭に置いていますが、6日は外せる状態ではないことがこのデータにより読み取れます。
患者数の増加に人工呼吸器が対応できず
厚生労働省の3月31日時点の発表では患者1,494例・陽性確定例226例が確認されましたが、1週間前の3月26日は患者1,140例・陽性確定例8例となっており増加の一途を辿っています。 公益社団法人日本臨床工学技師会は2月に緊急調査を行い全国の20床以上・1,558施設の人工呼吸器の台数を確認しましたが、現状は全国で22,254台(小児用8,965台含む)その中で未使用の待機台数は13,473台となり、現在の増加ペースでは重症者の対応が難しくなると思われます。
医療品の不足も医療崩壊の要因に
マスクやガーゼなどの医療品・人工呼吸器を始めとする医療機器の不足は医療崩壊の一因です。 その他物質的な不足や想定を遥かに超える急増した感染者数と医療従事者の疲弊など、様々な要因が絡み合った結果でもあることが見えてきます。
イタリアなどでは医療崩壊が叫ばれる
イタリアでの感染者数はアメリカに次いで2番目となる105,792人・死者は12,428人(4月1日時点)と発表され、深刻な状況となっています。 医療崩壊が叫ばれ事態に拍車を掛けた要因は、感染した医師が50人も亡くなるという医療従事者の罹患率の高さに加え、やはり重症者が急増した際に人工呼吸器が足りなくなるなどの医療体制の不備によるものと考えられています。