政府が1世帯あたり2枚のマスク支給を発表。迷走する支援策と現金給付の可能性。

政府が1世帯あたり2枚のマスク支給へ

1分でわかるニュースの要点

政府が1住所あたり2枚の布マスク支給を決定
世界各国の支援策は現金給付が中心
日本では現金の一律支給は望み薄

牛肉の商品券か魚の商品券か？消費を促したい政府と現金給付を望む国民のギャップ。政府・与党は今月27日に成立した2020年度予算102兆6580億円（前年比1.2%増）に予備費5,000億円を盛り込み、新型コロナウイルス感染拡大対策費の財源に充てることで参院本会議で可決・成立させました。今後は現金給付や商品券発行など具体策の取りまとめに入ることとしています。今回ビズキャリonlineでは政府の新型コロナウイルス支援策に切り込みます。

再利用可能な布製のマスクを支給

安倍晋三首相は新型コロナウイルスに対する緊急経済対策の一環として、布マスクの支給を決定しました。布マスクは洗剤で洗うことで再利用が可能であり、急激に拡大しているマスク需要に対して非常に有効であるとしています。再来週以降、感染被害が深刻な都道府県から、1住所につき2枚ずつの布マスクが順次支給される予定です。

国民からは批判の声が多く

政府の決定を受けてネット上では、「マスク2枚でごまかすな」「もっと先にすべきことがある」といった批判が多く見受けられました。ただ、「マスク2枚」という内容ばかりがひとり歩きしてしまっていますが、安倍晋三首相は同時に他の施策についても触れています。メディアが取り上げる情報だけですべてを判断するのではなく、自ら情報源を確認する姿勢も重要です。

世界各国では現金給付が軒並み決定

世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、世界各国のコロナに対する経済支援の内容は国ごとにまちまちです。ただ、世界各国のベーシックな支援は「現金給付」であり、その点が日本と異なっていると言えます。

アメリカでは金融支援を既に決定

ニューヨークを中心として多数の感染者がいるアメリカでは、既に新型コロナウイルスへの対策として1兆ドル規模の景気刺激策の実施を決定しています。その内容は家計への現金給付をはじめとして、中小企業や航空会社に対する支援など非常に幅広いものです。新型コロナウイルスによる影響が長引いた場合は、2回目の現金給付も実行されます。

日本政府は支給検討も決定には至らず

日本でも現金支給は検討されていましたが、決定には至りませんでした。その背景には、リーマンショック後に政府が行った一律での現金給付策の失敗があると考えられています。リーマンショック時には首相を務めていた麻生太郎財務相は「何に使ったか誰も覚えていない。（国民に）受けなかった」と、当時を振り返っています。

政府が1万2000円以上の給付金を検討も効果の程は？リーマンショック時にも行った実績。政府が1万2000円以上の現金給付を検討しています。コロナショックによって経済の悪循環が繰り返され破綻を招きかねない状況です。政府は市場を活性化させる目的で現金給付の検討を行っていますが、消費に結びつかなければ意味を成しません。日本では給付金よりも消費税率の引き下げを求める声が大きくなっています。

迷走する日本政府の経済支援策

これまで日本政府は、新型コロナウイルス対策としてさまざまな経済支援策を検討してきています。ただ、どれも検討段階で頓挫したりはっきりとした効果が見込めなさそうだったりと、迷走している印象は否めません。

お肉券・お魚券の給付計画は頓挫

自民党の農林部会や水産部会が提言し、一時議論の対象となっていた「お肉券」や「お魚券」の配布も、結局のところ経済対策の提言には盛り込まれませんでした。ネット上で族議員に対する批判などが集まったからというのが、主な理由です。最終的に提言では、「購入支援のための取り組みを行う」程度の内容にトーンダウンしました。

現金給付の場合、一律支給は否定的

多くの国民が望む現金給付に関して、安倍晋三首相は一律給付については否定的な見解を示しています。一律での給付ではなく、支援が必要なところを見極めたうえで必要な額を支援する方針ですが、「誰にどのぐらいの金額を支援するか」の線引きが非常に大きな課題です。安倍晋三首相は「どういう設計にしていくかは今、議論を進めている」と述べるにとどめています。

終息の見込みが立ってからの支援が良い可能性

新型コロナウイルスの流行がいつ終わるのか、現段階ではまだ分からない状態です。そんな中手探りで決定した支援の内容では、思ったような効果があげられない可能性も十分にあります。緊急を要するものを除いては、終息の見込みが立って被害の全体像を正確に把握できるようになってから、支援内容を詰めていったほうがよいかもしれません。

アメリカが2兆ドル規模の経済対策へ。コロナショックへの対策を本格化させたトランプ大統領。3月21日、トランプ米政権はアメリカ経済回復を図るための景気対策に、最大2兆ドル（約220兆円）が必要になると表明しました。中小企業への融資に加え、国民への現金給付も検討しています。今回はアメリカの2兆ドル規模の経済対策について解説していきます。